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冴えない私の黎明編
第1話 同接3人から始まる伝説
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自分を変えたいと思った。
陰キャな自分に比べて、画面の向こうの配信者たちはキラキラ輝いている。
「や、やるしかねえ……!」
私はカッとなって、配信者への道を歩きだす。
その先にまさか、こんなとんでもない、世界を巻き込むような事態になるなんて……!
「みなさーん、こんにち、きら星~! 新人冒険配信者のきら星はづきと申しますー!」
ここは、一軒家が変質したダンジョンの中。
薄暗い空間の中で、私は目の前に展開したディスプレイに向けて手を振った。
そこには、キャラクター化された私の姿が映っている。
ピンク色の髪に、緑色の瞳。なかなかの美少女なんだけど、身につけた服がジャージなので色々台無しかもしれない。
横にはチャット欄があって、画面下にはこの配信のタイトルが書かれている。
そう、これは配信。
私は一人ダンジョンに潜って、探索、冒険する姿を配信しているのだ。
(同接……1人……!! 良かったぁ……!! ゼロじゃない……!!)
たこやき『こんにちはー』
チャット欄をコメントが流れていく。
「こんにちは! 今日から配信始めることになりました! まだまだ冒険配信者の卵なんですけど、これから全力で頑張っていきますよー! おーっ!!」
たこやき『がんばれー! 何の予告もなしにいきなり始まってるからびっくりした』
「えっ!? 何の予告もなしに!? ……お、おう」
しまった。
冒険配信者は、宣伝力も試される。
SNSであるツブヤキッターや、エンスタグラムとかで宣伝し、自分の配信に人を集めることもやらなければならないのだ!
うわーっ!
先走ったー!!
お陰でよりによって、同接1人!!
ダンジョンで同接1人は死ねる!!
「じゃ、じゃあ、そーっと始めますね、そーっと」
たこやき『がんばれー!』
私は恐る恐る、ダンジョン探索を開始した。
現代のダンジョンって、いわゆる怪奇スポットと呼ばれる所に発生するんだよね。
なので、街中にいきなり、ポンとダンジョンが生まれてたりする。
放っておくとモンスターが中で繁殖して、ウワーッと外に溢れてくるダンジョンハザードが発生する。
ダンジョンハザードで、過疎化した村が次々に全滅したりしたみたい。
こわあ。
ってことで、ダンジョンは放っておけないわけだ。
あと、このダンジョンってかなり面倒くさい特徴があって……。
「あっ、第一ゴブリン発見です!」
たこやき『がんばれー』
もんじゃ『初見ですこんにちは』
「あっ、初見さんこんにちは! 今からゴブリンと戦うんですよー」
もんじゃ『えっ、同接2人で!? というかチャンネル登録者数1人じゃないですか!! 死ぬ気ですか!?』
長文ありがとうございます!!
そう、ダンジョンに置いて、配信して同接がどれだけ多いかで戦闘力が決まるのだ!
冒険配信者のチャンネル登録者数は、その人の実力を現していると言われている。
もんじゃ『登録しときますね』
「ありがとうございます! 登録ありがとうございます!」
私はペコペコ頭を下げた。
ありがてー!!
人の情があったけー!!
『ゴブゴブー!!』
「あっ、ゴブリンに気づかれました!」
たこやき『うるさくしてたもんね。がんばれー』
もんじゃ『武器は装備しないと効果を発揮しませんよ!』
「あっはい。今日はですね、ダンジョンって集めた伝説の数が強さになるのはご存知だと思うんですけど、だとしたら、同じ伝説の量なら銃でも野菜でも威力は同じなのでは……? というのを確かめてみようと思います!」
私はこのために買ってきていた武器を、リュックから取り出した。
もんじゃ『えっ!?!?!?! 初配信、チャンネル登録者2人でネタ配信!? 死ぬ気ですか!?』
「し、死なない! じゃあ、このゴボウでゴブリンと戦って見ようと思います!」
もんじゃ『死にますよ!! 死ぬって!』
たこやき『がんばれー』
もんじゃ『がんばれーじゃねえよ!』
「あっあっ、チャット欄で喧嘩は困りますー!!」
『ゴブゴブー!!』
うわーっ、チャット欄の治安を気にしてたら、今にもゴブリンが殴りかかろうとしてくる!
