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年度末な私の決戦編
第192話 校内微妙な距離感伝説
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先日、カンナちゃんに公開相談をして色々悩みが解消した私。
だが、解決したのは私の内面だけだったので、外の世界はまだ全然解決していないのだった!
「うおっ、師匠!!」
「あひっ、イノッチ氏!」
校門で鉢合わせたら、イノッチ氏が身構えた後にペコペコしてくる。
「うへへへへ……。師匠、肩凝りませんか。肩をお揉みしますよ……。あ、あ、おカバンもお持ちしましょう」
「ひい、やめてえ」
めちゃくちゃ持ち上げてくる!
周囲の視線がヤバそう。
……と思ったら、なんかあんまり気にされてない。
「なんだ師匠か」「また料理教えてもらってんのかな」「一時期手料理流行ったもんねえ」
学園祭関係で、私を師匠とか呼ぶ女子が校内に散らばっているのだった。
過去の自分に助けられたな。
「イノッチ氏、ここは普段通りで行きましょう。ほら、いつもみたいに私にあんまり興味ない風な感じで雑に接してもらえると」
「じょじょじょじょじょ、冗談じゃない。師匠の正体を知ってしまったら何もかも変わるの当たり前じゃない!? 真実を知り、世界はカタチを変えた……!! 戻れない、もう戻れない畏れ多すぎる……」
今にも平伏しそうだ!
まずい!
私はイノッチ氏にドン!と強めに当たって「うっ」くの字になった彼女を肩に担ぎ、教室に小走りで向かっていったのだった。
「肩に担いでる!」「パワー!」
うおお、やっぱり師匠呼びされると目立ってしまうじゃないか。
どうやって普段通りに接してもらおうか……。
教室に入ってきたら、注目されてしまった。
「肩に担いでる……!?」「パワー……!?」
ま、まさか私の正体が教室に知れ渡って!?
「おろしてえ」
イノッチ氏がバタバタしたので、私は彼女を床に立たせた。
「流石師匠、凄いパワーです。あたしも似たことできますよ……」
なんかイノッチ氏が揉み手している!
こんなキャラだったっけ……!?
パワー系っていうのは想像通りだったけど。
先に来ていたチョーコ氏が、スーッと近寄ってきた。
「う、羨ましい……。私も担がれたい」
「えっ!?」
「……じゃなくて。おはよう。今日もよろしくね。放課後はまた事務所に行くんでしょ?」
おおーっ、さすがはチョーコ氏。
いつも通りだ。
なんか以前よりも距離が近いし、纏ってる空気や視線がネバっとしている気がするけど。
気のせいでしょう!
ちょっとしたら、シカコ氏も登校してきた。
配信を始めてから、気力が漲っている彼女である。
「おはよ! なになに? みんなでわちゃわちゃしてるー? おしくらまんじゅう? 暖かいもんねー」
ぎゅうぎゅうと私とイノッチ氏、チョーコ氏の間に挟まってくる!
無気力の象徴みたいだった二学期始めと打って変わり、アクティブでガンガン前に出るキャラに大きく変化した彼女。
配信者生活は体にいいんだなあ。
うんうん頷く私だった。
話は変わって、三学期というのは信じられないほど短くて、一月と二月が過ぎると三月の半ばで何もかも終わる。
もうすぐ三月という頃合いで、今はみんな期末テストで殺気立っている。
内申点を稼いで推薦狙いという人も多いけど、テストが散々だと補習に行かねばならなくなり、ただでさえ短い春休みがほぼゼロになってしまうからだ。
「し、師匠~」
「はい。どこが分からないのー」
「全部自信ないです」
イノッチ氏が泣きついてきたので、教えることになるのだった。
この人間関係はかなり自然じゃない?
