181 / 517
新年! 私の心機一転編
第181話 旧正月とメイユー来日伝説
しおりを挟む
中国の方では、相変わらず怠惰のシン・シリーズとバタバタやり合ってるみたいなんだけど……。
それでも、相手が怠惰なので結果的に一進一退みたいなのがずっと続いてて日常になってきてるらしい。
向こうの国は業を煮やしてるみたいだけど、一般の人たちはそうじゃない。
怠惰の勢力がいることが日常になりつつある。
そうこうしてたら旧正月の季節がやって来て、結界つき飛行機に乗れるくらいのお金がある人たちが日本にやって来るのだ。
『だから私も日本に行くわ。久々に会いましょうハヅキ。しばらく見ない間にすっかりビッグになって……。あなたの成長を見るのが楽しみだわ』
「な、なんにも変わってないですよー!」
メイユーとザッコでやり取りをしたのだ。
彼女、旧正月にこっちに来るらしい。
妙な期待を抱いているぞ……。
私は常にいつもの私だというのに。
事務所でその話をしたら、兄がふーんと興味なさげだった。
「前は一緒に行ったのにー!」
「プライベートでお前に会いに来るんだから、会社が関わることではないだろう。お前だってもう一人前の配信者なんだ。ある意味日本の顔みたいな立場なんだから胸を張って会え」
「メイユーは人柄も信頼できるもんねえ。斑鳩さんも安心して預けておけるよねー」
「なにっ、お前、人をシスコンみたいに……」
「シスコンでも好き……」
「ぐわあああ」
いつものが始まった。
私はスーッとその場を離れた。
そして道連れを増やすべく、ビクトリアともみじちゃんを誘うことにした。
「中国トップクラスの配信者が遊びにくるんで、みんなで出迎えに行こう」
「オー! リーダーに会いに来るの? マーベラス!」
「ひええ、お、大物~!!」
ビクトリアは嬉しそうで、もみじちゃんはちょっとビビっている。
うんうん、気持ちは分かる。
こうして先輩権限を使い、後輩二人を巻き込んだ私。
メイユーがやって来る日に三人で空港に向かったのだった。
今回は横断幕を準備してない。
その代わり、私だって分かるようにバーチャルゴボウを持っていった。
先端にメイユーの顔が書いてある小さい旗を付けている。
少ししたら、飛行機が到着してメイユーがやって来た。
あれ?
彼女、見たことがない女の子を連れてきている。
頭の両脇にお団子を付けた小柄な娘だ。
メイユーはすぐに私を発見し、手を振ってきた。
おおー、サングラスかっこいいー。
彼女が来日することは、報道の人たちも知ってたみたい。
なので、ワイワイと集まってきたんだけど……。
「今日はプライベートなの。ゴメンなさいね」
メイユーは華麗に彼らを躱し、私たちと合流した。
あっ、こちらの顔が激写されてしまうのでは……!
「あひー」
カメラがこっちを向いた瞬間、私は慌ててバーチャルゴボウで目線を隠した。
すると、なんかピンク色の波動がポーンと広がっていき……。
「う、うおお、腹が……!」「異常にお腹が減ってきた……!」「ぐぐぐ、耐えられん」
報道陣の人たちがもじもじし始めた。
なんだか分からないけど、チャンス!
私たちは大急ぎでその場を離れたのだった。
「它是什么!?」
メイユーが連れてる娘がなんか驚いて叫んでる。
「チェンファ。みんな中国語分からないわよ」
「あ、大丈夫です、Aフォンが頑張るんで」
その通り、Aフォンが翻訳してくれた。
今のは、チェンファという女の子が「何あれ!?」とびっくりした声だったのだ。
「さっきのはまるで、迷宮の鬼がやって来るような技だったわよ!! なんであんなことができるの!? やっぱりお前、大罪鬼の一人なんじゃないの!」
なんか警戒した感じで、こっちを指差すチェンファ。
お団子二個ついた頭で、前髪サラサラしてて、目はツリ目気味で大きくて、細身ですらっとしてて手足は長いけど全体的に小柄で……。
かーわいい。
もみじちゃんとはまた違った感じの可愛さだ。
「それは言い過ぎです! はづき先輩は確かに訳わからないですけど、一応人間です多分!!」
もみじちゃんが行ったー!
