ゴボウでモンスターを倒したら、トップ配信者になりました。

あけちともあき

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真夏な私の遭遇編

第243話 夏休み直前スタディウィズミー伝説

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 今日も配信開始だ。
 自室にエアコンを効かせて、コーラを用意してスタート。

「お前ら、こんきらー」

※『こんきらー』『こんきら!』『あっ、薄着な部屋着!』おこのみ『ええぞええぞ……!! 今日一日の労働で溜まった疲れがスゥッと抜けていく……!!』いももち『助かりますぅ』

「なんかよこしまな目で見てる人がいますけど、私たち学生はそろそろ夏休みですよね。えっ、大学はもう夏休み突入して二ヶ月も休む!? いいなあ……早く進学したい」

「ハヅキは人間の若年者が行くガッコウとやらに通っているものね」

※『あっ、ぬるりとエルフの人が入ってきた!!』『エルフとコラボ!?』

「はっ、私の部屋で一緒に暮らしてるので」

 毎日じゃんけんをして、ベッドで寝るか下の布団で寝るかを決めている。
 カナンさんもすっかり、こっちの暮らしに馴染んできた。

「カナンさん、雑談配信だから横でのんびり見ててね」

「分かった。私もデビュー前にあまり出すぎるなとイカルガに言われているからね」

※『デビュー!?』『もうじきデビューする、しかもエルフがぬるりと顔を出していいのw!?』『イカルガエンタは自由過ぎる』

「ということでですね、夏がやって来ますねー。あ、コーラ飲みます」

 ぐびぐびっ。

※『コーラごくごくASMR』いももち『たすかるー。本当は飲ませてあげたいとか言いたいけどやり過ぎてマネさんに怒られたから……』『素性を隠す努力をしろw』

「ぷはー! 夏はコーラ最高ですね! ということで、糖分を脳に補給したんで、今日は予告通りのスタディウィズミー配信です。この間期末テストも終わって、まあ普通に総合で学年二位だったのでこの勢いを使ってですね」

※『あんだけ濃厚な配信をやってるのに学校と両立してるの草なんだ』『どこで勉強してるんだよw!』『はづきっちって普通に進学校通ってたよな?』

「まあまあ偏差値が高いですねー。まあほら、兄の使ってた参考書とかも授業の合間に読んで覚えてるので……」

※『なんという高スペック……!!』『そっか、思い出したけどこの人あの斑鳩の妹だった』『なうファンタジーの雑学クイズ大会でトップ2になったもんな斑鳩』『お勉強苦手な配信者に授業をする配信をしてたこともあるぞ』

 兄は色々やってるなあ……。

「兄は兄、私は私ということで……。ここに、学校からもらってきた夏休みの宿題がですね。高校にもなって宿題どっさり出ますねー」

※『うわあ見たくない見たくない』『なんで宿題なんてものがあるんだよう』

 学生さんらしき人たちの悲鳴が満ちる。
 私はこれをウンウン頷きながら眺めた。

「ということで、私と一緒に勉強とか、社会人の人は内職とか進めて捗っちゃいましょう! たまに私がコーラを飲みます。30分やって5分休んで雑談、を何回かやる感じで……」

※『了解』『おk』『頑張るかあ』『夏休みの宿題を夏休み前に終わらせるつもりだなw』

 正解。
 こうして、スタディウィズミーが始まった。

 カナンさんも横で日本語のテキストを読んで、声に出したりしている。
 この音声も好評だ。

※『エルフさんの声が聞こえてきてニヤニヤしちゃう』『Aフォンの翻訳音声はどうしてもちょっと電子っぽくなるもんな』『肉声かわいい』

 カナンさんはもう百歳のおばさまなんだけど、エルフは肉体年齢が一定で止まるそうだからなあ。
 みんな若いエルフの人だと思っているのかも知れない……!

 まあ、彼女がデビューしたらサラッと本人の口から明かされて、界隈を騒がせそうだけど。

「コーラ飲みます」

※『!?』『まだ開始五分なのに!?』『たすかる』

 ぐびっぐびっ。
 ぷはあ。

「量があるのがちょっと面倒ですよねー。数学は難しい問題が何問かなので楽ですけど」

 サラサラ書いていく。
 学校の勉強と同じような内容なので、覚えてさえいればつっかえる場所がない。
 最初の30分で数学が終わった。

「はい、じゃあ数学をやっつけたところで」

※『マジ!?』『速度がおかしい』『人間じゃねえ』『きら星はづきは化け物かw』

「し、しっけいなー」

 私は理数系の教科が得意なだけです!!

※『はづきっち、エルフさんのこと聞いていい?』

「どうぞどうぞ。カナンさん、質問だって」

「私にか? 構わないが」

 カナンさんが画面に入ってきた。
 彼女用の椅子を持ってきて、二人で並ぶ。

※『並んでてかわいい』『並ぶとはづきっちがむちっとしているのがよく分かるな……』『エルフは細いなー』

「カナンさんはあんまり食べないですからね。私の半分も食べないです」

「ハヅキがすごく食べるだけだと思う……。それで、質問は?」

※『スリーサイズ……』『セ、セクハラァ』『お前アウトだぞそれは』『本人が自然に話してくれるように誘導するんだよ!!』

 おっ、コメント欄で変態という名の紳士たちが活発になったぞ。

「ああ、スリーサイズというのはこの間の健康診断で測られたデータか。これはね……」

 すらすら答えるカナンさん。
 動揺するコメント欄。

※『おおおおおおお』『やべええええええ』『おい見ろ! カナンさんの配信者非公式wikiがもうできてる!!』『管理人仕事はええなあ! スリーサイズまで記録されてるじゃん!!』

「ほんとだ! 配信見ながら書いてる人がいる!」

 私もびっくりだ。

※『そうか……非公式によると目で見た限り、はづきっちよりカナンさんのウエストが8センチくらい細いのか……』

「あんま食べないですからね」

「ハヅキがすごく食べるだけよ」

※『このやり取りがてえてえなあ』『もうとっくに休憩の五分過ぎてるけど、このやり取りだけ見てたいなあ』『異世界からやって来てくれてありがとう、エルフさん……!』

 カナンさん、もうすっかり人気じゃないか。
 見た目はキリッとしててスマートでお硬い感じなのに、喋ってみると割りと砕けた感じの人なんだよね。
 人生経験長いからなあ。

 こうしてスタディウィズミーが雑談配信になってしまい、結局私は数学しか終えられなかったのだった。
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