手にしているのは、出刃包丁だ。
私は慌てて、ゴボウを構えた。
包丁がゴボウに突き刺さる。
普通なら、ゴボウは簡単に切断されてしまうだろう。
だけどこのゴボウは普通のゴボウじゃない。
同接二人ぶんの伝説が込められているのだ。
だから、切断されない。
『ゴブー!』
「うぎぎぎぎぎ、は、はい皆さん! ほら、ゴボウで攻撃を受け止められました! つまり伝説が籠もっていたら、ゴボウでも戦うことができる……」
もんじゃ『あーっ、ゴボウ切れちゃう! ゴボウ切れちゃう!』
そりゃあ、出刃包丁を受け止めたらゴボウは切れるでしょう、野菜なんだから。
……じゃない!
ゴボウ切れちゃったらやばいでしょ!
「あひーっ! た、助けてーっ!」
いきなり初配信で大ピンチ!
配信したら同接なんかブワーッと増えるでしょ! なんて考えてた私がバカでしたー!
どんどんゴボウに食い込む出刃包丁。
『ゴッブウ!!』
ゴブリンが残忍な笑みを浮かべる。
あひー、死ぬー!
おこのみ『初見です。死ぬとこ?』
その瞬間!
出刃包丁の動きがピタリと止まった。
同接……3人……!!
ゴボウの強度が、1.5倍に増えたのだ。
急に包丁が動かなくなり、ゴブリンは目を見開く。
驚いてる驚いてる。
たこやき『よく来た。みんなで応援するぞ。がんばれー』
もんじゃ『頑張れ!死ぬなよ!!』
おこのみ『盛り上がってるところじゃん。エッッッッッッ!?ゴボウで戦ってんの!?!>!! 草』
草じゃない!
私は必死だーっ!!
「おらーっ! 行くぞーおらーっ!」
『ゴ、ゴブ! ゴブゴブ!!』
いきなり雄叫びをあげた私に、ゴブリンはたじたじだ。
ついに出刃包丁を手放すと、全力で逃げ出した。
これは……。
「うおおおおおお!! 勝ったー!! 勝ったどーっ!!」
拳を突き上げて、叫ぶ私。
激しいアクションに、ジャージの下で胸が揺れた。
たこやき『あっ、もしかしておっぱい大きい』
チャットでセンシティブな事言うのやめてください!!
BANされるでしょ!!
おこのみ『エッッッッ!? ファンになります』
チャンネル登録者数が3人になった。
陰キャな自分に比べて、画面の向こうの配信者たちはキラキラ輝いている。
「や、やるしかねえ……!」
私はカッとなって、配信者への道を歩きだす。
その先にまさか、こんなとんでもない、世界を巻き込むような事態になるなんて……!
「みなさーん、こんにち、きら星~! 新人冒険配信者のきら星はづきと申しますー!」
ここは、一軒家が変質したダンジョンの中。
薄暗い空間の中で、私は目の前に展開したディスプレイに向けて手を振った。
そこには、キャラクター化された私の姿が映っている。
ピンク色の髪に、緑色の瞳。なかなかの美少女なんだけど、身につけた服がジャージなので色々台無しかもしれない。
横にはチャット欄があって、画面下にはこの配信のタイトルが書かれている。
そう、これは配信。
私は一人ダンジョンに潜って、探索、冒険する姿を配信しているのだ。
(同接……1人……!! 良かったぁ……!! ゼロじゃない……!!)
たこやき『こんにちはー』
チャット欄をコメントが流れていく。
「こんにちは! 今日から配信始めることになりました! まだまだ冒険配信者の卵なんですけど、これから全力で頑張っていきますよー! おーっ!!」
たこやき『がんばれー! 何の予告もなしにいきなり始まってるからびっくりした』
「えっ!? 何の予告もなしに!? ……お、おう」
しまった。
冒険配信者は、宣伝力も試される。
SNSであるツブヤキッターや、エンスタグラムとかで宣伝し、自分の配信に人を集めることもやらなければならないのだ!
うわーっ!
先走ったー!!
お陰でよりによって、同接1人!!
ダンジョンで同接1人は死ねる!!
