王妃様は真実の愛を探す

雪乃

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番外編

番外編  アイザックの苦い過去  29

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 例え何が起ころうとも、そして全てが法の下に裁かれようとも陽は昇りそして陽は静かに沈んでいく……。

 かけがえのない者を失い悲しみに暮れていようともそれは何ら変わる事はない。
 この世界に生きとし生ける物の営みは変わる事なくそしてこれから何があろうともそれは変わる事はない。

 ただその自然の営みという大河に今取り残されているのが――――だ。


 愛する者達を苦しめた輩を法の下で裁く事が出来たというのに彼の心はまだ深い悲しみに囚われている。

 囚われている……?

 いや、囚われているのではない、自ら進んで悲しみの連鎖という糸に絡まっているのだろう。
 常人ならば普通そんな事はしないし、したくもない。
 悲しみに取りつかれる……余程の事がない限りそれらと仲良くしたい訳はないだろうが、アイザックの心の中にはまだ彼女――――クラウディアが生きているのだ。

 彼の心の中ではまだクラウディアが彼に向けて鮮やかにほほ笑んでいる。

 勿論現実世界に彼女が存在しない事をアイザックは理解しているのだがっ、現実世界等彼にとって最早如何どうでもいい事なのだっっ!!

 そう、今彼にとって大切なのはこれから長い時間をたった1人で如何どう過ごすか……なのだ。


 誰よりも何よりも大切で深く愛していた彼女だけに一時ひとときでもいいっっ!!
 悲しみと言う蜘蛛の糸に己自身を絡ませ現実に目を背く事で少しでも愛するクラウディアを感じられるのならば、例えそれが彼自身の心を酷くさいなむ結果になったとしてもあと少し、そうほんの一時で構わない。

 息を吸って吐く――――そう、たったその間だけでも構わないから彼女を感じさせて……。


 そう、その想いに縋りつきたいアイザックの傍で仕えているヨルムはそんな彼を理解出来るからこそ、彼もまたほぼ寝たきりと化した妻であるカリナへ想いを馳せながらもこうしてアイザックから離れずライアーンへの旅に同行している。
 だが、アイザック達がライアーンへやってきてもう半年は過ぎている――――という事は、マリス一族の処刑が執行されてから半年以上経過した事になるのだ。


 本来の仕事も最初の1カ月足らずで問題なく終了した。
 そう本当ならばその時点で帰国出来たのだが、アイザックの亡き父ととある夜会で偶然出会い、そして彼のあまりにも憔悴しきった様子を見兼ねた伯爵より静養するべきだとやや強引に説得されて伯爵領へと長期にわたり滞在する事になってしまった。


 また伯爵の治めるこの土地は傷ついたアイザックの心を優しく迎え入れてくれた。
 それに温かい茶色を基調とした落ち着いた造りの屋敷に内装も贅は凝らしていないが何処か泣きたくなる様な、そう郷愁に駆られるような優しい温もりを感じる造りなのである。

 伯爵夫人は平民出身とアイザックは聞いていたがその夫人はきっとこの屋敷の様に心の温かな女性なのだろう。
 そんな女主人の力量を垣間見た様でアイザックもヨルムも疲れた羽根を十分休める事が出来るのだが、残念ながらアイザックはまだ伯爵夫人と面識はない。
 伯爵自身王都での仕事が立て込んでいた為伯爵一家は王都内にあるタウンハウスで暮らし、アイザック達だけが本邸へ滞在している。

 勿論アイザックは最初丁重に断りを入れたのだ。
 主が不在だというのに厚かましくも見知らぬ外国人がこの屋敷の主然あるじぜんとして暮らす訳にはいかないだろう……と。
 しかし伯爵はその申し出に引く事なく、即伯爵家の執事に申しつけ、この地へとアイザック達を強制連行したのだ。
 馬車での移動中執事が何度も「……」と何度も謝罪してくれた。


 屋敷に到着してからも主人が留守だというのに温かな持て成しを受けてはいたがアイザックの心が晴れる事はない。
 かと言って部屋に引き籠っているばかりではない。
 使用人達に勧められるままにこの土地は自然に恵まれているからと、彼は馬で遠乗りしたり徒歩で森を散歩等をして楽しんでいる様子ではあったがでもそれはあくまでもだ。


 この葉が色づき始める季節にこの地へやってきてもう直ぐ真っ白な季節より若菜が芽吹き、そして花の盛りを迎えようとしている。
 何時までもこんな気持ちでいてはいけないと思いつつも今日もまたアイザックは雪の残る白い森へ散策へ出かける。

 1人で散歩している間だけは彼にとって愛するディアとゆっくり心の中で語り合えるのだから……。



 ディア。
 貴女のいない朝。
 貴女が笑わないお茶の時間。
 貴女の温もりを感じないままに過ぎていく宵闇。

 ディア、私は貴女を失ってから……そして再会して直ぐに訪れた永遠の別れの時より、私の心は永久凍土の氷で覆われた氷穴の中で今も眠りについている。

 いや、貴女と共に色取り取りに咲き乱れる薔薇の茨の中でだろうか。

 貴女と共に眠っているのなら身体は叶わなくとも心は十分満たされている筈――――なのにどうして私の心はこんなにも凍えているのだろうか?
 如何どうしてこんなに寒いと感じているのは何故?

