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Part 10-2
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家に着いた時にはすでに日が変わり、一時を過ぎていた。
鳳乱はまだ帰っていないようで、まどかは内心ホッとした。暗い部屋に明かりを点して、すぐに熱いシャワーを浴びた。
鳳乱ではない男の愛撫に少しでも欲情した……。友達なのに、どうして……。
友達が異性に変わる、境界線。それとも始めから異性として意識していた?
でも、彼にとって、私にとって、すでに過去のことじゃなかった……?
体を包む湯気の中で、まどかは有吉の体の重みや、胸に触れた唇の感触を思い出し、その事実を消し去るようにボディソープを胸に塗り付けた。
居間へ行くと、少し明かりを落とした部屋のソファに鳳乱の頭が見えた。
鳳乱も、近づくまどかに気がつき、顔だけ振り向いて微笑む。
なんだかとても長い間会っていなかった気がして、心がキュッと締め付けられた。
彼はソファに深々と体を沈ませていた。前のテーブルには空のグラスが置いてある。まどかは彼の膝の上に、向き合うようにして股がった。そして無言でしばし見つめ合った。
「一日会わなかっただけで、久しぶりに顔を見た気がする」
鳳乱が囁いた。
彼の瞳をじっと見る。深い、深いオリーブグリーン。
今何か言ったら、ごっちゃになった感情が一遍に口をついて溢れ出る気がした。有吉との間に起こった事で、まだ少し混乱していた。
「今日は帰りが遅かったの?」
彼は片手を私の頬に添えて聞く。
まどかの喉元に言葉にできない想いがぐっとこみ上げて来、鳳乱の首にかじり付いた。
「好き。鳳乱、好き」
急に胸を押し付けて縋り付いたまどかに、彼の手は戸惑うように一瞬宙を彷徨ったが、やがてすぐに背に落ち着いた。
彼の銀の髪の間に鼻を埋めて、彼の香りを吸い込んだ。同じ香り。それに男の匂いと香水の残り香が混じる、彼だけが醸す香り。
「何かあったの?」
彼はまどかの体の重みを受け止めながら、優しくバスローブの背中をさすった。
まどかはその質問には答えずに、「好き。大好きよ」と、繰り返した。
「僕もまどかが大好きだよ」
彼は頭を少し後ろに引いて、頬ずりした。
そのまままどかの両膝に手をかけ、立ち上がった。まるで子供の「だっこ」のように抱えられたまま、まどかは寝室に運ばれる。
静かに肌を重ねた。絡み合う呼吸が二人の唯一の言葉だった。
キスは丁寧に、味わうように。
まどかは彼の、細く柔らかな髪の感触を指の間で楽しみ、相手の指が、潤んだ体を開いていく動きに身を委ねる。
指の愛撫が舌のそれに変わる頃には、既に全身が火照っていた。
「ふう……ンっ……」
舌が濡れた花弁を擦る度に、快楽がうねり、波紋が広がった。
鳳乱が体を起こし、彼のものを蜜で溢れる中心にあてがう。腰を両手で引き寄せ、ゆっくりと、さらに奥へと挿入する。
彼のものが中に入って行く感じが好きだった。
彼のもので中がいっぱいに満ちていくのが。
「はあっ……ああぁ……」
緩慢に、それでも確実にまどかの感じるところを攻めてくる。熱い屹立が、さらに大きくなる。
余すところなく味わうように、彼は腰を大きく前後に揺らす。
「まどか……温かくて、きつい……」
鳳乱の息が乱れ始める。
彼も官能に眉を寄せ、しっとりと汗を滲ませて体を揺らし続ける。そんな切実な顔を見ると、もっと彼が欲しくなってしまう。
しかし、鳳乱の存在を体中に感じながらも、『寂しさ』はまだ消えない。
「鳳乱……」
「何?」
まどかを見下ろす瞳は、愛情に溢れている。
「私……上に、なりたい」
彼は「意外だ」というように目を見張ったが、繋がったまま、まどかの背に手を回して体を起こすと、次の瞬間、まどかはもう彼の脚の上で強く突き上げられていた。
「あぁぁッ!」
重い衝撃が体を貫き、仰け反ると、腰を押さえる手に力が加わる。
喘ぎながら、まどかは言った。
「鳳乱……寝て……」
