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精霊の守り手編
熟練度カンストの侵入者
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翌日。
早速ディマスタン宮殿へやって来ている。
いわゆるホットスタートというやつである。
時間は昨夜の俺とアブラヒム、ドキッ! 男二人きりでの密会! から明けた朝。
あれで密会したのが謎の美女なんかだったら、大変に俺のテンションは上がったのだが。
いや、むしろ緊張して何も話せなくなるな。それに大人の女は苦手なのだった。
隣のリュカを見てホッとする。
そうそう、これくらいがいいんだよ。これくらいが。
俺は決してロリコンと言うわけではないが。
「っ……!」
俺が一人思索にふける横で、サマラが必死に口元を抑えている。
彼女の目と鼻の先を、宮殿警護の兵士が通過していくのだ。
彼らは俺たち三人が突っ立っているのにも気づいていない。
「小さい声なら出して大丈夫だよ。音も、光も、シルフさんが遮ってるから」
リュカが解説した。
そういうことなのである。
原理としては、シルフの力で厚い空気の層を作り、圧縮された空気をプリズムの壁として機能させる。
起こる現象は、光を屈折させて背後の風景を映し出す、つまりは光学迷彩である。だがこのままならばこちら側からも、光が屈折されて外の世界を拝むことが出来ないのだが、ここはなんとまた空気のプリズムを使って解決する。
光学迷彩部分の上方に、穴が開けてあるのだ。
ここに、外の風景を見ることが出来る空気の鏡を設置。
これによって外部の光景が、俺たちの周囲に映し出されるという事だ。
「ずっと練習しててね。こういうことも出来るようになったの」
とか。
うーむ。
凄まじいことをしているのではないか。
「ただ、これをやっちゃうと、シルフさんたちも疲れちゃうから、連続してはできないし。もし向こうから触られたら分かっちゃうから」
そのような欠点を持っているとしても、とんでもない能力である。
今という状況には大変ありがたい。
俺たちは光学迷彩で姿を隠しながら、ゆっくりと宮殿の敷地に潜入する。
ディマスタン宮殿は、堀に囲まれている。これは、日本の城にあるタイプの堀とはちょっと違っていて、どこまでも続く石畳のあちこちに、細長いプールが掘られているようなものである。
堀に橋がかかっているというよりも、本当に平坦な道の脇にプールがあるという外見。
水の中では魚が泳いでいる。
一見すると大変造形が美しい観光地的光景なのだが、しかしこれがまた、突破するとなると案外効果的なのだ。
本殿へ向かう道筋には、木々が植えられている。
その木々以外に、視界を遮るものは無い。
そして細い松明の台が点々とあるから、あちこちを照らされてしまえば、例え夜とて身を隠すことが難しい。
俺としては、潜入はノープランであった。
今は反省している。
ノープラン過ぎでしたごめんなさい。
「ひいっ」
またサマラが悲鳴をあげた。
すぐ横を、見回りの兵士が通過していく。
彼らとしては、視認できる範囲に不審者の姿など無いわけだから、いつもの仕事とばかりに歩き回っているだけだろう。
だがこちらとしては、触れられてしまえばこの魔法が解除されてしまうのだから、ドキドキものである。
彼らが規律正しく動いているからこそ、触れられること無く移動ができていると言うだけだ。
さらには、俺はアブラヒムに非殺を約束している。
奴が提示した理由にもそれなりに納得しているから、今回はドンパチするわけにはいかないのだ。
さあ、心臓に悪い侵入作戦を継続しよう。
「ひえっ」
「きゃあっ」
「ひゃー」
……サマラはあれだな。
堪え性が無いな。
ストレス耐性が無いのか、真っ青になって汗をダラダラかきながら、俺たちについてくる。
