135 / 517
休憩? 私の充電編
第135話 カラオケコラボ伝説
しおりを挟む
「はづき先輩。ドリンク持ちました? のど飴は? 喉にシュッとするスプレーは? よし!」
シカコ氏に持ち物チェックをしてもらい、臨時マネージャーとしての彼女を引き連れて、ライブダンジョン本社に到着なのだ。
風街さんは迎えを出すと言ってたけど、全部やってもらうのも悪いので……。
電車で来た!
あらかじめ送られてきていた入館証を差し出すと、受付の人が「あっ」という顔になった。
それまで、なんで女子高生が二人やって来たんだ、みたいな顔をしてたのに凄くリスペクトを感じる目線になる。
「あなたがあの噂の……。ジャンボジェットでダンジョンを粉砕するアーカイブ見ました!」
「あひー! 個人特定されるような話やめてください~!」
「はひ! やっぱりはづき先輩はすごいー」
シカコ氏まで持ち上げてくるし。
こ、こんな受付にいられるか。
私はエレベーターに乗り込むぞ。
ということで、エレベーターで本社のあるフロアへ。
ビルの幾つかの階を使っているみたいで、ライブダンジョン本社は広いのだ。
この中に収録スタジオも幾つかあるらしい。
今回は一番小さいスタジオを使わせてもらうことになっていた。
エレベーターから出ると、古い固定電話みたいなのがあった。
恐る恐る取り上げる。
「あ、きら星はづきです……。来ました……。風街さんによろしくお願いします……」
受話器を置いて振り返ったら、シカコ氏がガチガチになっていた。
「う、う、うち緊張してきました……! ラ、ラ、ライブダンジョン本社って。所属する配信者の大多数が50万人以上の登録者数の業界トップ配信企業……。そ、そんなところについこの間までただのファンだったうちが……」
「誰かが私よりも緊張してると、なんか安心するなあ」
兄がシカコ氏をつけてくれたのは正解だったかも。
なお、私にもシカコ氏にも、近々専用のマネージャーがつくことになるみたいだ。
シカコ氏のマネージャーはビクトリア担当も兼任するとか。
どんどん大きくなる、イカルガエンターテイメント。
なお、入社したはずのたこやきはリモートなので一度も出社してこない模様。
「来た来た。はづきさーん」
「えっ、彼女がきら星はづきちゃんなんだ!? むっふー、エリートの香りを感じるにぇ」
「うっわ、本当に若い! かわいー!」
「隣に小さい子が……」
「さては……」
「察し」
う、うわーっ!!
たくさん女性の方が出てきて私とシカコ氏を取り囲んでしまった!
ま、まさかこの人たち全員が……。
「紹介するわね」
風街さんがさらりとその場にいる全員の紹介をしてくれる。
ちょっと舌っ足らずな人が、はるのみこさん。
一見して落ち着いた女性だけど、私を可愛い可愛い言って撫でてくるのがコスモちゃんさん。
ぽわーんとした目でシカコ氏を見極めているのが、サイ子さん。
そしておっとりした感じの人がDIzさん。
「はえー」
ポカーンとする私の横で、シカコ氏がガクガク震えた。
「ぜ、ゼロナンバー勢ぞろい!! それぞれが外部で活動していたけれどライブダンジョンに所属することになり、何期という扱いから外れた強力な配信者の方々ー! その中でもコスモちゃんはライブダンジョンが今の姿になる前から活動を続けていた一番最初のお人ー! ライブダンジョンの始まりとも言える二人目の配信者、サイ子さんも! これは大変なことですよはづき先輩ー!」
詳しい解説助かるー。
そしてシカコ氏が私にすがりついてくる。
「た、大変なんだ!?」
「大変ですー。うち、足腰が立たなくなりそう……!!」
「いけない、生まれたての子鹿みたいになってる」
私の言葉に、ゼロナンバーの五人はドッと沸いた。
な、何か面白いことを言ってしまったのだろうか……!?
「ということで……本来は私とはづきさんの二人でカラオケだったんだけど、みんなはづきさんに会いたいって出てきちゃって」
「「「「よろしくねー」」」」
「あっ、はい、こちらこそ……!!」
とんでもないことになってきた。
こじんまりしたスタジオに、私たちとスタッフさんが入り、機材も入って凄い人口密度だ!