彼は首を傾げながらも黙ってまどかの言う通り、仰向けになった。
「ん……」
まどかは鳳乱の、硬い下腹に手を置くと、腰を静かに前後に揺らした。
「はぁ……ん」
屹立が、根元まで埋まっている。強く脈打ち、張り詰めたそれは、秘部をみっちりと広げている。
(もっと、もっと深く……満たして欲しい)
まどかは自ら腰を何度も、何度も揺らした。
部屋に淫靡な水音が響くほど、蜜が溢れている。
「はあ……まどか、いい……すごくいい……」
彼は開いた唇の間から吐息を漏らした。
「まどか…………すごくいい顔をしている。乳房がいやらしく揺れて、誘ってる……乳首は、はち切れそうだ……」
下から伸びてきた手が、二つの膨らみを形が変わる程に揉み、乳首を強くつまんだ。
「ああっ!」
旋律が全身を走り抜けていく。
「くっ……締まった……」
彼はいきなりまどかの腰を掴んで強く自分に押し付け、最奥へ捩じ込むように勢いを付けて集中して突き上げた。
彼のペニスがいっぱいに入り込み、突き上げる度に感じる場所を執拗に刺激される。
「あっ、ひゃあン……あっ……」
性急で激しい攻めは勢いを増し、快感を一気に高みへ引き上げた。
「僕と、一緒に……」
掠れた声で言い、鳳乱は濡れそぼった花芯を指の腹で擦り出す。まどかの背は大きく反り返り、胸が波打った。
「アッ、あッ……ああん、あン……い……いっちゃう!」
鳳乱はいっそう深く突き上げ、まどかはそれをさらに誘うように無意識に締め上げた。
「ま、まどか……あぁ!」
「ハァ……んツ!」
光が飛び、鳳乱が中で弾けた時、彼の熱い体から濃い男の香りが漂った。
*
朝食のテーブルを挟んで、彼は紅茶のカップを口に運びながら、穏やかにまどかを見つめる。
起きてからずっとそうだった。まどかを見守る眼差し。
二人はベッドの中でお互いを確かめ合うように抱き合い、キスを交わし、黙って出かける支度を整え、朝食を食べている。
「寂しかったの……」
まどかは上目で彼を見て、つぶやいた。
「うん。昨日、まどかの表情表情はなんだかずっと切なげだった」
「こんなに愛されているのに、寂しいって、変ね」
「僕も、たまにそう感じる。まどかはここにいるのに」
まどかは正面から鳳乱を見る。
「鳳乱も……?」
「そうだよ」
彼は席を立ち、後ろから腕を回した。
「そういうのは時々誰でも感じると思う……。でも、寂しさを感じるってことは、孤独じゃないってことだ。誰かと接しているから寂しいわけで。始めから孤独なら関わる人間がいないんだから寂しいなんて感じない。だから僕は、寂しいと感じたときは、きっと誰かも僕に会いたいと思っているんじゃないかと考える。……実際そうなんだけど」
まどかは鳳乱の手に触れた。形が良くて、温かい。
「あ……」
まどかはふとモイラの話を思いだした。ーーこんなタイミングだけど、気になるから、いっか。
「ねえ、鳳乱」
まどかは恋人の顔を仰ぎ見る。
「ん?」
「なんで皆、私との関係を話題にする時、『あの鳳乱の』『この鳳乱が……』って言うの? 実は鳳乱は女癖が悪いとか?」
「うっ……」
彼は何か喉に詰まらせたような声を出した。
「そ、それは……」
「何? 話してくれないの? モイラが言ってたけど、一部では有名な話だって……鳳乱が話してくれなかったら教えるって言ってたわ。いいの? 他人から聞いても?」
彼は腕を解くと、口元に片手を持っていった。
「……その方が、いいかもしれない……」
歯切れ悪く言いながら、横に背けた顔が、少し赤い。
(え、なんだろう)
まどかは小さな不安に駆られた。
「じゃあ、聞いちゃうからね」
念を押してから、朝食の片付けもそこそこに、慌てて部屋を出ようとする。
すると鳳乱が素早くまどかを胸に引き寄せ、耳元で「僕を信じて……」と囁いた。
それから、昼休みまで待ち遠しく、また、あの鳳乱の意味深な言葉のせいで、テキストの内容がいつもにも増して頭に入らなかった。
モイラはそんなまどかを見て「ほんっとに気になるんですね……」とため息をついた。
(そりゃそうよ! 鳳乱のことですから!)