兵士たちとすれ違う度に小さく悲鳴をあげているから、その都度リュカが注意している。
「サマラ!!」
あ、とうとう怒った。
「声は出しても大丈夫って言っても、サマラは怖がりすぎ!! それじゃあ逆にこっちがピンチになっちゃうでしょ!」
「も、申し訳ございません大巫女様!!」
すぐに平伏するサマラ。
リュカは容赦なく、そんなサマラの後頭部にチョップを振り下ろした。
額が石畳に当たる音がする。
「い、いたい」
「見つかったら終わりなんだよ。怖くても、我慢して」
「……はい」
リュカ厳しい。
俺は、他人に期待というものをしない主義なせいか、ああいうサマラの行動を見てもなんとも思わない所がある。
いざとなれば、アブラヒムとの約束を台無しにしてでもここを切り抜ける自信があるからでもある。
だが、それはザクサーン教を完全に敵に回す行為でもある。
ラグナ教と比べて、ザクサーンは少々得体の知れないところがある。
アブラヒムは理性的で話のわかる男だ。
だからこそ、約束を破ってしまえば面倒なことになる気がする。
リュカがまた立ち上がる。
後ろで、サマラも落ち込みながらも必死についてくる。
よし、俺も仕事をするか。
「リュカ、この辺りに、ちょっとだけ隙間を作ってくれ。俺も仕事をする」
「え? いいよ。何をするの?」
「ちょっとな。こうやって移動してるだけじゃ、いつかぶつかったらアウトだろ」
俺はバルゴーンを呼び出した。
形状を変化させる。
ナイフ形。
歩きながらの作業である。本殿が間近に迫ってきた。
建物の形は……吹き抜けに近いな。
つまり、風が吹き抜けていくスペースがあるということだ。ありがたい。
だが、屋内であるから、通過できる空間は外部と比べると遥かに狭くなる。
「集団が来たな」
「ちょっとまずいかも」
通路を行く際、横に広がった集団は大変な脅威だ。
しかも一人が、壁に手をつけながら歩いてきたりする。なんだあの手癖は。迷惑な。
だが、そのために隙間を空けてもらったのだ。
俺はリュカに指示して、プリズムの形を変えてもらう。
少しだけ前進して、死角から荷物を結んだ紐目掛け、ナイフを走らせた。
誰かが運んでいた荷物が、どさりと地面に落ちる。
「うおっ!?」
「あー、何やってるんだよ」
集団が止まった。
荷物を下に落とした男に視線が集まり、廊下に隙間が空く。
「今だ!」
俺は囁き、リュカの手を握った。
リュカも握り返してくる。彼女は後ろに手を伸ばし、サマラの手を握る。
体を平たくして、集団の横を抜けていくのだ。
最後にサマラが体勢を崩した。
彼女は胸とか尻とか、立派にどーんと肉がついているので、隙間を抜けるのが苦手なのかもしれん。
俺はちょっと近寄ってキャッチした。
「あ、ありがとうございます!」
「でかい……柔い……!」
おや、これはリュカ以外のセカンド女体ではないか。
しかも結構成熟したボデーである。
いかん、ムラムラする。
落ち着くのだ俺よ。
俺は彼女の転倒を回避すると、
「よし、では先を急ごう。この通路を抜けたらすぐだろ?」
「はい。そこから宝物庫への扉です」
「扉の鍵が問題だな。誰が持っているんだか……」
通路が終わり、そこには独立した建物が存在している。
宮殿よりもなお強固な石壁に覆われた、見上げるような大きさの巨大な建造物である。
遠目には宮殿の一角だが、実際には宮殿が、この宝物庫を包み込むような構造になっている。
宮殿の内側だが、密閉されていないおかげで、風が届く。
イコール、シルフの力を借りられるということだ。
「一応、アタシがやれます」
ここまで割りとお荷物であったサマラの登場である。
お力を拝見しよう。
門の両側には兵士が立っている。
つまり、この門から中へ入ることは普通なら難しい。
ここは、ちょっと力づくで行くしかないだろう。
