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【1】高校二年 進級クラス替え

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高校1年生の夏に恋して付き合った2歳年上の彼氏とは、彼の高校卒業、そして進学を迎える事をひとつの区切りと考え、互いに話し合った結果、桜の舞う季節にお別れすることになった。


私はこの恋の結末に後悔も悲しみもなく、ただ「成長させてくれてありがとう」って気持ちでいっぱいだった。
精一杯恋愛出来た事を誇りにすら思う。

ただ、しばらくは「彼氏」ってカテゴライズされたものはいらないかなって思っていた。
精一杯恋愛したから少し休憩。
今の私にはカッコイイ男子を遠目から見てるくらいがちょうどいいかも。



高校二年に進級し、クラス替えが行われた。


私の在籍する少数精鋭クラス、【特進S】。
成績が芳しくない者は、【進A】へ落とされてしまう。逆に進Aで成績が良い者が特進Sに繰り上がる事もできる。

成績下位の者達は、胸元の『S』のバッジを手放したくなくて、ドキドキしていた。

私はというと、特進クラス内でただ一人、『E組』へ移った。
E組と言うのは普通科クラスだ。


家庭の事情で進学を断念せざるを得ない状況になった私は、担任との相談の末、普通科へ変更してもらっていた。


特進Sクラスのメンバーは、新学年のクラス発表時にその事を知り、ざわついた。


「え!?どうして!?」

「なんでるあだけ普通科に行っちゃうの!?」


家の諸事情など詳しい事を説明するのが嫌だったので、

「成績がハンパじゃなくヤバいから普通科に落ちたんじゃない?」

と笑いながら嘘をついた。

私は普通科で頑張るよ。


皆元気でね。特進Sの女子たち、私は面白くて大好きでした。



完全アウェイな普通科に、今日から一人乗り込む 。




ドキドキしながら普通科【E組】の廊下に張り出された名簿を確認する。


誰か知り合い……いないかな。


上から順に確認していくと、いつもSクラスに現れては絡んでくる野球部の陽キャ『蒼太くん 』、マネージャー時代に仲良かったバスケ部の『武輝くん 』、それと元カレの拓真くんに似てる雰囲気の『杉浦くん 』って男子がいた。



ああ……知ってる顔がいた……!
ちょっとホッとした。


だがしかし!!

女子の知り合い誰もいな ──い!!!



座席表を見て、席に着席。


特進Sと全然違う風景。


お洒落で今風の女子たちがキラキラして見えた。


私のようなコミュ障に友達……出来るかな。



不安でいっぱいだったけど、クラス全体の雰囲気が垢抜けていてこの空間にいるだけで自分のテンションが上がっているのを感じた。



「るあちゃーん!!
クラス表見てビックリしたよ ────!!!
同じクラスだねーっ♡
よろしくね~!!」



完全アウェイな中、いつも特進Sクラスに遊びに来ていた野球部の蒼太くんに元気よく話しかけられた。

「あ、ウン。よろしくー。」

緊張の中、ホッと気が緩み、つい、いつも彼に見せない笑顔を見せる。


「何その笑顔!!
初めて見た!!ヤバい!今、キューン♡ってなった!w
これって……恋♡!?」


お得意の何処まで真面目に言っているのか、ふざけているのかわからない、蒼太節が炸裂。


どうでもいいけど声大きすぎ!
もうちょいボリューム落として欲しい(汗)
身振り手振りも大袈裟過ぎて周りからの注目浴びちゃう!初日から悪目立ちしたくない。

私は苦笑いしながら口を噤む。


でも、ひとりで心細かったから
話しかけてくれて嬉しいには嬉しかった。


蒼太くんとそんなやりとりしていると、近くでその一部始終を見ていたギャル集団の中のボス的女子から
(눈_눈)ギロッ‼
とすっごい目付きで睨まれた。



ゲッ!!!


クラス替え早々ボスギャルに目を付けられた(((°Д°; )))!?
怖すぎるんだけど!!


ギャルグループの頂点に君臨するのがボスギャルのクロミさん。


明らかに校則違反のロングのメッシュブリーチヘアをクルクルと毛先を大きめに巻いている。
ゴールドのラメの入ったアイシャドウにかなりガッツリ引いたコアブラックのアイライン。
バサバサのマツエクに色の濃いリップグロス。
そして、美人ではあるけれどとても気の強そうな顔。


見ただけでうわ~っ‼ てなる
the☆ギャルだった。


私はこのクロミさんにクラス替え早々、思いっきり目を付けられた様だった。


だけど私はうろたえる姿は見せず、涼し気な顔をしていた。
ボスに嫌われていてもイイや。
ギャルグループのご機嫌取りながら、ヘラヘラと媚び売るの苦手だし。
つまらない嫉妬だと思って堂々としてる事に決めた。

折角自由のきかない「囚われのS組」から解放されたんだし。
私は私らしく、普通科クラスでの学校生活を楽しんでみせる!!


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