有吉とは普段通りに接した。まだ不安げな彼の眼差しに、大丈夫よ、とまどかは友達のそれで返した。
やっと、昼休みだ。
まどかは、パネルの前でメニューを吟味しているモイラを急かせて、強制的に自分と同じラザニア風パスタを選ばせた。
「で、一体鳳乱に何があったの?」
「デザートも選びたかったんですけどねぇ……」
モイラは唇を尖らせて、パスタにフォークを突き刺す。
「後で奢る! さあ、話を聞かせて!」
「そんなに期待されると、大したこと無くてがっかりするかもしれませんよ。えっと……カネラ鳳乱って、はっきり言って誰がどっから見ても容姿端麗、有智高才じゃないですか。もちろん、恋人願望の女性もたくさんいたんですけど、付き合ったとか、浮いた噂は一切なくて。密かに男の方が好きなんじゃないか、実は恋人はカネラ獅子王じゃないかって噂されてたんですけど、そうでもないらしい。それに、カネラ獅子王は女性好きですからね。で、ある時、来たんですよ……」
モイラは一呼吸間を置いた。後半を盛り上げるに効果的な手だ。まどかはフォークを手に身を乗り出した。
「誰が……いや、何が」
まどかはフォークを手に身を乗り出すと、モイラは眉をきゅっと寄せた。
「娼婦です。それも超高級娼婦」
「部屋に呼んだ、ってこと?」
「それが、その時カネラ鳳乱はユランに行っていて、バーシスにはいなかったんです。その彼女は、どうしてかバーシスの正面を堂々突破して、手当たり次第に『自分は鳳乱の恋人だけど、彼と連絡が取れないから会わせてくれ』って声をかけ、大騒ぎしたらしいです」
「なんで、彼女が娼婦ってわかったの?」
モイラは少し自慢げに、尖った顎を上に向けた。
「彼女、いろいろ有名でしたから。頼んでもないメーリングタブロイドで、よく記事になってましたよ。美人でスタイル抜群、大物しか相手にしない……」
「で、鳳乱がその人を買ったんだ」
「まあ、一応そういうことでしょうかね。つまり……定かではないんですけれど、カネラ鳳乱はまあ、生理的欲求が高まると、その手の店のなかではかなり有名なところへ行っていたらしいです。秘密厳守。明朗会計、健康第一ですかね? いつもは決まった女性としていたらしいんですけど、ある日、彼女がいなかった時に店側が、一応一番人気のその、問題の彼女を薦めたらしいんですよ。まあ、カネラ鳳乱はきっと上客だったんでしょうね」
『上客』ってどういう意味?
よく行くお得意さんってこと? チップの払いがいいってこと? 無理な注文を女性に強いないってこと? テクニシャンってこと?
それ、全部?
まどかの頭に、ぐるぐるとそんな言葉が渦巻く。
「で、その彼女はカネラ鳳乱にハマっちゃったんですねえ。今度から自分を指名しないと死ぬ、とか、泣きわめいたり、脅迫めいたこと言ったらしいです。いや、でも普通、高級娼婦がそんなこと言ってたらお終いですよねぇ? ね、そう思いません?」
「たぶん……」
何となくその娼婦の気持ちがわかる気がしたので、モイラに同意しかねた。
「でも、カネラ鳳乱はそんなの全く相手にせず、やっぱりいつもの『担当』のところへ行ったらしくて。それで彼女が恥をかかされたと激怒して……踏み込んで来て騒ぎになったんです。そのことがあってから、皆、カネラ鳳乱に彼女がいないわけ、納得~、みたいな」
「で、事態は丸く収まったの?」
まどかはパスタを半分残した。食欲が無くなった。第一、食欲を満たしながら、性欲の話はやはりナンセンスな気がする。
「あぁ、私の彼と、エステノレス長官が彼女を長官室に連れて行って、宥めて、この一連の話を聞き出したんですけど、その後長官が、『彼女と二人で話したい』って、彼を追い出したんで、最終的にはどうやって話をつけたのかは分かりませんけど、その後は女性も来ないし、彼女自身、世間で騒がれなくなりましたね。噂ではエステノレス長官がお金をかなり握らせて帰したとか、長官自ら『お仕置き』して黙らせたとか、なかなか際どい噂が一時期飛びましたね。でも、一年前のことですよ」