「俺が二人を気絶させる。その間に出来るか?」
「や、やってみます!!」
決意の表情である。
頑張っていただきたい。
俺は、バルゴーンを重剣の形状へ変化させる。
捻った方の足をトントン、と石畳にぶつける。固定しているから柔軟な動きはできないが、痛みは無い。
では行こう。
「リュカ、解け」
「うん。シルフさん……!」
周囲には、突然俺たちの姿が現れたように見えたことだろう。
狙ったのは、相手が虚を衝かれるタイミングだ。
俺は間近の兵士の頭目掛けて、重剣の腹を振るう。
「があっ!」
兵士がぶっ飛んだ。もうひとりの兵士の方向である。
俺はすぐさま追走する。
もうひとりが慌てて武器を構えるが、そこに吹っ飛ばされた兵士がぶつかって体勢を整えられない。そそこを狙って、重剣を連続で振り回す。
剣の腹が、二人の兵士の顎をかすめて脳を揺らす。
二人共目玉がぐるりと裏返ると、膝から崩れ落ちた。
「サマラ」
「もう少しです……!」
サマラがやっているのは、金属の棒を鍵穴に差し込むことだった。
彼女の胸元が発光し、熱を発している。
そこからは小さなヴルカンが生まれ、金属の棒を伝って鍵穴に入っていく。
すると、棒は一瞬その形を崩した。
異臭が周囲に漂う。金属を溶かしたのか。
これを、リュカがシルフの力で冷やす。
水の精霊ならばもっと冷やす力が強いのだろうが、文句は言っていられない。
サマラは決意を固めて、握り込んだ布越しに金属の棒を掴んだ。
ぐるりと回すと、重いガチャリ、という音がする。
扉が開いたのだ。
「よし、速攻で行こう」
気絶させた兵士が起き上がり、騒ぎ出す前に事を済ませねばならない。
サマラが松明を灯す。
ヴルカンが、油を染み込ませた松明の先端部、布が巻かれたところで踊ると、すぐに着火した。
火の精霊は並のライターやマッチよりも性能がいいかもしれん。
さて、宝物庫を探索だ。
……まさか、この中にゴーレムやらゴーストなんかは出てこないだろうな?
出てこないといいなあ……。
早速ディマスタン宮殿へやって来ている。
いわゆるホットスタートというやつである。
時間は昨夜の俺とアブラヒム、ドキッ! 男二人きりでの密会! から明けた朝。
あれで密会したのが謎の美女なんかだったら、大変に俺のテンションは上がったのだが。
いや、むしろ緊張して何も話せなくなるな。それに大人の女は苦手なのだった。
隣のリュカを見てホッとする。
そうそう、これくらいがいいんだよ。これくらいが。
俺は決してロリコンと言うわけではないが。
「っ……!」
俺が一人思索にふける横で、サマラが必死に口元を抑えている。
彼女の目と鼻の先を、宮殿警護の兵士が通過していくのだ。
彼らは俺たち三人が突っ立っているのにも気づいていない。
「小さい声なら出して大丈夫だよ。音も、光も、シルフさんが遮ってるから」
リュカが解説した。
そういうことなのである。
原理としては、シルフの力で厚い空気の層を作り、圧縮された空気をプリズムの壁として機能させる。
起こる現象は、光を屈折させて背後の風景を映し出す、つまりは光学迷彩である。だがこのままならばこちら側からも、光が屈折されて外の世界を拝むことが出来ないのだが、ここはなんとまた空気のプリズムを使って解決する。
光学迷彩部分の上方に、穴が開けてあるのだ。
ここに、外の風景を見ることが出来る空気の鏡を設置。
これによって外部の光景が、俺たちの周囲に映し出されるという事だ。
「ずっと練習しててね。こういうことも出来るようになったの」
とか。
うーむ。
凄まじいことをしているのではないか。
「ただ、これをやっちゃうと、シルフさんたちも疲れちゃうから、連続してはできないし。もし向こうから触られたら分かっちゃうから」
そのような欠点を持っているとしても、とんでもない能力である。
今という状況には大変ありがたい。