周りにバレない程度の理由がある関係性……。
よき。
昼休みに机を寄せ合って、食後に期末テスト対策をやる。
放課後、事務所に向かう途中でも問題を出し合ったりとかもいいかも知れない。
うひょー、青春じゃないか。
いいぞいいぞ。
私はついに陽の側に立つ……。
悪いな、陰の者たちよ。
私は先に行くぞ。ついてこれるか、私の世界のスピードに……。
「先輩がニヤニヤしてる」
「シカコ、人前で先輩って呼ばない」
「あっ、そうだったー。うち、尊敬とかがついつい出てきちゃうからー」
「尊敬……」
なんかチョーコ氏がまた湿度のある視線を向けてくる。
なんだなんだ。
「シカコもイノッチも、あなたと深い接触があったでしょう。私は羨ましいな……」
「ふ、ふふ、深い接触!」
なんたるえっちな表現か。
あくまで私たちの仲は健全です。
それにそんなに触れ合ったりしたかなあ……。
お風呂に一緒に入るビクトリアとなら接触してるけど。
だが、チョーコ氏は何やら接触したがっている。
ここは……。
「デビューしたらツイスターゲーム配信すればいいんじゃね?」
イノッチ氏天才か!!
「じゃあそれ採用で……」
「マジ!? やった!」
彼女はガッツポーズをした。
ハッとするチョーコ氏。
「なるほど……。デビューするとそんな役得が……。届かないと思ってずっと眺めているだけで満足しようと思ってたけど、届くなら色々欲を出しちゃっていいよね。やる。ツイスターゲームやる!!」
チョーコ氏もなんか元気になってて何よりだ。
じゃあ期末テスト対策をサクサク終えて、春休みのデビュー準備期間に備えようじゃないか。
「せんぱ……ししょーはなんで勉強できるの?」
昼休み時間の終わりに、シカコ氏が聞いてきた。
私はうーんと唸る。
「授業を聞いてたら大体分かるけど……」
「じ、地頭……!!」
「師匠ってさ、塾行ってんの?」
「彼女が塾に行ける暇があるとは思えないけど?」
チョーコ氏の解像度が高い。
「塾行ってないですね、家勉ですねー。参考書はたまに読みますー」
「じ、地頭……!!」
シカコ氏が戦慄していた。
今後は私が三人の勉強を見たりすることになりそうだ。
絶対に追試や補習で無駄な時間を使わせないぞ……!
ふふふ、先輩らしいことができそうじゃないか。
だが、解決したのは私の内面だけだったので、外の世界はまだ全然解決していないのだった!
「うおっ、師匠!!」
「あひっ、イノッチ氏!」
校門で鉢合わせたら、イノッチ氏が身構えた後にペコペコしてくる。
「うへへへへ……。師匠、肩凝りませんか。肩をお揉みしますよ……。あ、あ、おカバンもお持ちしましょう」
「ひい、やめてえ」
めちゃくちゃ持ち上げてくる!
周囲の視線がヤバそう。
……と思ったら、なんかあんまり気にされてない。
「なんだ師匠か」「また料理教えてもらってんのかな」「一時期手料理流行ったもんねえ」
学園祭関係で、私を師匠とか呼ぶ女子が校内に散らばっているのだった。
過去の自分に助けられたな。
「イノッチ氏、ここは普段通りで行きましょう。ほら、いつもみたいに私にあんまり興味ない風な感じで雑に接してもらえると」
「じょじょじょじょじょ、冗談じゃない。師匠の正体を知ってしまったら何もかも変わるの当たり前じゃない!? 真実を知り、世界はカタチを変えた……!! 戻れない、もう戻れない畏れ多すぎる……」
今にも平伏しそうだ!
まずい!
私はイノッチ氏にドン!と強めに当たって「うっ」くの字になった彼女を肩に担ぎ、教室に小走りで向かっていったのだった。
「肩に担いでる!」「パワー!」
うおお、やっぱり師匠呼びされると目立ってしまうじゃないか。
どうやって普段通りに接してもらおうか……。
教室に入ってきたら、注目されてしまった。
「肩に担いでる……!?」「パワー……!?」
ま、まさか私の正体が教室に知れ渡って!?
「おろしてえ」
イノッチ氏がバタバタしたので、私は彼女を床に立たせた。
「流石師匠、凄いパワーです。あたしも似たことできますよ……」
なんかイノッチ氏が揉み手している!
こんなキャラだったっけ……!?
