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結婚式場からフィアンセと逃げ出した私はふと姉のことを思い出す…愛の逃避行は荷が重すぎて…ああ、お姉さん
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結婚式場から姉のフィアンセと逃げるだなんて、お姉さんとは二度と会えないのだろう。
会えなくなると思うと、どこか寂しい気持ちに包まれてしまう。
いくら深い愛情で私を抱きしめてくれた男性に愛されたとしても、私はどこか一生愛せる自信はなかった。
「今なら引き返せるかも…」きつく掴んで引っ張るその手を振り解いて、姉の元へと行き謝れば、きっと許してくれるかもしれない。
そう考えた私は、強引に掴む手を振り解こうとした。
しかし、振り解こうとすればするほど姉のフィアンセの掴む手に力が入る。
「あの、私、やっぱりあなたとは行けない…戻りたいの」
「戻る?なにを言ってるんだ?君と俺はこうなる運命なんだよ。その運命を踏みにじるようなことをしたら…」
「なに?私は一体どうなるの?」
「大丈夫。僕が幸せにしてみせるから」姉の婚約者は私にそう伝えると「今日はホテルに泊まろう」と言ってくる。
「ホテルに?いきなりそんな、私、心の準備ができていないわ」
「なにを急に恥ずかしがることがあるんだい?君はもうすでに僕のものなのに」
「ひと目会ったときから君に惚れてしまったんだ。絶対に離さない」
姉の婚約者の胸に顔をうずめると、どこか酔ってしまうほど幸せな気持ちになる。
いけない…相手は姉が愛した人だ。
そんな男性を愛してはだめ。
「だめ!私はお姉さんを愛しているの!お姉さんが愛したあなたのことをそう簡単には愛せないわ」そう伝えた。
「愛せない?君はもうすでに俺のことを愛しているだろう。見る目が前と違っているからわかるんだ」
「あなたに私の気持ちなんてわからないわ!私はお姉さんを、お姉さんを悲しませたくないの」
「なら、時間をやるよ」
「え?時間をやる?」
「ああ、明々後日までに、ここに戻ってこなかったら俺は君を諦めるから」
私に1万円札を3枚手渡してきた。
「ここに戻って来なかったからお金は返すわ」
「わかったよ」
私は急いで最終電車に乗り込んだ。
震える鼓動を落ち着かせるため、目を瞑った。
駅から家へと駆け足で向かう私の目に飛び込んできたのは、ベランダで真っ白なウェディングドレスを持って立つ姉の姿だった。
「お姉さん!私、私よ」そう叫ぶと姉の顔が一瞬驚いたような表情を見せたが、憎しみの目で私を見下ろしてきた。
「なにか用かしら?」
「私、お姉さんが好きなの!だから、だからお姉さんの婚約者と愛し合うことなんてできないわ」
「だからって、のこのこと戻ってきたったっていうの?」
「…」
「悪いけど、あなたのこと妹だなんて思ってないから。二度と私の前に姿を見せないでちょうだい」
「…そ、そんな」
「早く消えてよ!」ウェディングドレスをベランダから思い切り投げつけてきた。
その瞬間、私の中で大事な物が音を立てて壊れた。
「そう、わかったわ。さようなら」真っ白なドレスを持ち、来た道を引き返した。
国道に出た私はタクシーを呼び止めて乗り込んだ。
窓に映る都会のネオンが妙に悲しく見える。
家族を残して、愛の逃避行に出かけたくはなかったが、もう家には私の居場所はないと感じた。
「さようなら」そういい残して、姉のフィアンセがいるホテルへと向かった。
「戻ってきてくれたんだね…」
「ええ」
「良かった。一緒になろう」
本当に愛せるか不安な気持ちを抱える私だったが、愛を受け入れることにした。
「ああ、どうか幸せになれますように」心から祈る。
