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年度末な私の決戦編
第194話 うぉっちチャンネルさん会食伝説
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最近、イカルガと協力体制になってきたうぉっちチャンネルさんと会食することになった。
年末からのお礼とか、これからもよろしくという話をするとか色々あるけれど……。
なんでここに風街さんが?
「うぉっちチャンネル管理人さんにある疑惑が掛かっていてね」
「ほうほう」
「それは会えば分かるでしょう」
そうらしい。
イカルガからは、私と受付さん。
特別ゲストの風街さん。
会食会場のホテル前で、三人でぺちゃくちゃおしゃべりする。
「あなた、斑鳩さんとはどうなってます? そろそろ……」
「はっ。包囲網は完成したのでじわじわと。脈は間違いなくあるんで」
「二年越しだもんね。応援してる!」
「ありがとうございます流星ちゃん!」
風街さん、配信者としても受付さんの先輩格に当たるのだった!
それにしても……。
「兄の色恋沙汰はそんなに有名なんですか」
「有名よ。この業界で知らない人は昨年末から今年にかけてデビューした新人さんくらいじゃない? それでも、配信者を追ってたファンの人だったなら知ってると思うな」
「あひー」
そ、そうだったのかあ。
ではそんな状況下で、斑鳩の妹として有名になった私はどういう扱いに……!!
「はづきちゃんも最初は、兄の七光りみたいに見られて……いや、もう斑鳩さんとの関係が明らかになった時には、はづきちゃん相当ビッグになってたわね……。胸を張って。あなた自力でそこまで上り詰めてて、斑鳩さんの妹というよりは、『あの』きら星はづきって思ってる人の方が多いから」
「それはよかった」
「はづきちゃん、流星ちゃんの話が長いから理解を諦めてない?」
受付さんに妙な心配をされてしまった。
そうこうしていたら、やって来ましたうぉっちチャンネルの人。
「ど、どうも。うぉっちチャンネル管理人です」
「どうもどうも、きら星ですー」
「あっ、あなたが……! どうもどうも」
気弱そうなメガネの男の人で、チェックのシャツにストーンウォッシュのジーンズを身につけている。
私と二人でペコペコしていたら、なんか風街さんが「あっ、二人から二色のオーラが……!!」とか言っている。
なんだなんだ。
「迷宮省の風街です。詳しいお話はお食事をしながらにしましょう」
風街さんが迷宮省モードになった!
こうして私たちは、ホテル上階の中華レストランにやって来た。
ここ、前も兄と来て企業案件を引き受けたなあ……。
モスキラーさんだったっけ。
個室に通されて、管理人さんはとても落ち着かない様子だった。
きょろきょろ、もじもじして、凄く汗をかいている。
「お水飲んで下さいお水。落ち着いて落ち着いて」
「はづきちゃんが人の緊張を心配してる! 成長したなあ」
受付さんがしみじみと呟いた。
そう、私だって前進しているのです。
管理人さんは「は、はい! 普段めったに人と会わなくて」とか言いながら水をごくごく飲んだ。
「水、うっま」
「えっ、本当ですか」
私も水をぐいーっと飲む。
「水、おいし!!」
普通に水になんかレモンの香りをつけてあるやつだ。
「で、ですよね! ただの水じゃない。流石、いいレストランは違いますねえ」
「違いますよねー。これは出てくるお料理も期待しちゃいますねー」
「しますねえ……美味しいものをどんどん食べたい……妥協せずに……」
「私はひたすら食べたいですねー」
「あっ、また二人から二色のオーラが!!」
「個室が異空間になってますねー」
風街さんの緊張した声と、なんか達観した感じの受付さんの声がする。
「そういえばうぉっちチャンネルさん、うちのお前らがすみませんでした!」
私は前々から謝ろうと思ってた事を思い出した。
「な、なんですかいきなりテーブルに頭を叩きつけて!」
「いやー、私の配信が被った時に、うぉっちチャンネルさんのプレミアム配信でその事を喋ったおバカがいて、邪魔をしちゃったみたいで……」
「あっ、そのことですか。もう気にしていません。そりゃあ堪えましたけど、なんかそれ以来、僕の中に闇のエネルギーが流れ込んできてて今の僕とせめぎ合って、いい感じでパワーを生み出してるんですよね」
「そうだったんですねえ、良かったー。あ、じゃあ今度私がゲスト出現しますんで」
「ほ、本当ですか!? じゃあ僕の読み上げソフトと会話をしてもらう感じで……」
「ストップストーップ! お二人ともストップ! 今さらっと二人で世界の命運が掛かったような会話してるから!!」
風街さんが止めてきた。
なんだなんだ。