「何? その『お仕置き』って」
今度はモイラがぐっと顔を近づけて、声を低くした。
「なんか、すごいらしいですよ、エステノレス長官は。もちろん、ご想像通りのアレのことです。何がすごいって、私も詳しくは知りませんが、とにかく、すごいらしいです」
まどかは大きく息をはいた。
ゴシップなんてどこにでもあるものだ。第一、長官のあちらの事情など誰がわかるというのだろう。根も葉もない噂。
「だから、金目さんは注目の人なんです。カネラ鳳乱のいわば最初の恋人じゃないですか?」
まどかは彼女の言葉に、顔の筋肉を酷使して微笑した。
ふと風が吹いて、モイラの髪を揺らした。生暖かい、土の臭いを含んだ風だ。
雨が来るのだろうか。
夕方から雨が降り出した。まどかは窓を開けて、湿った空気を吸い込んだ。さあああ、という柔らかな雨の音が心地いい。
普段より早く帰って来た鳳乱は、さっきからどこか落ち着かない。
彼はキッチンで、野菜の皮を剥く手をせわしなく動かしている。まどかはお茶の入ったカップを前にして座り、カウンターに肘をついてその広い背中を見ていた。
「……男の人って、大変ねえ」
まどかがふと呟くと、鳳乱の手が一瞬止まり、パッと肩越しに振り返る。
「聞いたよお、あの話」
彼は手を洗い、体ごと向き直ってシンクに寄りかかった。
「で……まどかはどう思った?」
まどかはカップの縁を指でなぞった。
「え……。だから、大変だなって……。なんか、話自体はすごくありふれたような気もしたし、そうでない気もした」
「おまえ、熟れてるな……」
「そうかな。まあ、変に素人をつまみ食いするよりは全然いいかな。いろいろ気をつけないといけないし」
「そうだろ。大変なんだ。性欲を抑えるのは。僕、結構強い方だし。生命力が強いだけに」
やっと、鳳乱の顔に安堵の色が浮かぶ。
確かに、一晩に一度で終ったためしのない、彼との行為を思うと、その言葉には妙に説得力があった。
「でも」
「え?」
相手の顔が一瞬にして強張る。
「そんな玄人を相手にしてきたカネラ鳳乱は、素人の恋人で満足するのかなーー。と、少し複雑な金目まどかでした」
まどかは少し口を尖らせてみる。彼が今までに恋人を作らずになぜ玄人なのか、と訊くのは愚問だった。
ーー彼の心の後遺症だ。
彼は眩しそうに一瞬目を細めた。すぐにカウンターを回って、まどかを横から抱きしめる。そして頬に音を立てて何度かキスをした。
「ちょーーっ……な、何?」
急に懐いてきた彼を押し戻そうと、ムダな抵抗を試みる。
「バカだなー、おまえ。僕がどれだけまどかに溺れているか分からないのか? まどかの声も肌も香りも、全部僕のものだって考えるだけで震えが走るのに」
「あ、それは……どうも……」
改めて言葉にされると、照れくさい。
「それに、まどかをどんな風に攻めようか、どんな声を上げさせようか……考えるだけでぞくぞくする。玄人はなんか、こう、結局奉仕されている気がして。やることはやるけど、なんだか心ここに有らず、って感じだ。性欲は満たされても虚しさが残る」
「虚しさ、なの? 寂しさ、じゃなくて?」
「いや、虚しさ。そこには何も無い。なんか、無駄な消費した感じ」
「消費って……。でも、ふう……ん」
「まどかとは、満たされる。心も体も、両方」
ふと視界が翳り、まどかは彼を見上げた。
鳳乱は静かに顔を近づけて、キスをする。唇を食みながら、キスの合間に彼は言った。
「寝室に、行かない?」
まどかも彼の唇を軽く吸い、答えた。
「甘いものはご飯食べてから、と、小さい時、母によく言われました」
彼はゆっくり身を離し、楽しそうに笑うと「じゃあ、今日はさくっとサラダだけ作るか」と言った。
「いや、ちゃんとしたもの、お願いします」
まどかも笑った。
鳳乱はまだ帰っていないようで、まどかは内心ホッとした。暗い部屋に明かりを点して、すぐに熱いシャワーを浴びた。
鳳乱ではない男の愛撫に少しでも欲情した……。友達なのに、どうして……。
友達が異性に変わる、境界線。それとも始めから異性として意識していた?