パワー系っていうのは想像通りだったけど。
先に来ていたチョーコ氏が、スーッと近寄ってきた。
「う、羨ましい……。私も担がれたい」
「えっ!?」
「……じゃなくて。おはよう。今日もよろしくね。放課後はまた事務所に行くんでしょ?」
おおーっ、さすがはチョーコ氏。
いつも通りだ。
なんか以前よりも距離が近いし、纏ってる空気や視線がネバっとしている気がするけど。
気のせいでしょう!
ちょっとしたら、シカコ氏も登校してきた。
配信を始めてから、気力が漲っている彼女である。
「おはよ! なになに? みんなでわちゃわちゃしてるー? おしくらまんじゅう? 暖かいもんねー」
ぎゅうぎゅうと私とイノッチ氏、チョーコ氏の間に挟まってくる!
無気力の象徴みたいだった二学期始めと打って変わり、アクティブでガンガン前に出るキャラに大きく変化した彼女。
配信者生活は体にいいんだなあ。
うんうん頷く私だった。
話は変わって、三学期というのは信じられないほど短くて、一月と二月が過ぎると三月の半ばで何もかも終わる。
もうすぐ三月という頃合いで、今はみんな期末テストで殺気立っている。
内申点を稼いで推薦狙いという人も多いけど、テストが散々だと補習に行かねばならなくなり、ただでさえ短い春休みがほぼゼロになってしまうからだ。
「し、師匠~」
「はい。どこが分からないのー」
「全部自信ないです」
イノッチ氏が泣きついてきたので、教えることになるのだった。
この人間関係はかなり自然じゃない?
周りにバレない程度の理由がある関係性……。
よき。
昼休みに机を寄せ合って、食後に期末テスト対策をやる。
放課後、事務所に向かう途中でも問題を出し合ったりとかもいいかも知れない。
うひょー、青春じゃないか。
いいぞいいぞ。
私はついに陽の側に立つ……。
悪いな、陰の者たちよ。
私は先に行くぞ。ついてこれるか、私の世界のスピードに……。
「先輩がニヤニヤしてる」
「シカコ、人前で先輩って呼ばない」
「あっ、そうだったー。うち、尊敬とかがついつい出てきちゃうからー」
「尊敬……」
なんかチョーコ氏がまた湿度のある視線を向けてくる。
なんだなんだ。
「シカコもイノッチも、あなたと深い接触があったでしょう。私は羨ましいな……」
「ふ、ふふ、深い接触!」
なんたるえっちな表現か。
あくまで私たちの仲は健全です。
それにそんなに触れ合ったりしたかなあ……。
お風呂に一緒に入るビクトリアとなら接触してるけど。
だが、チョーコ氏は何やら接触したがっている。
ここは……。
「デビューしたらツイスターゲーム配信すればいいんじゃね?」
イノッチ氏天才か!!
「じゃあそれ採用で……」
「マジ!? やった!」
彼女はガッツポーズをした。
ハッとするチョーコ氏。
「なるほど……。デビューするとそんな役得が……。届かないと思ってずっと眺めているだけで満足しようと思ってたけど、届くなら色々欲を出しちゃっていいよね。やる。ツイスターゲームやる!!」
チョーコ氏もなんか元気になってて何よりだ。
じゃあ期末テスト対策をサクサク終えて、春休みのデビュー準備期間に備えようじゃないか。
「せんぱ……ししょーはなんで勉強できるの?」
昼休み時間の終わりに、シカコ氏が聞いてきた。
私はうーんと唸る。
「授業を聞いてたら大体分かるけど……」
「じ、地頭……!!」
「師匠ってさ、塾行ってんの?」
「彼女が塾に行ける暇があるとは思えないけど?」
チョーコ氏の解像度が高い。
「塾行ってないですね、家勉ですねー。参考書はたまに読みますー」
「じ、地頭……!!」
シカコ氏が戦慄していた。
今後は私が三人の勉強を見たりすることになりそうだ。
絶対に追試や補習で無駄な時間を使わせないぞ……!
ふふふ、先輩らしいことができそうじゃないか。
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