頼りになるなあ。
「ねえリーダー、あれフォローになってない」
「そうねえ、ハヅキはその辺り鷹揚よね。細かいことを気にしないわ」
ビクトリアとメイユーは何を言っているんだね。
「一応って何よ! 美国の大罪鬼があの女も大罪鬼だって言ってたじゃない!」
「なんかよく分からないんですけどはづき先輩はそれを克服してるんです! 今もたくさん食べますけど!」
「克服してないじゃない!?」
なんか見てると息がピッタリだなあ。
ふたりとも仲良くなれそう。
「じゃ、じゃあメイユー、せっかくこっちに来たんだから観光とかしていきますか?」
「そうね。ホテルに荷物を置いたら案内して欲しいわね!」
「なるほど……。じゃあ、行きますか……。まずは腹ごしらえの回転寿司に」
「いいわね! 日本に来たならば寿司は食べておきたいわ」
「私もスシ大好き!」
こっちはこっちで盛り上がっていると、チェンファがぴょんぴょん飛び跳ねながら「ちょっとー!!」と猛抗議した。
かわいいかわいい。
彼女はメイユーの後輩で、割りと新人な配信者らしい。
あの可愛らしい姿と気の強さが人気で、リスナーを煽りながら配信するので「雌小鬼的配信者」みたいな盛り上がりを見せているそうだ。
あっちにもメスガキ文化が……!!
ただ、同じ女子に対してはああやって対抗心を見せてくるんだそうで……。
「ハヅキの後輩のモミジが自分と同じ背格好だから、どう対抗すべきか戸惑ってるのねあれ」
「うんうん、二人ともかわいい」
私はすっかりお母さん目線になってしまった。
「チェンファちゃんはお寿司何が好き? 卵がいい? サーモン?」
「うおーっ、子供扱いするなあー!!」
猛抗議されながら、私たちは空港を後にするのだった。
それでも、相手が怠惰なので結果的に一進一退みたいなのがずっと続いてて日常になってきてるらしい。
向こうの国は業を煮やしてるみたいだけど、一般の人たちはそうじゃない。
怠惰の勢力がいることが日常になりつつある。
そうこうしてたら旧正月の季節がやって来て、結界つき飛行機に乗れるくらいのお金がある人たちが日本にやって来るのだ。
『だから私も日本に行くわ。久々に会いましょうハヅキ。しばらく見ない間にすっかりビッグになって……。あなたの成長を見るのが楽しみだわ』
「な、なんにも変わってないですよー!」
メイユーとザッコでやり取りをしたのだ。
彼女、旧正月にこっちに来るらしい。
妙な期待を抱いているぞ……。
私は常にいつもの私だというのに。
事務所でその話をしたら、兄がふーんと興味なさげだった。
「前は一緒に行ったのにー!」
「プライベートでお前に会いに来るんだから、会社が関わることではないだろう。お前だってもう一人前の配信者なんだ。ある意味日本の顔みたいな立場なんだから胸を張って会え」
「メイユーは人柄も信頼できるもんねえ。斑鳩さんも安心して預けておけるよねー」
「なにっ、お前、人をシスコンみたいに……」
「シスコンでも好き……」
「ぐわあああ」
いつものが始まった。
私はスーッとその場を離れた。
そして道連れを増やすべく、ビクトリアともみじちゃんを誘うことにした。
「中国トップクラスの配信者が遊びにくるんで、みんなで出迎えに行こう」
「オー! リーダーに会いに来るの? マーベラス!」
「ひええ、お、大物~!!」
ビクトリアは嬉しそうで、もみじちゃんはちょっとビビっている。
うんうん、気持ちは分かる。
こうして先輩権限を使い、後輩二人を巻き込んだ私。
メイユーがやって来る日に三人で空港に向かったのだった。
今回は横断幕を準備してない。
その代わり、私だって分かるようにバーチャルゴボウを持っていった。
先端にメイユーの顔が書いてある小さい旗を付けている。
少ししたら、飛行機が到着してメイユーがやって来た。
あれ?