でも、彼にとって、私にとって、すでに過去のことじゃなかった……?
体を包む湯気の中で、まどかは有吉の体の重みや、胸に触れた唇の感触を思い出し、その事実を消し去るようにボディソープを胸に塗り付けた。
居間へ行くと、少し明かりを落とした部屋のソファに鳳乱の頭が見えた。
鳳乱も、近づくまどかに気がつき、顔だけ振り向いて微笑む。
なんだかとても長い間会っていなかった気がして、心がキュッと締め付けられた。
彼はソファに深々と体を沈ませていた。前のテーブルには空のグラスが置いてある。まどかは彼の膝の上に、向き合うようにして股がった。そして無言でしばし見つめ合った。
「一日会わなかっただけで、久しぶりに顔を見た気がする」
鳳乱が囁いた。
彼の瞳をじっと見る。深い、深いオリーブグリーン。
今何か言ったら、ごっちゃになった感情が一遍に口をついて溢れ出る気がした。有吉との間に起こった事で、まだ少し混乱していた。
「今日は帰りが遅かったの?」
彼は片手を私の頬に添えて聞く。
まどかの喉元に言葉にできない想いがぐっとこみ上げて来、鳳乱の首にかじり付いた。
「好き。鳳乱、好き」
急に胸を押し付けて縋り付いたまどかに、彼の手は戸惑うように一瞬宙を彷徨ったが、やがてすぐに背に落ち着いた。
彼の銀の髪の間に鼻を埋めて、彼の香りを吸い込んだ。同じ香り。それに男の匂いと香水の残り香が混じる、彼だけが醸す香り。
「何かあったの?」
彼はまどかの体の重みを受け止めながら、優しくバスローブの背中をさすった。
まどかはその質問には答えずに、「好き。大好きよ」と、繰り返した。
「僕もまどかが大好きだよ」
彼は頭を少し後ろに引いて、頬ずりした。
そのまままどかの両膝に手をかけ、立ち上がった。まるで子供の「だっこ」のように抱えられたまま、まどかは寝室に運ばれる。
静かに肌を重ねた。絡み合う呼吸が二人の唯一の言葉だった。
キスは丁寧に、味わうように。
まどかは彼の、細く柔らかな髪の感触を指の間で楽しみ、相手の指が、潤んだ体を開いていく動きに身を委ねる。
指の愛撫が舌のそれに変わる頃には、既に全身が火照っていた。
「ふう……ンっ……」
舌が濡れた花弁を擦る度に、快楽がうねり、波紋が広がった。
鳳乱が体を起こし、彼のものを蜜で溢れる中心にあてがう。腰を両手で引き寄せ、ゆっくりと、さらに奥へと挿入する。
彼のものが中に入って行く感じが好きだった。
彼のもので中がいっぱいに満ちていくのが。
「はあっ……ああぁ……」
緩慢に、それでも確実にまどかの感じるところを攻めてくる。熱い屹立が、さらに大きくなる。
余すところなく味わうように、彼は腰を大きく前後に揺らす。
「まどか……温かくて、きつい……」
鳳乱の息が乱れ始める。
彼も官能に眉を寄せ、しっとりと汗を滲ませて体を揺らし続ける。そんな切実な顔を見ると、もっと彼が欲しくなってしまう。
しかし、鳳乱の存在を体中に感じながらも、『寂しさ』はまだ消えない。
「鳳乱……」
「何?」
まどかを見下ろす瞳は、愛情に溢れている。
「私……上に、なりたい」
彼は「意外だ」というように目を見張ったが、繋がったまま、まどかの背に手を回して体を起こすと、次の瞬間、まどかはもう彼の脚の上で強く突き上げられていた。
「あぁぁッ!」
重い衝撃が体を貫き、仰け反ると、腰を押さえる手に力が加わる。
喘ぎながら、まどかは言った。
「鳳乱……寝て……」
彼は首を傾げながらも黙ってまどかの言う通り、仰向けになった。
「ん……」
まどかは鳳乱の、硬い下腹に手を置くと、腰を静かに前後に揺らした。
「はぁ……ん」
屹立が、根元まで埋まっている。強く脈打ち、張り詰めたそれは、秘部をみっちりと広げている。
(もっと、もっと深く……満たして欲しい)