収録ルームは六人だけだから、まだマシだけど。
おお、機材ルームにいるシカコ氏がホッとした顔だ。
緊張から解放されたらしい。
「それじゃあ、カラオケ生配信行ってみよう!」
風街さんの宣言とともに、配信が始まった。
彼女のチャンネルでの配信になるんだけど……。
同接数が凄いことになっている。
そりゃあまあ、ゼロナンバーが集まってるもんねえ。
※『ゼロナンバー集結だけじゃなく、きら星はづきがゲスト出演!?』『凄い、豪華!!』『楽しみー!!』
私に注目が集まっている……!?
「あ、あまり期待しないでください……! あ、こんきらー。そろそろ新人ではない冒険配信者のきら星はづきです~」
※『謙虚~』『あれだけスケールが大きいことやったのにw』『人気の理由が分かるわ』
なんだなんだ!?
やたら褒めてくるぞ。
お前らと違う……。これは姫プレイで私を調子に乗らせる罠では……?
「じゃあはづきさんが猜疑心に満ちた目になったところで、カラオケを……」
「一番、コスモ。歌いまーす!」
あーっ。
なし崩し的に始まってしまったー!
手渡されたセトリは0ナンバーの人たちが加わったことでめっちゃ増えてる。
こ、これは二時間半くらいの配信になるのでは……!?
45分くらいで終わると思ってたのにっ。
そして。
三時間くらい配信することになったのだった。
0ナンバーの人たち、本当にみんな上手い。
この中で、素人カラオケの私が混じるのがどういうことか!
こ、公開処刑~。
「他に無い独特の歌声ね……。好きかも」
なんか風街さんがつぶやき、他のみなさんが頷いた。
コメントにも同意が流れる。
フォローが優しい……!!
「ふ、ふふふ、わた、私のメインステージはダンジョン配信なので……」
私がちょっと負け惜しみみたいなことを言ったら、この場の人たちどころかコメント欄までみんな真顔みたいになって、『それはそう』と言ってくるのだった。
あれっ……!?
ここは笑って流すところでは……!?
シカコ氏に持ち物チェックをしてもらい、臨時マネージャーとしての彼女を引き連れて、ライブダンジョン本社に到着なのだ。
風街さんは迎えを出すと言ってたけど、全部やってもらうのも悪いので……。
電車で来た!
あらかじめ送られてきていた入館証を差し出すと、受付の人が「あっ」という顔になった。
それまで、なんで女子高生が二人やって来たんだ、みたいな顔をしてたのに凄くリスペクトを感じる目線になる。
「あなたがあの噂の……。ジャンボジェットでダンジョンを粉砕するアーカイブ見ました!」
「あひー! 個人特定されるような話やめてください~!」
「はひ! やっぱりはづき先輩はすごいー」
シカコ氏まで持ち上げてくるし。
こ、こんな受付にいられるか。
私はエレベーターに乗り込むぞ。
ということで、エレベーターで本社のあるフロアへ。
ビルの幾つかの階を使っているみたいで、ライブダンジョン本社は広いのだ。
この中に収録スタジオも幾つかあるらしい。
今回は一番小さいスタジオを使わせてもらうことになっていた。
エレベーターから出ると、古い固定電話みたいなのがあった。
恐る恐る取り上げる。
「あ、きら星はづきです……。来ました……。風街さんによろしくお願いします……」
受話器を置いて振り返ったら、シカコ氏がガチガチになっていた。
「う、う、うち緊張してきました……! ラ、ラ、ライブダンジョン本社って。所属する配信者の大多数が50万人以上の登録者数の業界トップ配信企業……。そ、そんなところについこの間までただのファンだったうちが……」
「誰かが私よりも緊張してると、なんか安心するなあ」
兄がシカコ氏をつけてくれたのは正解だったかも。
なお、私にもシカコ氏にも、近々専用のマネージャーがつくことになるみたいだ。
シカコ氏のマネージャーはビクトリア担当も兼任するとか。
どんどん大きくなる、イカルガエンターテイメント。
なお、入社したはずのたこやきはリモートなので一度も出社してこない模様。
「来た来た。はづきさーん」
「えっ、彼女がきら星はづきちゃんなんだ!? むっふー、エリートの香りを感じるにぇ」
「うっわ、本当に若い! かわいー!」
「隣に小さい子が……」
「さては……」
「察し」
う、うわーっ!!