「話を止めてごめんなさい。管理人さん。あなたは闇の力が流れ込んできたと仰いましたけど、それはいつのことになりますか?」
「あ、はい」
時期を話す管理人さん。
表情が変わる風街さん。
最初のお料理が来て歓声を上げる私。
「時を同じくして、インドに出現していた強欲の大罪マモンが力を減じています。まるでどこかに力を吸い上げられたようだと言われていて……」
「そ、それが僕だと……!?」
「お、お料理が冷めちゃうう」
私が悲しい声をあげたので、食事をすることになった。
飲み物もやって来たので、お疲れ様の乾杯をしてからもりもり食べる。
カニが出てきていたので、しばらくみんな、何も言わずに食べた。
カニを食べると無口になるよね……。
「……それで管理人さん。今はその衝動を制御できているの?」
「あ、はい。一時期衝動に心を塗りつぶされかけたんですが、はづきちゃんのまとめ動画を作っていたら突然心が晴れ渡りまして」
「大罪同士が共鳴した……!?」
「かも知れません……」
「あっ! 今日のサラダ来ましたよ! うおー、中華サラダ豪華ー!!」
私がサラダを歓迎したので、またそっちに集中することになった。
美味しい美味しい。
全部美味しい。
「今の僕の中に黒い衝動は無くて、実はカラスのような姿で部屋に居着いているんです」
「強欲が象徴する生き物にはカラスもいるわね。ということは、大罪の直接的な力とあなたは共存できているということ?」
「だと思います……。イカルガエンターテイメントさんの仕事を多く引き受けるようになってから、ずっと心が安定しているんですよね」
「なるほど……。暴食を克服した彼女がいるからこそ起きたイレギュラー……!」
なんで私に注目されてるんです?
あ、もしかして残りのサラダ全部食べてはいけなかった……?
「なるほど、理解しました。迷宮省は今後も引き続き、あなたの監視を行います。ですがきら星はづきさんと関係する限り、あなたをどうこうするということは無いでしょう。問題が起こるとすれば……インドでマモンが討伐された時でしょうね」
風街さんが色々伏線めいたことを言っている。
だけどそんなことをしている間に、メインディッシュが来てしまいました。
北京ダックです!!
め、目の前でカットしてくれるんですか!?
あひー!
もちもちの生地にパリパリのダックの皮を載せて……うまああああああ。
「あーっ、暴食パワーが溢れ出している! こっちは強欲パワーが!!」
「すみません! 今は食事に集中させて下さい! うおおお全部食べたい、全部……!」
「負けませんよー! 私も食べまあす!」
こうして私は、楽しく会食をしたのだった。
年末からのお礼とか、これからもよろしくという話をするとか色々あるけれど……。
なんでここに風街さんが?
「うぉっちチャンネル管理人さんにある疑惑が掛かっていてね」
「ほうほう」
「それは会えば分かるでしょう」
そうらしい。
イカルガからは、私と受付さん。
特別ゲストの風街さん。
会食会場のホテル前で、三人でぺちゃくちゃおしゃべりする。
「あなた、斑鳩さんとはどうなってます? そろそろ……」
「はっ。包囲網は完成したのでじわじわと。脈は間違いなくあるんで」
「二年越しだもんね。応援してる!」
「ありがとうございます流星ちゃん!」
風街さん、配信者としても受付さんの先輩格に当たるのだった!
それにしても……。
「兄の色恋沙汰はそんなに有名なんですか」
「有名よ。この業界で知らない人は昨年末から今年にかけてデビューした新人さんくらいじゃない? それでも、配信者を追ってたファンの人だったなら知ってると思うな」
「あひー」
そ、そうだったのかあ。
ではそんな状況下で、斑鳩の妹として有名になった私はどういう扱いに……!!
「はづきちゃんも最初は、兄の七光りみたいに見られて……いや、もう斑鳩さんとの関係が明らかになった時には、はづきちゃん相当ビッグになってたわね……。胸を張って。あなた自力でそこまで上り詰めてて、斑鳩さんの妹というよりは、『あの』きら星はづきって思ってる人の方が多いから」
「それはよかった」
「はづきちゃん、流星ちゃんの話が長いから理解を諦めてない?」
受付さんに妙な心配をされてしまった。
そうこうしていたら、やって来ましたうぉっちチャンネルの人。
「ど、どうも。うぉっちチャンネル管理人です」
「どうもどうも、きら星ですー」
「あっ、あなたが……! どうもどうも」
気弱そうなメガネの男の人で、チェックのシャツにストーンウォッシュのジーンズを身につけている。
私と二人でペコペコしていたら、なんか風街さんが「あっ、二人から二色のオーラが……!!」とか言っている。
なんだなんだ。
「迷宮省の風街です。詳しいお話はお食事をしながらにしましょう」
風街さんが迷宮省モードになった!