まどかは自ら腰を何度も、何度も揺らした。
部屋に淫靡な水音が響くほど、蜜が溢れている。
「はあ……まどか、いい……すごくいい……」
彼は開いた唇の間から吐息を漏らした。
「まどか…………すごくいい顔をしている。乳房がいやらしく揺れて、誘ってる……乳首は、はち切れそうだ……」
下から伸びてきた手が、二つの膨らみを形が変わる程に揉み、乳首を強くつまんだ。
「ああっ!」
旋律が全身を走り抜けていく。
「くっ……締まった……」
彼はいきなりまどかの腰を掴んで強く自分に押し付け、最奥へ捩じ込むように勢いを付けて集中して突き上げた。
彼のペニスがいっぱいに入り込み、突き上げる度に感じる場所を執拗に刺激される。
「あっ、ひゃあン……あっ……」
性急で激しい攻めは勢いを増し、快感を一気に高みへ引き上げた。
「僕と、一緒に……」
掠れた声で言い、鳳乱は濡れそぼった花芯を指の腹で擦り出す。まどかの背は大きく反り返り、胸が波打った。
「アッ、あッ……ああん、あン……い……いっちゃう!」
鳳乱はいっそう深く突き上げ、まどかはそれをさらに誘うように無意識に締め上げた。
「ま、まどか……あぁ!」
「ハァ……んツ!」
光が飛び、鳳乱が中で弾けた時、彼の熱い体から濃い男の香りが漂った。
*
朝食のテーブルを挟んで、彼は紅茶のカップを口に運びながら、穏やかにまどかを見つめる。
起きてからずっとそうだった。まどかを見守る眼差し。
二人はベッドの中でお互いを確かめ合うように抱き合い、キスを交わし、黙って出かける支度を整え、朝食を食べている。
「寂しかったの……」
まどかは上目で彼を見て、つぶやいた。
「うん。昨日、まどかの表情表情はなんだかずっと切なげだった」
「こんなに愛されているのに、寂しいって、変ね」
「僕も、たまにそう感じる。まどかはここにいるのに」
まどかは正面から鳳乱を見る。
「鳳乱も……?」
「そうだよ」
彼は席を立ち、後ろから腕を回した。
「そういうのは時々誰でも感じると思う……。でも、寂しさを感じるってことは、孤独じゃないってことだ。誰かと接しているから寂しいわけで。始めから孤独なら関わる人間がいないんだから寂しいなんて感じない。だから僕は、寂しいと感じたときは、きっと誰かも僕に会いたいと思っているんじゃないかと考える。……実際そうなんだけど」
まどかは鳳乱の手に触れた。形が良くて、温かい。
「あ……」
まどかはふとモイラの話を思いだした。ーーこんなタイミングだけど、気になるから、いっか。
「ねえ、鳳乱」
まどかは恋人の顔を仰ぎ見る。
「ん?」
「なんで皆、私との関係を話題にする時、『あの鳳乱の』『この鳳乱が……』って言うの? 実は鳳乱は女癖が悪いとか?」
「うっ……」
彼は何か喉に詰まらせたような声を出した。
「そ、それは……」
「何? 話してくれないの? モイラが言ってたけど、一部では有名な話だって……鳳乱が話してくれなかったら教えるって言ってたわ。いいの? 他人から聞いても?」
彼は腕を解くと、口元に片手を持っていった。
「……その方が、いいかもしれない……」
歯切れ悪く言いながら、横に背けた顔が、少し赤い。
(え、なんだろう)
まどかは小さな不安に駆られた。
「じゃあ、聞いちゃうからね」
念を押してから、朝食の片付けもそこそこに、慌てて部屋を出ようとする。
すると鳳乱が素早くまどかを胸に引き寄せ、耳元で「僕を信じて……」と囁いた。
それから、昼休みまで待ち遠しく、また、あの鳳乱の意味深な言葉のせいで、テキストの内容がいつもにも増して頭に入らなかった。
モイラはそんなまどかを見て「ほんっとに気になるんですね……」とため息をついた。
(そりゃそうよ! 鳳乱のことですから!)