たくさん女性の方が出てきて私とシカコ氏を取り囲んでしまった!
ま、まさかこの人たち全員が……。
「紹介するわね」
風街さんがさらりとその場にいる全員の紹介をしてくれる。
ちょっと舌っ足らずな人が、はるのみこさん。
一見して落ち着いた女性だけど、私を可愛い可愛い言って撫でてくるのがコスモちゃんさん。
ぽわーんとした目でシカコ氏を見極めているのが、サイ子さん。
そしておっとりした感じの人がDIzさん。
「はえー」
ポカーンとする私の横で、シカコ氏がガクガク震えた。
「ぜ、ゼロナンバー勢ぞろい!! それぞれが外部で活動していたけれどライブダンジョンに所属することになり、何期という扱いから外れた強力な配信者の方々ー! その中でもコスモちゃんはライブダンジョンが今の姿になる前から活動を続けていた一番最初のお人ー! ライブダンジョンの始まりとも言える二人目の配信者、サイ子さんも! これは大変なことですよはづき先輩ー!」
詳しい解説助かるー。
そしてシカコ氏が私にすがりついてくる。
「た、大変なんだ!?」
「大変ですー。うち、足腰が立たなくなりそう……!!」
「いけない、生まれたての子鹿みたいになってる」
私の言葉に、ゼロナンバーの五人はドッと沸いた。
な、何か面白いことを言ってしまったのだろうか……!?
「ということで……本来は私とはづきさんの二人でカラオケだったんだけど、みんなはづきさんに会いたいって出てきちゃって」
「「「「よろしくねー」」」」
「あっ、はい、こちらこそ……!!」
とんでもないことになってきた。
こじんまりしたスタジオに、私たちとスタッフさんが入り、機材も入って凄い人口密度だ!
収録ルームは六人だけだから、まだマシだけど。
おお、機材ルームにいるシカコ氏がホッとした顔だ。
緊張から解放されたらしい。
「それじゃあ、カラオケ生配信行ってみよう!」
風街さんの宣言とともに、配信が始まった。
彼女のチャンネルでの配信になるんだけど……。
同接数が凄いことになっている。
そりゃあまあ、ゼロナンバーが集まってるもんねえ。
※『ゼロナンバー集結だけじゃなく、きら星はづきがゲスト出演!?』『凄い、豪華!!』『楽しみー!!』
私に注目が集まっている……!?
「あ、あまり期待しないでください……! あ、こんきらー。そろそろ新人ではない冒険配信者のきら星はづきです~」
※『謙虚~』『あれだけスケールが大きいことやったのにw』『人気の理由が分かるわ』
なんだなんだ!?
やたら褒めてくるぞ。
お前らと違う……。これは姫プレイで私を調子に乗らせる罠では……?
「じゃあはづきさんが猜疑心に満ちた目になったところで、カラオケを……」
「一番、コスモ。歌いまーす!」
あーっ。
なし崩し的に始まってしまったー!
手渡されたセトリは0ナンバーの人たちが加わったことでめっちゃ増えてる。
こ、これは二時間半くらいの配信になるのでは……!?
45分くらいで終わると思ってたのにっ。
そして。
三時間くらい配信することになったのだった。
0ナンバーの人たち、本当にみんな上手い。
この中で、素人カラオケの私が混じるのがどういうことか!
こ、公開処刑~。
「他に無い独特の歌声ね……。好きかも」
なんか風街さんがつぶやき、他のみなさんが頷いた。
コメントにも同意が流れる。
フォローが優しい……!!
「ふ、ふふふ、わた、私のメインステージはダンジョン配信なので……」
私がちょっと負け惜しみみたいなことを言ったら、この場の人たちどころかコメント欄までみんな真顔みたいになって、『それはそう』と言ってくるのだった。
あれっ……!?
ここは笑って流すところでは……!?
20
お気に入りに追加
246
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜
夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。
不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。
その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。
彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。
異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!?
*小説家になろうでも公開しております。
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる