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ドカ盛り! 私のアメリカ編
第112話 出立、ファーストクラス伝説
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当日がやって来た。
アタッシュケースにちょっとよそ行きの格好をして、私は兄とともに空港へ。
ここに来ると、メイユーと出会った時のことを思い出すなあ……。
なんて思ってたら、滑走路にでっかいジャンボジェットが降り立った。
あれが結界化された飛行機かな?
アメリカから来たっぽいからそうなんだろうなあ……。
でも、あんな大きな飛行機でどうするのか。
……と思ったら。
「あの胴体部分がまるごと結界で」
迷宮省の人が教えてくれた。
なるほどー。
「じゃあ乗れるのは……」
「ファーストクラスの座席だけになりますね」
「ひえー」
太平洋を渡ろうとしたらそれくらい大変なんだ!
そりゃあ海外旅行なんかできないよねえ……。
「まあ、これは色欲のマリリーヌ対策なので、通常はちゃんと座席は座席として使えますよ。それでも乗客のストレス度合いによってダンジョンかする可能性があるので、長期フライトが必要な航路は危険で使えないのです」
「なるほど~」
「それから、空のあちこちがダンジョン化している場合が」
「ひえー」
迷宮省の人から恐ろしい話を聞いてしまった。
この日のために作っておいたパスポートをいそいそ取り出し、空港の職員さんに見せる。
なぜかその出国審査の人は、ニコニコしていた。
「なんで笑ってたんだろう……」
「お前が鼻息も荒く得意げにパスポートを見せたからじゃないか? フリーパスなんだぞ。向こうから直接招かれてるんだ」
兄に言われてハッとする。
そ、それじゃあ私がなんか一人だけ張り切ってるみたいじゃないかー。
案内された機内には、めちゃくちゃ大きな座席が5つくらいしかなかった。
こ……これがファーストクラス……!
ちなみにこの部屋の向こうでは、武装した兵士の人がいて、私たちの警護をやってるみたい。
映画の中の世界みたいだー。
「武装? 人間が相手じゃないんだから無駄じゃないのか?」
兄の疑問に、迷宮省の人が返答する。
「人間による襲撃があることを警戒しています。現在アメリカでは、ダンジョンを崇拝するカルト集団が発生していることはご存知でしょう。ダンジョンこそ人類を導く新たな世界への入り口だという教えです」
「そんな連中がいるのか……」
呆れる兄。
私もちょっと分からないなあ。
ダンジョンの中では美味しいものも食べられないし、のんびり寝転がることだってできない。
そこに救いはないね!
まあでも、ダンジョンの向こうに別の世界が広がっているのは確かだけど。
ということで、ファーストクラスの座席はベッドみたいにフラットっぽくもなるので、ここに寝転がってゴロゴロした。
そうしてると、外からアメリカの偉い人っぽいのがやって来て挨拶してきた。
「あひー」
めちゃくちゃゴロゴロしてた!
私は恐縮する。
応対は兄がやってくれたのだけど、アメリカの偉い人は妙に私の話を聞きたがった。
えっ?
私の普段の話を聞きたいんです!?
全然ダンジョンとかと関係ないけどいいのかな、と思いながら、偉い人にお話をした。
き、緊張した~。
偉い人はニコニコしながら去っていった。
ファーストクラスのさらに先に、なんかVIPルームみたいなのがあるっぽい。
これ以上豪華な席……?
どういうこと……?
しばらくすると飛行機は離陸を開始した。
私はゴロゴロしながら、サービスで出てくるジュースを飲んだり、機内食のハンバーガーなどをもらってむしゃむしゃ食べた。
そして……暇を持て余し始める。
暇になったらどうする?
よし、配信しよう。
「お前ら、こんきらー。今、私は飛行機のファーストクラスに乗ってアメリカに向かっています」
※『こんきらー!』『機内から配信していいのかw』もんじゃ『Aフォンは通信のやり方が違うから問題ない。はづきっちとのやりとりにタイムラグもないだろう?』『そう言えば』
「お前らー、私はこれから十何時間とかフライトしてすごく暇なので、話し相手になってくれー」
※『暇つぶしのための雑談枠!!』『良く見たらごろ寝してるじゃんw』『それがはづきっちの私服かあ』
リスナーたちと他愛もない話をする。
すでに飛行機は海の上。
アメリカ目指してどんどん飛んで行っている。
時折、後ろの席から兵士っぽい人がやって来て周辺を警戒していた。
※『軍人おる』『銃を持ってるぞ』『あれがモンスターに通用するん?』もんじゃ『かの国では銃信仰が強いからな。配信者も銃を使う場合が多い。それ故に、彼の国の銃はある程度モンスターに通用するようだ。ダンジョンハザードを軍隊で食い止めたという記録もある』
「ほえー、そんな風になってるんだねえ。だったらゴボウを振り回す女子高生なんかいちいち呼ばなくていいのでは……?」
※もんじゃ『色欲のマリリーヌや、そこまでではなくても上位のモンスターに現代兵器は通用しないのだ』いももち『銃はなんかワビサビがないもんねえ。やっぱりはづきちゃんみたいに体一つで立ち向かうのが好き!』
「複雑な力関係があるみたいだ……!! もんじゃは便利だなあ」
※『褒められとる』『俺も褒めて褒めて』いももち『私ははづきちゃん褒めちゃう!かわいい!最強!』
「うへへ、褒められちゃいました。みんなも配信見ててえらい~……」
とかやってたら、私の意識は遠ざかっていった。
※『寝た!』『寝てしまった』『寝顔かわいい』『配信続いてるぞ』『これからこの配信ははづきっちの寝顔と寝息ASMR配信になります』『ヤッター!』たこやき『なんかこう……何か起こりそうな予感がするんだよなあ……』
「むにゃむにゃ……フラグやめろ……」
アタッシュケースにちょっとよそ行きの格好をして、私は兄とともに空港へ。
ここに来ると、メイユーと出会った時のことを思い出すなあ……。
なんて思ってたら、滑走路にでっかいジャンボジェットが降り立った。
あれが結界化された飛行機かな?
アメリカから来たっぽいからそうなんだろうなあ……。
でも、あんな大きな飛行機でどうするのか。
……と思ったら。
「あの胴体部分がまるごと結界で」
迷宮省の人が教えてくれた。
なるほどー。
「じゃあ乗れるのは……」
「ファーストクラスの座席だけになりますね」
「ひえー」
太平洋を渡ろうとしたらそれくらい大変なんだ!
そりゃあ海外旅行なんかできないよねえ……。
「まあ、これは色欲のマリリーヌ対策なので、通常はちゃんと座席は座席として使えますよ。それでも乗客のストレス度合いによってダンジョンかする可能性があるので、長期フライトが必要な航路は危険で使えないのです」
「なるほど~」
「それから、空のあちこちがダンジョン化している場合が」
「ひえー」
迷宮省の人から恐ろしい話を聞いてしまった。
この日のために作っておいたパスポートをいそいそ取り出し、空港の職員さんに見せる。
なぜかその出国審査の人は、ニコニコしていた。
「なんで笑ってたんだろう……」
「お前が鼻息も荒く得意げにパスポートを見せたからじゃないか? フリーパスなんだぞ。向こうから直接招かれてるんだ」
兄に言われてハッとする。
そ、それじゃあ私がなんか一人だけ張り切ってるみたいじゃないかー。
案内された機内には、めちゃくちゃ大きな座席が5つくらいしかなかった。
こ……これがファーストクラス……!
ちなみにこの部屋の向こうでは、武装した兵士の人がいて、私たちの警護をやってるみたい。
映画の中の世界みたいだー。
「武装? 人間が相手じゃないんだから無駄じゃないのか?」
兄の疑問に、迷宮省の人が返答する。
「人間による襲撃があることを警戒しています。現在アメリカでは、ダンジョンを崇拝するカルト集団が発生していることはご存知でしょう。ダンジョンこそ人類を導く新たな世界への入り口だという教えです」
「そんな連中がいるのか……」
呆れる兄。
私もちょっと分からないなあ。
ダンジョンの中では美味しいものも食べられないし、のんびり寝転がることだってできない。
そこに救いはないね!
まあでも、ダンジョンの向こうに別の世界が広がっているのは確かだけど。
ということで、ファーストクラスの座席はベッドみたいにフラットっぽくもなるので、ここに寝転がってゴロゴロした。
そうしてると、外からアメリカの偉い人っぽいのがやって来て挨拶してきた。
「あひー」
めちゃくちゃゴロゴロしてた!
私は恐縮する。
応対は兄がやってくれたのだけど、アメリカの偉い人は妙に私の話を聞きたがった。
えっ?
私の普段の話を聞きたいんです!?
全然ダンジョンとかと関係ないけどいいのかな、と思いながら、偉い人にお話をした。
き、緊張した~。
偉い人はニコニコしながら去っていった。
ファーストクラスのさらに先に、なんかVIPルームみたいなのがあるっぽい。
これ以上豪華な席……?
どういうこと……?
しばらくすると飛行機は離陸を開始した。
私はゴロゴロしながら、サービスで出てくるジュースを飲んだり、機内食のハンバーガーなどをもらってむしゃむしゃ食べた。
そして……暇を持て余し始める。
暇になったらどうする?
よし、配信しよう。
「お前ら、こんきらー。今、私は飛行機のファーストクラスに乗ってアメリカに向かっています」
※『こんきらー!』『機内から配信していいのかw』もんじゃ『Aフォンは通信のやり方が違うから問題ない。はづきっちとのやりとりにタイムラグもないだろう?』『そう言えば』
「お前らー、私はこれから十何時間とかフライトしてすごく暇なので、話し相手になってくれー」
※『暇つぶしのための雑談枠!!』『良く見たらごろ寝してるじゃんw』『それがはづきっちの私服かあ』
リスナーたちと他愛もない話をする。
すでに飛行機は海の上。
アメリカ目指してどんどん飛んで行っている。
時折、後ろの席から兵士っぽい人がやって来て周辺を警戒していた。
※『軍人おる』『銃を持ってるぞ』『あれがモンスターに通用するん?』もんじゃ『かの国では銃信仰が強いからな。配信者も銃を使う場合が多い。それ故に、彼の国の銃はある程度モンスターに通用するようだ。ダンジョンハザードを軍隊で食い止めたという記録もある』
「ほえー、そんな風になってるんだねえ。だったらゴボウを振り回す女子高生なんかいちいち呼ばなくていいのでは……?」
※もんじゃ『色欲のマリリーヌや、そこまでではなくても上位のモンスターに現代兵器は通用しないのだ』いももち『銃はなんかワビサビがないもんねえ。やっぱりはづきちゃんみたいに体一つで立ち向かうのが好き!』
「複雑な力関係があるみたいだ……!! もんじゃは便利だなあ」
※『褒められとる』『俺も褒めて褒めて』いももち『私ははづきちゃん褒めちゃう!かわいい!最強!』
「うへへ、褒められちゃいました。みんなも配信見ててえらい~……」
とかやってたら、私の意識は遠ざかっていった。
※『寝た!』『寝てしまった』『寝顔かわいい』『配信続いてるぞ』『これからこの配信ははづきっちの寝顔と寝息ASMR配信になります』『ヤッター!』たこやき『なんかこう……何か起こりそうな予感がするんだよなあ……』
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