有吉とは普段通りに接した。まだ不安げな彼の眼差しに、大丈夫よ、とまどかは友達のそれで返した。
やっと、昼休みだ。
まどかは、パネルの前でメニューを吟味しているモイラを急かせて、強制的に自分と同じラザニア風パスタを選ばせた。
「で、一体鳳乱に何があったの?」
「デザートも選びたかったんですけどねぇ……」
モイラは唇を尖らせて、パスタにフォークを突き刺す。
「後で奢る! さあ、話を聞かせて!」
「そんなに期待されると、大したこと無くてがっかりするかもしれませんよ。えっと……カネラ鳳乱って、はっきり言って誰がどっから見ても容姿端麗、有智高才じゃないですか。もちろん、恋人願望の女性もたくさんいたんですけど、付き合ったとか、浮いた噂は一切なくて。密かに男の方が好きなんじゃないか、実は恋人はカネラ獅子王じゃないかって噂されてたんですけど、そうでもないらしい。それに、カネラ獅子王は女性好きですからね。で、ある時、来たんですよ……」
モイラは一呼吸間を置いた。後半を盛り上げるに効果的な手だ。まどかはフォークを手に身を乗り出した。
「誰が……いや、何が」
まどかはフォークを手に身を乗り出すと、モイラは眉をきゅっと寄せた。
「娼婦です。それも超高級娼婦」
「部屋に呼んだ、ってこと?」
「それが、その時カネラ鳳乱はユランに行っていて、バーシスにはいなかったんです。その彼女は、どうしてかバーシスの正面を堂々突破して、手当たり次第に『自分は鳳乱の恋人だけど、彼と連絡が取れないから会わせてくれ』って声をかけ、大騒ぎしたらしいです」
「なんで、彼女が娼婦ってわかったの?」
モイラは少し自慢げに、尖った顎を上に向けた。
「彼女、いろいろ有名でしたから。頼んでもないメーリングタブロイドで、よく記事になってましたよ。美人でスタイル抜群、大物しか相手にしない……」
「で、鳳乱がその人を買ったんだ」
「まあ、一応そういうことでしょうかね。つまり……定かではないんですけれど、カネラ鳳乱はまあ、生理的欲求が高まると、その手の店のなかではかなり有名なところへ行っていたらしいです。秘密厳守。明朗会計、健康第一ですかね? いつもは決まった女性としていたらしいんですけど、ある日、彼女がいなかった時に店側が、一応一番人気のその、問題の彼女を薦めたらしいんですよ。まあ、カネラ鳳乱はきっと上客だったんでしょうね」
『上客』ってどういう意味?
よく行くお得意さんってこと? チップの払いがいいってこと? 無理な注文を女性に強いないってこと? テクニシャンってこと?
それ、全部?
まどかの頭に、ぐるぐるとそんな言葉が渦巻く。
「で、その彼女はカネラ鳳乱にハマっちゃったんですねえ。今度から自分を指名しないと死ぬ、とか、泣きわめいたり、脅迫めいたこと言ったらしいです。いや、でも普通、高級娼婦がそんなこと言ってたらお終いですよねぇ? ね、そう思いません?」
「たぶん……」
何となくその娼婦の気持ちがわかる気がしたので、モイラに同意しかねた。
「でも、カネラ鳳乱はそんなの全く相手にせず、やっぱりいつもの『担当』のところへ行ったらしくて。それで彼女が恥をかかされたと激怒して……踏み込んで来て騒ぎになったんです。そのことがあってから、皆、カネラ鳳乱に彼女がいないわけ、納得~、みたいな」
「で、事態は丸く収まったの?」
まどかはパスタを半分残した。食欲が無くなった。第一、食欲を満たしながら、性欲の話はやはりナンセンスな気がする。
「あぁ、私の彼と、エステノレス長官が彼女を長官室に連れて行って、宥めて、この一連の話を聞き出したんですけど、その後長官が、『彼女と二人で話したい』って、彼を追い出したんで、最終的にはどうやって話をつけたのかは分かりませんけど、その後は女性も来ないし、彼女自身、世間で騒がれなくなりましたね。噂ではエステノレス長官がお金をかなり握らせて帰したとか、長官自ら『お仕置き』して黙らせたとか、なかなか際どい噂が一時期飛びましたね。でも、一年前のことですよ」