俺たちは光学迷彩で姿を隠しながら、ゆっくりと宮殿の敷地に潜入する。
ディマスタン宮殿は、堀に囲まれている。これは、日本の城にあるタイプの堀とはちょっと違っていて、どこまでも続く石畳のあちこちに、細長いプールが掘られているようなものである。
堀に橋がかかっているというよりも、本当に平坦な道の脇にプールがあるという外見。
水の中では魚が泳いでいる。
一見すると大変造形が美しい観光地的光景なのだが、しかしこれがまた、突破するとなると案外効果的なのだ。
本殿へ向かう道筋には、木々が植えられている。
その木々以外に、視界を遮るものは無い。
そして細い松明の台が点々とあるから、あちこちを照らされてしまえば、例え夜とて身を隠すことが難しい。
俺としては、潜入はノープランであった。
今は反省している。
ノープラン過ぎでしたごめんなさい。
「ひいっ」
またサマラが悲鳴をあげた。
すぐ横を、見回りの兵士が通過していく。
彼らとしては、視認できる範囲に不審者の姿など無いわけだから、いつもの仕事とばかりに歩き回っているだけだろう。
だがこちらとしては、触れられてしまえばこの魔法が解除されてしまうのだから、ドキドキものである。
彼らが規律正しく動いているからこそ、触れられること無く移動ができていると言うだけだ。
さらには、俺はアブラヒムに非殺を約束している。
奴が提示した理由にもそれなりに納得しているから、今回はドンパチするわけにはいかないのだ。
さあ、心臓に悪い侵入作戦を継続しよう。
「ひえっ」
「きゃあっ」
「ひゃー」
……サマラはあれだな。
堪え性が無いな。
ストレス耐性が無いのか、真っ青になって汗をダラダラかきながら、俺たちについてくる。
兵士たちとすれ違う度に小さく悲鳴をあげているから、その都度リュカが注意している。
「サマラ!!」
あ、とうとう怒った。
「声は出しても大丈夫って言っても、サマラは怖がりすぎ!! それじゃあ逆にこっちがピンチになっちゃうでしょ!」
「も、申し訳ございません大巫女様!!」
すぐに平伏するサマラ。
リュカは容赦なく、そんなサマラの後頭部にチョップを振り下ろした。
額が石畳に当たる音がする。
「い、いたい」
「見つかったら終わりなんだよ。怖くても、我慢して」
「……はい」
リュカ厳しい。
俺は、他人に期待というものをしない主義なせいか、ああいうサマラの行動を見てもなんとも思わない所がある。
いざとなれば、アブラヒムとの約束を台無しにしてでもここを切り抜ける自信があるからでもある。
だが、それはザクサーン教を完全に敵に回す行為でもある。
ラグナ教と比べて、ザクサーンは少々得体の知れないところがある。
アブラヒムは理性的で話のわかる男だ。
だからこそ、約束を破ってしまえば面倒なことになる気がする。
リュカがまた立ち上がる。
後ろで、サマラも落ち込みながらも必死についてくる。
よし、俺も仕事をするか。
「リュカ、この辺りに、ちょっとだけ隙間を作ってくれ。俺も仕事をする」
「え? いいよ。何をするの?」
「ちょっとな。こうやって移動してるだけじゃ、いつかぶつかったらアウトだろ」
俺はバルゴーンを呼び出した。
形状を変化させる。
ナイフ形。
歩きながらの作業である。本殿が間近に迫ってきた。
建物の形は……吹き抜けに近いな。
つまり、風が吹き抜けていくスペースがあるということだ。ありがたい。
だが、屋内であるから、通過できる空間は外部と比べると遥かに狭くなる。
「集団が来たな」
「ちょっとまずいかも」
通路を行く際、横に広がった集団は大変な脅威だ。
しかも一人が、壁に手をつけながら歩いてきたりする。なんだあの手癖は。迷惑な。
だが、そのために隙間を空けてもらったのだ。
俺はリュカに指示して、プリズムの形を変えてもらう。