 愛するディアへ心を捧げたのに如何どうして私は満たされていないのだ?
 やっと、そうようやく10年もの長い歳月を掛けてディアと再び巡り合いそして彼女を永遠に失った。

 ディアとディアの両親そしてヘフリー伯爵の仇は取ったというのに如何どうして心はこんなにも寒々しいのだろう。

 それとももう私の心は死んだのであろうか?

 ディア、愛する貴女が永遠に私と離れてしまった瞬間に私の心もきっと貴女と共に永遠の時の中へと旅立ってしまったのであろうか。

 どうか誰か教えてほしい。
 私が迷わずに歩いていく事が出来る様に道案内はいないものだろうか……。

 いや、ディア……きっと貴女以上の女性はいないだろう。

 貴女以外と何を話しても
 豪華なディナーを共にしても
 甘い魅惑的な酒で喉を潤しても
 羽根の生えた天使と軽やかに軽快なステップを踏もうとも
 私の心は何時も永久凍土の中に封印されている。

 どんなに魅力つ魅惑的なモノが通り過ぎようとも私の心は静かに沈黙を守っている。
 心揺さぶられる者等もうこの世にはいないのだ、ディア、貴女以上の女性は現れてはくれない。
 そう、これから長い人生という途方もない道を私は誰かと共有する事なく1人で君がその先で待っているだろうところまで歩いて行くしかないのだね。


 10年前は貴女が共に歩いてくれていたからこそその道のりは楽しみが大きいものだったが、今ではその道のりがとても拷問……だよ。

 貴女を追って私も逝きたいが己の職責というものがあるのだよ。
 貴女を護れなかった男が言う言葉かと思うのかい?
 ふふっ、10年も経てば子供も大人になるものなのだよ。

 今の私には家族こそはいないが守るべき土地とそして仕えてくれる者達を護らなければいけないのだからね。
 貴女を失ってしまった時私は随分と父や皆に助けてもらったのだから、私は心に誓ったのだよ。
 もう二度とディア……貴女の様な事にはさせないとっっ!!
 私の守るべき対象には何人たりとも手出しはさせないっっ。
 過去の過ちは繰り返さない――――とね。


……』

 え、今、何か――――っっ!?

 そう、温かな陽光と小鳥の囀りの中で微かにそんな声をアイザックは聞こえたと思った瞬間――――っっ!?


 かさっ。


っっ!?」
「――――っっ!?」

 甲高い叫び声と共に振り返ったのは茶色の髪に水色の瞳を真っ直ぐに見据えアイザックの姿を捉えていた。

 真っ白な毛皮のコートから見えるのは、その澄んだ水色の瞳と同じ色の子供らしいラインのドレスに身を包んだ少女は恐らく10歳にもなってはいないだろう。
 だがその少女は幼いにもかかわらずキリッとして涼しげで美しい顔立ちをした、多分ドレスを身に纏っていなければ少年とも思えるくらい中世的な魅力を持つ子供だった。

 その中世的で不思議な魅力を持った少女にアイザックは一瞬で心が惹かれてしまった。

 しかし……何もアイザックは幼女趣味ロリコン等ではない。
 それは彼の名誉の為に訂正しておく。

 ただその少女が彼に発した鋭い一言と視線が余りにも誰かを思わせてしまったのだ。
 姿形その者が纏うオーラも何もかも全く違う――――のにっ、いや、違うのは姿形だ。
 その澄みきった真っ直ぐな心と勝ち気そうな表情はしているもののその内面は穏やかで優しいものが窺える。


「貴方はだあれ? 如何どうしてここにいるの? は誰でもが入っていい場所じゃないのっっ」

 少女は凛と涼やかな声音でアイザックを咎めている。

 ――――と。

 しかし単なる我儘で発した言葉ではないとアイザックが思ったのは……少女はアイザックの足元にある小さな雪うさぎの巣穴の様な窪みを、威嚇する様にアイザックを見ては心配そうにその巣穴の様子を窺っている視線を交互に繰り返すというとても子供らしく愛らしい仕草に感銘を受けたのだ。

 あぁきっと密猟者と思っているのかな?