「じゃ、じゃあ、そーっと始めますね、そーっと」
たこやき『がんばれー!』
私は恐る恐る、ダンジョン探索を開始した。
現代のダンジョンって、いわゆる怪奇スポットと呼ばれる所に発生するんだよね。
なので、街中にいきなり、ポンとダンジョンが生まれてたりする。
放っておくとモンスターが中で繁殖して、ウワーッと外に溢れてくるダンジョンハザードが発生する。
ダンジョンハザードで、過疎化した村が次々に全滅したりしたみたい。
こわあ。
ってことで、ダンジョンは放っておけないわけだ。
あと、このダンジョンってかなり面倒くさい特徴があって……。
「あっ、第一ゴブリン発見です!」
たこやき『がんばれー』
もんじゃ『初見ですこんにちは』
「あっ、初見さんこんにちは! 今からゴブリンと戦うんですよー」
もんじゃ『えっ、同接2人で!? というかチャンネル登録者数1人じゃないですか!! 死ぬ気ですか!?』
長文ありがとうございます!!
そう、ダンジョンに置いて、配信して同接がどれだけ多いかで戦闘力が決まるのだ!
冒険配信者のチャンネル登録者数は、その人の実力を現していると言われている。
もんじゃ『登録しときますね』
「ありがとうございます! 登録ありがとうございます!」
私はペコペコ頭を下げた。
ありがてー!!
人の情があったけー!!
『ゴブゴブー!!』
「あっ、ゴブリンに気づかれました!」
たこやき『うるさくしてたもんね。がんばれー』
もんじゃ『武器は装備しないと効果を発揮しませんよ!』
「あっはい。今日はですね、ダンジョンって集めた伝説の数が強さになるのはご存知だと思うんですけど、だとしたら、同じ伝説の量なら銃でも野菜でも威力は同じなのでは……? というのを確かめてみようと思います!」
私はこのために買ってきていた武器を、リュックから取り出した。
もんじゃ『えっ!?!?!?! 初配信、チャンネル登録者2人でネタ配信!? 死ぬ気ですか!?』
「し、死なない! じゃあ、このゴボウでゴブリンと戦って見ようと思います!」
もんじゃ『死にますよ!! 死ぬって!』
たこやき『がんばれー』
もんじゃ『がんばれーじゃねえよ!』
「あっあっ、チャット欄で喧嘩は困りますー!!」
『ゴブゴブー!!』
うわーっ、チャット欄の治安を気にしてたら、今にもゴブリンが殴りかかろうとしてくる!
手にしているのは、出刃包丁だ。
私は慌てて、ゴボウを構えた。
包丁がゴボウに突き刺さる。
普通なら、ゴボウは簡単に切断されてしまうだろう。
だけどこのゴボウは普通のゴボウじゃない。
同接二人ぶんの伝説が込められているのだ。
だから、切断されない。
『ゴブー!』
「うぎぎぎぎぎ、は、はい皆さん! ほら、ゴボウで攻撃を受け止められました! つまり伝説が籠もっていたら、ゴボウでも戦うことができる……」
もんじゃ『あーっ、ゴボウ切れちゃう! ゴボウ切れちゃう!』
そりゃあ、出刃包丁を受け止めたらゴボウは切れるでしょう、野菜なんだから。
……じゃない!
ゴボウ切れちゃったらやばいでしょ!
「あひーっ! た、助けてーっ!」
いきなり初配信で大ピンチ!
配信したら同接なんかブワーッと増えるでしょ! なんて考えてた私がバカでしたー!
どんどんゴボウに食い込む出刃包丁。
『ゴッブウ!!』
ゴブリンが残忍な笑みを浮かべる。
あひー、死ぬー!
おこのみ『初見です。死ぬとこ?』
その瞬間!
出刃包丁の動きがピタリと止まった。
同接……3人……!!
ゴボウの強度が、1.5倍に増えたのだ。
急に包丁が動かなくなり、ゴブリンは目を見開く。
驚いてる驚いてる。
たこやき『よく来た。みんなで応援するぞ。がんばれー』
もんじゃ『頑張れ!死ぬなよ!!』
おこのみ『盛り上がってるところじゃん。エッッッッッッ!?ゴボウで戦ってんの!?!>!! 草』
草じゃない!
私は必死だーっ!!
「おらーっ! 行くぞーおらーっ!」
『ゴ、ゴブ! ゴブゴブ!!』
いきなり雄叫びをあげた私に、ゴブリンはたじたじだ。
ついに出刃包丁を手放すと、全力で逃げ出した。
これは……。
「うおおおおおお!! 勝ったー!! 勝ったどーっ!!」
拳を突き上げて、叫ぶ私。
激しいアクションに、ジャージの下で胸が揺れた。
たこやき『あっ、もしかしておっぱい大きい』
チャットでセンシティブな事言うのやめてください!!
BANされるでしょ!!
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