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あれ?!魅惑的な女性を見かけたが元嫁とわかって反省する気持ちにつつまれる。電話をした俺は・・・

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忙しい日々を送る俺は、今日も営業の仕事で外回りをしていた。
ふと、俺の横を好みの女性が通り過ぎてゆく。
膝丈の黒いタイトスカートに白いブラウス姿がゾクゾクする。
女性が横を通り過ぎるとき、顔を上げて、長い髪の毛をかきあげながら通り過ぎた。
「魅惑的な女性だな・・・は!」顔を見て驚いてしまう。
なぜなら、その美しい女性は別れた嫁だったから。

「晴海・・・」俺は声をかけようか迷ってしまった。
離婚してからというもの、1人になってみて、俺は心底嫁のありがたみがわかった。
仕事から帰ると絶妙なタイミングで温かな食事を出し、幸せになるほどの温度にお風呂が沸いている。
シャツはいつもビシッとアイロンがかかっていたし、部屋はいつもきれいに片付けられていた。
そんな生活が当たり前だと思い、嫁に感謝の言葉すらかけずにいた俺。

どうしてもっと嫁を大切にしてあげられなかったんだろう。
「もっと早くに帰れないの?」
「仕方がないだろう・・・仕事なんだから」と、夜遅くに帰ってきて飯を作らせ、サッサと寝てしまう生活。
あんな生活を何年も続けていたのに、晴海はよくついてきてくれたものだ。

そんな生活が何年も続いたある日。
「あたし、あなたとはもうやっていけないわ」と離婚届を見せられて、「こんな生活を続けるのは無理よ」と晴海は家を出て行ってしまう。
俺は離婚届に記入して印鑑を押し、役所に提出した。

それから7年。
お互いにパートナーを見つけて、幸せな暮らしを送っている。
と思ったが、俺は何人か付き合ってみたが、どうも結婚相手としては選べなかった。
どこか心の奥で、できすぎた元嫁の存在が忘れられず、いくら美しい女性と出会っても心から愛すことができなかった。

家に帰って、晴海に勇気を出して電話をしてみると「あたしもあなたじゃなきゃだめなの」と、まだ独り身であると伝えてきた。
「会ってほしい。俺に会ってくれ!」と電話で誘い出した。

晴海に再会した俺は、捨てずにとっておいた結婚指輪を指にハメると「今度こそ、悲しませない旦那になってみせるよ」と、本気の気持ちを伝えた。

その後、俺が病気で寝たきりになっても献身的に看病してくれた嫁。
親からの遺産と土地、死亡保険などを合わせて2億もの金が入るだろう。

「本当にあなたと再会できてよかったわ・・・ま、営業ルートを事前に調べておいただけなんだけどね」
そう耳元で聞こえてきたが、俺は「わかっていたよ・・・」と笑顔で伝えた。


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