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【19】修学旅行④

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残された班のメンバーが外でお説教をくらい、20分が経過した頃。

担任がクロミたちの携帯電話へと何度も電話をかけていたが繋がらない様子だった。

そして集合時刻30分オーバーで、クロミは隣のF組の彼氏とイチャイチャしながら到着。
もう一人のギャルもF組男子と仲良く寄り添いながら何の悪びれもなく集合場所に現れた。


はぁ ───────!?


こっちは真面目に15分前に到着してるのに30分も遅れて!!
しかも、彼氏と観光してた!!?
班の皆や先生にこんなに迷惑かけて​────!!!
何かあったのか心配しちゃったじゃん!!


クロミは担任の先生と旅行に同行した保健医にこっ酷く叱られた。


「あんたたち、いいって言うまで
そこで正座して反省なさい!!」


クロミとクロミの彼氏たちは、コンクリートの駐車場で正座させられた。


プププッw ざまぁw
私たちだってクロミが来るまでずっと怒られてたんだからね!


心の中で笑っていると、

「あんたたちもだよ!
これは連帯責任!!!」


保健医はあろう事か私たちにも正座を催促した。


連帯責任…だと………( º言º)!?


嘘…だろ……?
既に私たちは寒い中45分間ここでクロミたちを待っていたんだけど……?
その内の30分間、お説教され続けてたんだけど……?
更にコンクリートの上で正座だと……!?
時間オーバーしてのほほんと帰ってきたクロミたちより重い罰じゃん!


なんて不条理…………!!

そんなの罷り通るん??


「……ねぇ、先生。」


堅く冷たいコンクリートの上に、
下を向きながら正座をしようとした瞬間、この聞き覚えのある声に反応し、顔をパッと上げ、声の主を見た。


「もう十分反省してると思うよ。
無事戻って来たんだから良しとしようよ。
それに今の時代、こういう反省のさせ方ってあんまり良くないんじゃない?旅行から帰ってから反省文にしたらどー?
その方が効果的じゃない?」



この冷静な落ち着いた口調……!!


はっ……
はっ………
早川くん(感涙)!?


もしかして、私を助けに来てくれたのッ!?////


「早川、、、でも……!
この子たち全然反省の色が見えないのよ!」


体罰ギリギリ·····いや、完全アウトな感じの光景を自分の溺愛する生徒に見られ、バツが悪そうに狼狽する保健医。


「ホテルの人が先生の事探してたよ?もう許してあげたら?
風邪引かせちゃってもいけないしさ。」


早川くんの言葉に保健医は折れて、私たちを解放してくれた。


「早川 ───ッ!!
ありがとな~~!!
俺の事、助けに来てくれたの?
超~~助かった♪」


保健医がその場からいなくなると、F組のクロミの彼氏(頭悪そう←)がヘラヘラしながら早川くんの肩をバシバシと叩いた。


「解放されて良かったね。
今度から気を付けなよ。」


早川くんはクロミの彼氏のウザい絡み対し、冷静に言葉を返した。


「あのババア外で正座させるとか
ふざけんな。」


クロミはキレ気味に吐き捨てると、私たちに詫びを入れる事もなく、彼氏と共にホテルの中へと入って行った。


………クロミちゃん?
取り敢えず皆に一言謝ろうよ?ねぇ。



早川くんは私の前へと立つ。


「災難だったね。立てる?」


そう言って私に手を差し出す。

「立てない……。」

「え?」

「足、痺れた……w」

「……痺れちゃったんだ?w」


ハハハと笑う早川くん。
ホントかっこ悪い、私。


班の皆は早川くんに感謝をしながら、先に部屋へと向かっていった。



「早川くん、ありがと……。
なんかいつもゴメンね。」


「いや。
どう考えてもやり過ぎだよ、あのオバサン。
コンクリートの上に正座させるなんてさ。
見てられなかった。」


脚が痺れて立てずにいる私の隣にしゃがみ、早川くんは険しい顔をした。


「てか、勝手な行動してるのクロミさんたちなんでしょ?
集合時間過ぎてるあちゃんたちがとばっちりで先生に怒られてるの見ててこれは酷いなって思ったから、思わず横から口出しちゃったんだよね。」


「……全部解ってくれるんだね。」



耳朶と軟骨に透明なピアスを嵌め、朝食事のラフな格好とは違ってワックスで毛先を遊ばせたお洒落ヘア。
薄いけれど色っぽい唇から溢れる、私を擁護する言葉。


弁解せずとも早川くんは私の事を理解してくれてる。


ああ、この唇でキスされたらどんな感覚なのかな………////




「…………?
俺の顔、何かついてる?」



無言でその整った顔を穴の開くほど見つめていると、早川くんは右手で自分の頬を擦りながら私の顔を覗き込んだ。



「いや!ゴメン!
ボーッとしちゃって!w」

「ハハw
長時間お説教くらって疲れたでしょ?
足の痺れどう?中入ろうか。」


サッと手を差し出す早川くん。

「大丈夫、もう立てるよ////」


恥ずかしくて手を繋げなかった。

でも、嬉しかったんだ。
私を見てくれてる事。


また借りが出来ちゃったね。
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