こうして私たちは、ホテル上階の中華レストランにやって来た。
ここ、前も兄と来て企業案件を引き受けたなあ……。
モスキラーさんだったっけ。
個室に通されて、管理人さんはとても落ち着かない様子だった。
きょろきょろ、もじもじして、凄く汗をかいている。
「お水飲んで下さいお水。落ち着いて落ち着いて」
「はづきちゃんが人の緊張を心配してる! 成長したなあ」
受付さんがしみじみと呟いた。
そう、私だって前進しているのです。
管理人さんは「は、はい! 普段めったに人と会わなくて」とか言いながら水をごくごく飲んだ。
「水、うっま」
「えっ、本当ですか」
私も水をぐいーっと飲む。
「水、おいし!!」
普通に水になんかレモンの香りをつけてあるやつだ。
「で、ですよね! ただの水じゃない。流石、いいレストランは違いますねえ」
「違いますよねー。これは出てくるお料理も期待しちゃいますねー」
「しますねえ……美味しいものをどんどん食べたい……妥協せずに……」
「私はひたすら食べたいですねー」
「あっ、また二人から二色のオーラが!!」
「個室が異空間になってますねー」
風街さんの緊張した声と、なんか達観した感じの受付さんの声がする。
「そういえばうぉっちチャンネルさん、うちのお前らがすみませんでした!」
私は前々から謝ろうと思ってた事を思い出した。
「な、なんですかいきなりテーブルに頭を叩きつけて!」
「いやー、私の配信が被った時に、うぉっちチャンネルさんのプレミアム配信でその事を喋ったおバカがいて、邪魔をしちゃったみたいで……」
「あっ、そのことですか。もう気にしていません。そりゃあ堪えましたけど、なんかそれ以来、僕の中に闇のエネルギーが流れ込んできてて今の僕とせめぎ合って、いい感じでパワーを生み出してるんですよね」
「そうだったんですねえ、良かったー。あ、じゃあ今度私がゲスト出現しますんで」
「ほ、本当ですか!? じゃあ僕の読み上げソフトと会話をしてもらう感じで……」
「ストップストーップ! お二人ともストップ! 今さらっと二人で世界の命運が掛かったような会話してるから!!」
風街さんが止めてきた。
なんだなんだ。
「話を止めてごめんなさい。管理人さん。あなたは闇の力が流れ込んできたと仰いましたけど、それはいつのことになりますか?」
「あ、はい」
時期を話す管理人さん。
表情が変わる風街さん。
最初のお料理が来て歓声を上げる私。
「時を同じくして、インドに出現していた強欲の大罪マモンが力を減じています。まるでどこかに力を吸い上げられたようだと言われていて……」
「そ、それが僕だと……!?」
「お、お料理が冷めちゃうう」
私が悲しい声をあげたので、食事をすることになった。
飲み物もやって来たので、お疲れ様の乾杯をしてからもりもり食べる。
カニが出てきていたので、しばらくみんな、何も言わずに食べた。
カニを食べると無口になるよね……。
「……それで管理人さん。今はその衝動を制御できているの?」
「あ、はい。一時期衝動に心を塗りつぶされかけたんですが、はづきちゃんのまとめ動画を作っていたら突然心が晴れ渡りまして」
「大罪同士が共鳴した……!?」
「かも知れません……」
「あっ! 今日のサラダ来ましたよ! うおー、中華サラダ豪華ー!!」
私がサラダを歓迎したので、またそっちに集中することになった。
美味しい美味しい。
全部美味しい。
「今の僕の中に黒い衝動は無くて、実はカラスのような姿で部屋に居着いているんです」
「強欲が象徴する生き物にはカラスもいるわね。ということは、大罪の直接的な力とあなたは共存できているということ?」
「だと思います……。イカルガエンターテイメントさんの仕事を多く引き受けるようになってから、ずっと心が安定しているんですよね」
「なるほど……。暴食を克服した彼女がいるからこそ起きたイレギュラー……!」
なんで私に注目されてるんです?
あ、もしかして残りのサラダ全部食べてはいけなかった……?
「なるほど、理解しました。迷宮省は今後も引き続き、あなたの監視を行います。ですがきら星はづきさんと関係する限り、あなたをどうこうするということは無いでしょう。問題が起こるとすれば……インドでマモンが討伐された時でしょうね」
風街さんが色々伏線めいたことを言っている。
だけどそんなことをしている間に、メインディッシュが来てしまいました。
北京ダックです!!
め、目の前でカットしてくれるんですか!?
あひー!
もちもちの生地にパリパリのダックの皮を載せて……うまああああああ。
「あーっ、暴食パワーが溢れ出している! こっちは強欲パワーが!!」
「すみません! 今は食事に集中させて下さい! うおおお全部食べたい、全部……!」
「負けませんよー! 私も食べまあす!」
こうして私は、楽しく会食をしたのだった。
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