「何? その『お仕置き』って」
今度はモイラがぐっと顔を近づけて、声を低くした。
「なんか、すごいらしいですよ、エステノレス長官は。もちろん、ご想像通りのアレのことです。何がすごいって、私も詳しくは知りませんが、とにかく、すごいらしいです」
まどかは大きく息をはいた。
ゴシップなんてどこにでもあるものだ。第一、長官のあちらの事情など誰がわかるというのだろう。根も葉もない噂。
「だから、金目さんは注目の人なんです。カネラ鳳乱のいわば最初の恋人じゃないですか?」
まどかは彼女の言葉に、顔の筋肉を酷使して微笑した。
ふと風が吹いて、モイラの髪を揺らした。生暖かい、土の臭いを含んだ風だ。
雨が来るのだろうか。
夕方から雨が降り出した。まどかは窓を開けて、湿った空気を吸い込んだ。さあああ、という柔らかな雨の音が心地いい。
普段より早く帰って来た鳳乱は、さっきからどこか落ち着かない。
彼はキッチンで、野菜の皮を剥く手をせわしなく動かしている。まどかはお茶の入ったカップを前にして座り、カウンターに肘をついてその広い背中を見ていた。
「……男の人って、大変ねえ」
まどかがふと呟くと、鳳乱の手が一瞬止まり、パッと肩越しに振り返る。
「聞いたよお、あの話」
彼は手を洗い、体ごと向き直ってシンクに寄りかかった。
「で……まどかはどう思った?」
まどかはカップの縁を指でなぞった。
「え……。だから、大変だなって……。なんか、話自体はすごくありふれたような気もしたし、そうでない気もした」
「おまえ、熟れてるな……」
「そうかな。まあ、変に素人をつまみ食いするよりは全然いいかな。いろいろ気をつけないといけないし」
「そうだろ。大変なんだ。性欲を抑えるのは。僕、結構強い方だし。生命力が強いだけに」
やっと、鳳乱の顔に安堵の色が浮かぶ。
確かに、一晩に一度で終ったためしのない、彼との行為を思うと、その言葉には妙に説得力があった。
「でも」
「え?」
相手の顔が一瞬にして強張る。
「そんな玄人を相手にしてきたカネラ鳳乱は、素人の恋人で満足するのかなーー。と、少し複雑な金目まどかでした」
まどかは少し口を尖らせてみる。彼が今までに恋人を作らずになぜ玄人なのか、と訊くのは愚問だった。
ーー彼の心の後遺症だ。
彼は眩しそうに一瞬目を細めた。すぐにカウンターを回って、まどかを横から抱きしめる。そして頬に音を立てて何度かキスをした。
「ちょーーっ……な、何?」
急に懐いてきた彼を押し戻そうと、ムダな抵抗を試みる。
「バカだなー、おまえ。僕がどれだけまどかに溺れているか分からないのか? まどかの声も肌も香りも、全部僕のものだって考えるだけで震えが走るのに」
「あ、それは……どうも……」
改めて言葉にされると、照れくさい。
「それに、まどかをどんな風に攻めようか、どんな声を上げさせようか……考えるだけでぞくぞくする。玄人はなんか、こう、結局奉仕されている気がして。やることはやるけど、なんだか心ここに有らず、って感じだ。性欲は満たされても虚しさが残る」
「虚しさ、なの? 寂しさ、じゃなくて?」
「いや、虚しさ。そこには何も無い。なんか、無駄な消費した感じ」
「消費って……。でも、ふう……ん」
「まどかとは、満たされる。心も体も、両方」
ふと視界が翳り、まどかは彼を見上げた。
鳳乱は静かに顔を近づけて、キスをする。唇を食みながら、キスの合間に彼は言った。
「寝室に、行かない?」
まどかも彼の唇を軽く吸い、答えた。
「甘いものはご飯食べてから、と、小さい時、母によく言われました」
彼はゆっくり身を離し、楽しそうに笑うと「じゃあ、今日はさくっとサラダだけ作るか」と言った。
「いや、ちゃんとしたもの、お願いします」
まどかも笑った。
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