少しだけ前進して、死角から荷物を結んだ紐目掛け、ナイフを走らせた。
誰かが運んでいた荷物が、どさりと地面に落ちる。
「うおっ!?」
「あー、何やってるんだよ」
集団が止まった。
荷物を下に落とした男に視線が集まり、廊下に隙間が空く。
「今だ!」
俺は囁き、リュカの手を握った。
リュカも握り返してくる。彼女は後ろに手を伸ばし、サマラの手を握る。
体を平たくして、集団の横を抜けていくのだ。
最後にサマラが体勢を崩した。
彼女は胸とか尻とか、立派にどーんと肉がついているので、隙間を抜けるのが苦手なのかもしれん。
俺はちょっと近寄ってキャッチした。
「あ、ありがとうございます!」
「でかい……柔い……!」
おや、これはリュカ以外のセカンド女体ではないか。
しかも結構成熟したボデーである。
いかん、ムラムラする。
落ち着くのだ俺よ。
俺は彼女の転倒を回避すると、
「よし、では先を急ごう。この通路を抜けたらすぐだろ?」
「はい。そこから宝物庫への扉です」
「扉の鍵が問題だな。誰が持っているんだか……」
通路が終わり、そこには独立した建物が存在している。
宮殿よりもなお強固な石壁に覆われた、見上げるような大きさの巨大な建造物である。
遠目には宮殿の一角だが、実際には宮殿が、この宝物庫を包み込むような構造になっている。
宮殿の内側だが、密閉されていないおかげで、風が届く。
イコール、シルフの力を借りられるということだ。
「一応、アタシがやれます」
ここまで割りとお荷物であったサマラの登場である。
お力を拝見しよう。
門の両側には兵士が立っている。
つまり、この門から中へ入ることは普通なら難しい。
ここは、ちょっと力づくで行くしかないだろう。
「俺が二人を気絶させる。その間に出来るか?」
「や、やってみます!!」
決意の表情である。
頑張っていただきたい。
俺は、バルゴーンを重剣の形状へ変化させる。
捻った方の足をトントン、と石畳にぶつける。固定しているから柔軟な動きはできないが、痛みは無い。
では行こう。
「リュカ、解け」
「うん。シルフさん……!」
周囲には、突然俺たちの姿が現れたように見えたことだろう。
狙ったのは、相手が虚を衝かれるタイミングだ。
俺は間近の兵士の頭目掛けて、重剣の腹を振るう。
「があっ!」
兵士がぶっ飛んだ。もうひとりの兵士の方向である。
俺はすぐさま追走する。
もうひとりが慌てて武器を構えるが、そこに吹っ飛ばされた兵士がぶつかって体勢を整えられない。そそこを狙って、重剣を連続で振り回す。
剣の腹が、二人の兵士の顎をかすめて脳を揺らす。
二人共目玉がぐるりと裏返ると、膝から崩れ落ちた。
「サマラ」
「もう少しです……!」
サマラがやっているのは、金属の棒を鍵穴に差し込むことだった。
彼女の胸元が発光し、熱を発している。
そこからは小さなヴルカンが生まれ、金属の棒を伝って鍵穴に入っていく。
すると、棒は一瞬その形を崩した。
異臭が周囲に漂う。金属を溶かしたのか。
これを、リュカがシルフの力で冷やす。
水の精霊ならばもっと冷やす力が強いのだろうが、文句は言っていられない。
サマラは決意を固めて、握り込んだ布越しに金属の棒を掴んだ。
ぐるりと回すと、重いガチャリ、という音がする。
扉が開いたのだ。
「よし、速攻で行こう」
気絶させた兵士が起き上がり、騒ぎ出す前に事を済ませねばならない。
サマラが松明を灯す。
ヴルカンが、油を染み込ませた松明の先端部、布が巻かれたところで踊ると、すぐに着火した。
火の精霊は並のライターやマッチよりも性能がいいかもしれん。
さて、宝物庫を探索だ。
……まさか、この中にゴーレムやらゴーストなんかは出てこないだろうな?
出てこないといいなあ……。
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