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序章
まどろみの中で?
しおりを挟むこれは何時も変わらない繰り返される朝の出来事。
夜が明けてスマホのアラームで起こされる。
眠気眼状態で階段を降り、洗面所で歯を磨がき終わると身支度を整え、それから台所でお母さんが作ってくれた朝御飯を食べる。
食事は何時も家族と一緒――――とは言っても朝と夕御飯だけね。
だってお昼は学校でお弁当食べるもん。
そして私以外には5つ年上のお姉ちゃんが、朝からきっちりこれでもかっていうくらい分厚いお化粧をして(これをお姉ちゃんに言えば、半殺しの目に遭うから本人には絶対言えない)見事に化けているし、お父さんは……ぷぷ、まただよ。
新聞読みながら朝御飯食べて、ほらね……お母さんにまた注意されてるやん。
それにしても一粒もご飯を零さず食べるなんてお父さん、無駄に器用だよね。
だけどなんでかなぁ……いっつもお母さんに怒られても絶対に懲りないね、お父さん。
そうして朝ごはんを食べ終われば、お母さんは私達へ各自のお弁当をちゃんと渡してくれる。
私はそのお弁当を受け取って「行ってきまーす」って、何時もの様に学校へと行く為に家を出る。
これはなんてコトのない何時もの光景で、そしてこれからも変わらない日常の一つ。
ごく当たり前のもの。
私は平和ボケ日本に生まれた生粋の日本人だもん。
そう、だからこれからだって何も変わらない……筈。
だけど突然――――。
『迎えに来たよ』
え……?
誰?
訳がわからない……けどこの人は私を知っている?
そして私もこの人を知っているのだろう??
普通こういうのって警戒する……よね、多分。
そうだよね、警戒して当り前なんだけど、この時だけはそれをしてはダメなような気がした。
その人の屈託のない笑顔に、私は何の躊躇いもなく、受け入れてしまっている。
自分でも不思議……だと自覚しているよ。
だって私その人のコト何も知らないし、それに覚えていないんだもん。
その人の顔も、そしてどんな声なのかもわからない。
男なのか女なのか、それさえもわからない。
身体は痩せているのか太っているのか?
それとも普通なのか、それさえもわからないときている。
うん、当然性格なんてものもわからない。
ただわかるのは……取り敢えずソレは人の形をしている。
言うなれば真っ白な人型で、おまけにのっぺらぼうなのだ。
お化けかって言われる様な形容だけど、実はそうでもないみたい。
確証はないけど……ね。
はあぁぁぁ、こんなコト学校で話したらきっと皆に思いっきり弄られてしまうんだろうな。
だって自分でもこれが到底現実だなんて思えないんだもん。
そう、だからこれはきっと夢だ。
何時もの様に満員電車の中、倒れるコトもなくちゃんと立ったまま寝てしまったんだろう。
ほんと、無駄に器用な私。
一体誰に似たんだろう。
さて……そろそろ起きないと乗り過ごしてしまう。
今日も一日楽しいコトがあればいいな。
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