「だっ、ダメよっ、この森は大きくなったら兄様とおやくそくして私がそうぞくするのっっ。だから森の動物たちはとっちゃダメっっ、皆私のお友達なのっっ!! だから――――」
「そうか、君は今日到着すると聞いていた伯爵家の子だね?」


 そう、アイザックは朝食の時ヨルムより伯爵一家が間もなく到着すると聞いていたのだ。
 確か……令嬢は2人だが、1人はもう7年くらい前に他国へ嫁いでいるのは年の離れた末の令嬢と息子2人は立派な騎士になっていると聞く。
 では、今この目の前にいる少女は伯爵家の末の令嬢……という訳になる。
 アイザックは腰を落として幼い彼女と同じ目線になると相好そうこうを崩す。

「私はアイザック、君のお父上とは知り合いでね今こうして……」
「――――父様のおっしゃったなのでしょう?」
「可哀想な人?」

 一体何を子供に教えている伯爵……。

 ふぅ……と小さく嘆息たんそくしたアイザックとは対照的で、目の前の少女は上手く表現出来たと言わんばかりに小さな胸を張り、花が咲き誇る季節に相応しく蕾が一斉に綻ぶ様な眩しい笑顔で言う。

「だってお食事をおいしく食べれなくって笑顔になれない人は皆可哀想なのよってお父様もお母様も仰るの。だからご病気になっちゃいけないからってお父様がここへ連れてきたのだと言ってらしたもの。それに――――屋敷に着いたら皆言ってたわ、どんなに美味しくお料理を作っても全然幸せそうじゃないって」
「お食事を美味しく食べれなくて笑顔になれない人は可哀想……か、確かに……そうだね小さな淑女さんレディ
「でしょうっっ」
「あぁそうだね、確かに可哀想な人になるね。ところで小さな淑女さんレディ、貴女のお名前は何と言う……」

 2人で一頻ひとしきり笑った後思い出した様にアイザックは少女の名を尋ね掛けると、少女はこれまた思い出した様にびくっと大きく身体を強張らせ、アイザックが二の句を継ぐ前には脱兎の如く回れ右をして駈け出して行った。

「小さな淑女さんっっレディ

 アイザックは逃げる様にその場を離れる少女へ向かって声を掛けると走りながら少女は叫んだのだ。

「しょっ、まだお父様から紹介されてない人とお口を利いちゃダメなのぉ――――っっ!!」

 そう言って少女は屋敷へと戻っていく。
 その姿は彼の女性を彷彿とさせるものでもあった。

 アイザックが初めて恋をした女性……クラウディア。
 少女の纏うオーラは亡き女性とあまりにも酷使していた。

「ディア、君と出会ったのは星降る夜だったね。そして旅立った時もそうだった――――けれど貴女とよく似た少女は春の花……いや、正確には初夏の花の乙女……かな? もう一度叶うだろうか、いや叶わなくともよい。だけどねディア、初夏の花乙女の行く末を幸せに導く事は出来るかもしれない。笑顔を忘れていたこの私になんと笑う事を思い出させてくれたあの少女に、貴女に出来なかった事を私はしてやりたいと思うのだけれどどうかな、聞いてるディア?」 


 そうアイザックは10年ぶりに本当に心から笑ったのだ。
 愛するディアと離れ離れになってから心の底から自然に笑ったのは初めてだった。
 つい先程までウジウジと悩んでいた自分が今はもう先の未来の事について考え始めている。

 本当に出会いとは不思議なモノ……なのかもしれない。

 それからアイザックは屋敷へ戻りベイントン伯爵より家族を、そして末の令嬢アナベル・ルチア・ベイントンを紹介された。

 彼女はこの時まだ6歳のいとけない少女であった。
 まさか一介の伯爵令嬢である自分が7年後王宮へ伺候しこうし王女の話し相手コンパニオン件護衛となり、更に3年後王女と共にルガート王国へ行く事になる等誰も考えもしなかっただろう。

 6歳の彼女にとってアイザックという男性は記憶にも残ってはいないのだから……。


 しかしアイザックは彼女と出会った事で再び生きる気力を取り戻し、ルガート帰国した後も彼女の動向をチャックしてもいたし気付かれない様に警護も付けていた。

 そして――――エヴァをあの離宮に匿う事をそれとなくさとしたのは他の誰でもないアイザック本人である。

 彼は誓ったのだ、もう二度と過去の過ちは繰り返さないと。



  *更新が遅くなって本当に申し訳ありません。
   今回風邪と喘息のWパンチで完全KOされてしまいました。
   そして『アイザックの過去編』はこれで終了です。
   次回より本編へ帰ります。
   思いの外予定より長くなってしまってどうしようかと思いましたが、
   アナベルちゃんと繋ぐ場面なので長くなってしまいました。
   これからも宜しくお願いします。
                      雪乃





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