彼女、見たことがない女の子を連れてきている。
頭の両脇にお団子を付けた小柄な娘だ。
メイユーはすぐに私を発見し、手を振ってきた。
おおー、サングラスかっこいいー。
彼女が来日することは、報道の人たちも知ってたみたい。
なので、ワイワイと集まってきたんだけど……。
「今日はプライベートなの。ゴメンなさいね」
メイユーは華麗に彼らを躱し、私たちと合流した。
あっ、こちらの顔が激写されてしまうのでは……!
「あひー」
カメラがこっちを向いた瞬間、私は慌ててバーチャルゴボウで目線を隠した。
すると、なんかピンク色の波動がポーンと広がっていき……。
「う、うおお、腹が……!」「異常にお腹が減ってきた……!」「ぐぐぐ、耐えられん」
報道陣の人たちがもじもじし始めた。
なんだか分からないけど、チャンス!
私たちは大急ぎでその場を離れたのだった。
「它是什么!?」
メイユーが連れてる娘がなんか驚いて叫んでる。
「チェンファ。みんな中国語分からないわよ」
「あ、大丈夫です、Aフォンが頑張るんで」
その通り、Aフォンが翻訳してくれた。
今のは、チェンファという女の子が「何あれ!?」とびっくりした声だったのだ。
「さっきのはまるで、迷宮の鬼がやって来るような技だったわよ!! なんであんなことができるの!? やっぱりお前、大罪鬼の一人なんじゃないの!」
なんか警戒した感じで、こっちを指差すチェンファ。
お団子二個ついた頭で、前髪サラサラしてて、目はツリ目気味で大きくて、細身ですらっとしてて手足は長いけど全体的に小柄で……。
かーわいい。
もみじちゃんとはまた違った感じの可愛さだ。
「それは言い過ぎです! はづき先輩は確かに訳わからないですけど、一応人間です多分!!」
もみじちゃんが行ったー!
頼りになるなあ。
「ねえリーダー、あれフォローになってない」
「そうねえ、ハヅキはその辺り鷹揚よね。細かいことを気にしないわ」
ビクトリアとメイユーは何を言っているんだね。
「一応って何よ! 美国の大罪鬼があの女も大罪鬼だって言ってたじゃない!」
「なんかよく分からないんですけどはづき先輩はそれを克服してるんです! 今もたくさん食べますけど!」
「克服してないじゃない!?」
なんか見てると息がピッタリだなあ。
ふたりとも仲良くなれそう。
「じゃ、じゃあメイユー、せっかくこっちに来たんだから観光とかしていきますか?」
「そうね。ホテルに荷物を置いたら案内して欲しいわね!」
「なるほど……。じゃあ、行きますか……。まずは腹ごしらえの回転寿司に」
「いいわね! 日本に来たならば寿司は食べておきたいわ」
「私もスシ大好き!」
こっちはこっちで盛り上がっていると、チェンファがぴょんぴょん飛び跳ねながら「ちょっとー!!」と猛抗議した。
かわいいかわいい。
彼女はメイユーの後輩で、割りと新人な配信者らしい。
あの可愛らしい姿と気の強さが人気で、リスナーを煽りながら配信するので「雌小鬼的配信者」みたいな盛り上がりを見せているそうだ。
あっちにもメスガキ文化が……!!
ただ、同じ女子に対してはああやって対抗心を見せてくるんだそうで……。
「ハヅキの後輩のモミジが自分と同じ背格好だから、どう対抗すべきか戸惑ってるのねあれ」
「うんうん、二人ともかわいい」
私はすっかりお母さん目線になってしまった。
「チェンファちゃんはお寿司何が好き? 卵がいい? サーモン?」
「うおーっ、子供扱いするなあー!!」
猛抗議されながら、私たちは空港を後にするのだった。
20
お気に入りに追加
246
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜
夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。
不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。
その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。
彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。
異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!?
*小説家になろうでも公開しております。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる