上 下
162 / 517
年末! 私の色々挑戦編

第162話 三人コラボのFPS伝説

しおりを挟む
 チャラウェイさんとのコラボだけど、急遽参戦が決まった人がいたので三人で遊ぶ……配信することになった。

「やあ、本格的にコラボは初だね! よろしく!」

「こ、こちらこそー」

 なうファンタジートップ配信者の一人、八咫烏さんだ。
 ダンジョンハザードの時に戦い方を拝見したんだけど、適確にラーフというスポンジガンで狙い撃つ感じで、堅実だなーと思ったものだった。
 チャラウェイさんと仲良しなので、今回招かれたみたい。

「おや、はづきさん、今日の武器はゴボウではない?」

「ホントだ! はづきちゃん、そいつはレーザーブレード!」

「あっ、はい。実はリスナーさんと雑談した時に、どんな武器を使ってほしいか聞いたんです。その中で面白そうだったものを持ってきて……。あ、これも」

「マジックハンド! これはどういう戦い方をするか想像もつかないね。楽しみだ」

「なるほど! 遠近両用ってわけか!!」

 ワイワイと盛り上がってしまった。
 おお、以前感じていた緊張みたいなのが薄くなっている。

 まあ八咫烏さんはチャラウェイさんと一緒に、学園祭にも来てくれてるし。
 知らない仲じゃないもんなー。

「じゃあやって行きましょう。今日はよろしくお願いします!」

「よろしくだぜ!」

「よ、よろしくお願いしまーす」

 礼儀正しい八咫烏さんの掛け声に応じて、本日のコラボ開始なのだ。

「お前ら、こんきらー。今日はですねー。FPSなゲームがダンジョンになっちゃったステージなんですけど」

※『こんきらー』『こんきらー』『はづきっちがどんどんゲーム文化を身につけていく……』『俺たちの聖地だったインターネットを取り戻してくれえ』『FPSはまたリアルとは違うぞ。気をつけろはづきっち!』

「はぁい。それで、チャラウェイさんと八咫烏さんとコラボでチーム組んでですね。七つのチームがデーモン化しちゃったのを相手にします」

※『3VS21!!』『ゲームだとありえないw』『そっか、配信者は現実の方が強いもんな』『VRなのに現実とはこれいかに』

「そして今回の武器はこれ! みんなから聞いた意見で、レーザーブレードとマジックハンドにしました。見ててねー」

※『うおーはづきっちレーザーブレード久々!』『昔とは腕力も体幹も桁違いだろうからな、楽しみだ』『頑張れはづきっちー!!』

「がんばるー。じゃあダンジョン攻略スタートです」

 飛び込んだのは、一見すると外の世界みたいなダンジョン。
 これってまるで、私が以前飛び込んだ、どこまでも空に積み上がっているダンジョンみたい。
 遠くに別の世界が見えたんだよね。

「こいつは……。アーピックスのステージと違うぜ!」

 チャラウェイさんも同じ感想を抱いたようだった。
 アーピックスっていうのは、このFPS……ファーストパーソン・シューティングっていう、プレイヤー視点のシューティングアクションゲームの名前ね。
 三人でチームを組み、団体戦をやるゲームなのだ。

「恐らく、あの世界とゲームを繋げているんだろう。そして法則はゲーム側に支配されるようだ。つまり、一定以上被弾したらやられるぞ。おいでなすった!」

 八咫烏さんが不敵に笑いながら、走っていった。
 そうしたら、彼がいたところにタタタタタッと光の銃弾が降り注ぐ。

 八咫烏さんは壁を蹴って飛び上がると、いきなりその背中から翼みたいなのが広がった。
 一瞬だけ滑空しながら、八咫烏さんは物陰にいたデーモンにラーフを浴びせかけた。

『ウグワーッ!! や、八咫烏!? やっぱうめぇー』

 そう言いながら、デーモンが人の姿に戻って倒れた。
 あ、これは人に戻して助けられるパターンだ!

「あれが八咫烏のスタイルさ。ラーフのみで戦うシンプルな戦い方だが、身体能力と滑空を使って四次元な動きをする。はづきちゃんがコラボしてきたやつの中でもトップクラスの実力じゃねえかな。おっと! 俺も負けねえけどな! ヒャッハー!!」

 チャラウェイさんがクロスボウを連射しながら走っていく。
 そして銃弾を避けてゴロゴロ転がりながら、腰につけていたトマホークを投げつけた。

 トマホークが孤を描いて、物陰にいたデーモンに突き刺さる。

『ウグワーッ!!』

 銃撃が止まったら、チャラウェイさんが素早く物陰まで走って行って斧でデーモンを仕留めたみたいだ。
 まあ、人間に戻って助けられるようになるんだけど。

「みんなつよーい」

※『はづきっち棒立ちで草』『真打ちは最後に登場するんだもんな』『はよ行けw』

「はぁい」

 私もトテトテと小走りで動いた。
『FPSだとはづきっちの姿が見えないなw』『だけど普段の視界を共有できるのか』『これがはづきっちの視界……。正面突破じゃんw』

 あっ、光の銃弾。
 私は慌ててレーザーブレードを振った。

 銃弾が弾かれる。

※『ビームみたいなのを視認して弾いとるw』『見えない見えないw なんで見えてるのw』『何気に動体視力やばいんだよな』『弾かれた攻撃が跳弾して、敵も動けなくなると言うな』『あっ、敵が逃げるぞはづきっち!』

「はぁい! じゃあマジックハンドでですねー。こうやって」

 マジックハンドが伸びた。
 思った以上にかなり伸びた。

 それが遮蔽物をむんずと掴むと、私が動かす方向に放り投げる。
 逃げようとしていたデーモンがむき出しになった。

『えっ!? 何だそれ!?』

※『地形を破壊するやつだw!』『いきなりゲームの枠を超えるなw』『はづきっちはいつもながら身も蓋もないw』『レーザーブレードで攻撃弾きながら小走りで近づいてるぞ』『速い速い速いw』

「あちょっ」

『ウグワーッ!? こんなんFPSじゃねえー』

 人に戻ってしまった。

「はづきちゃん、FPSで近接スタイルかあ! やるねえ!」

「うんうん。回避ではなく防御しながら接敵するスタイル……! いいねいいね」

「あひ、お褒めいただき恐悦至極……」

 私は照れた。
 というか、ずっしり重くて中にLEDが仕込まれてるレーザーブレードを振り回しても、全然腕がだるくならない。
 配信生活の中で鍛えられたんだなあ。

 そしてなんかお互いを褒め合うの、いい感じ。
 ニヤニヤしちゃう。

「八咫烏さんもナイス、です……。チャラウェイさんもトマホーク凄い……」

「ありがとう!」

「サンキュー! この調子で行こうぜ!」

 三人で盛り上がって、次のステージに向かうのだ。
しおりを挟む
感想 189

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜

夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。 不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。 その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。 彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。 異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!? *小説家になろうでも公開しております。

処理中です...