その後、私は姉のフィアンセと結婚し、子供を5人も産んだ。
とても幸せな生活を送ることができた。
時折私は「お姉さん、ごめんなさいね」と呟くのだった。
会えなくなると思うと、どこか寂しい気持ちに包まれてしまう。
いくら深い愛情で私を抱きしめてくれた男性に愛されたとしても、私はどこか一生愛せる自信はなかった。
「今なら引き返せるかも…」きつく掴んで引っ張るその手を振り解いて、姉の元へと行き謝れば、きっと許してくれるかもしれない。
そう考えた私は、強引に掴む手を振り解こうとした。
しかし、振り解こうとすればするほど姉のフィアンセの掴む手に力が入る。
「あの、私、やっぱりあなたとは行けない…戻りたいの」
「戻る?なにを言ってるんだ?君と俺はこうなる運命なんだよ。その運命を踏みにじるようなことをしたら…」
「なに?私は一体どうなるの?」
「大丈夫。僕が幸せにしてみせるから」姉の婚約者は私にそう伝えると「今日はホテルに泊まろう」と言ってくる。
「ホテルに?いきなりそんな、私、心の準備ができていないわ」
「なにを急に恥ずかしがることがあるんだい?君はもうすでに僕のものなのに」
「ひと目会ったときから君に惚れてしまったんだ。絶対に離さない」
姉の婚約者の胸に顔をうずめると、どこか酔ってしまうほど幸せな気持ちになる。
いけない…相手は姉が愛した人だ。
そんな男性を愛してはだめ。
「だめ!私はお姉さんを愛しているの!お姉さんが愛したあなたのことをそう簡単には愛せないわ」そう伝えた。
「愛せない?君はもうすでに俺のことを愛しているだろう。見る目が前と違っているからわかるんだ」
「あなたに私の気持ちなんてわからないわ!私はお姉さんを、お姉さんを悲しませたくないの」
「なら、時間をやるよ」
「え?時間をやる?」
「ああ、明々後日までに、ここに戻ってこなかったら俺は君を諦めるから」
私に1万円札を3枚手渡してきた。
「ここに戻って来なかったからお金は返すわ」
「わかったよ」
私は急いで最終電車に乗り込んだ。
震える鼓動を落ち着かせるため、目を瞑った。
駅から家へと駆け足で向かう私の目に飛び込んできたのは、ベランダで真っ白なウェディングドレスを持って立つ姉の姿だった。
「お姉さん!私、私よ」そう叫ぶと姉の顔が一瞬驚いたような表情を見せたが、憎しみの目で私を見下ろしてきた。
「なにか用かしら?」
「私、お姉さんが好きなの!だから、だからお姉さんの婚約者と愛し合うことなんてできないわ」
「だからって、のこのこと戻ってきたったっていうの?」
「…」
「悪いけど、あなたのこと妹だなんて思ってないから。二度と私の前に姿を見せないでちょうだい」
「…そ、そんな」
「早く消えてよ!」ウェディングドレスをベランダから思い切り投げつけてきた。
その瞬間、私の中で大事な物が音を立てて壊れた。
「そう、わかったわ。さようなら」真っ白なドレスを持ち、来た道を引き返した。
国道に出た私はタクシーを呼び止めて乗り込んだ。
窓に映る都会のネオンが妙に悲しく見える。
家族を残して、愛の逃避行に出かけたくはなかったが、もう家には私の居場所はないと感じた。
「さようなら」そういい残して、姉のフィアンセがいるホテルへと向かった。
「戻ってきてくれたんだね…」
「ええ」
「良かった。一緒になろう」
本当に愛せるか不安な気持ちを抱える私だったが、愛を受け入れることにした。
「ああ、どうか幸せになれますように」心から祈る。
その後、私は姉のフィアンセと結婚し、子供を5人も産んだ。
とても幸せな生活を送ることができた。
時折私は「お姉さん、ごめんなさいね」と呟くのだった。
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