上 下
1 / 45
序章

まどろみの中で?

しおりを挟む

  これは何時も変わらない繰り返される朝の出来事。
 夜が明けてスマホのアラームで起こされる。
 眠気眼状態で階段を降り、洗面所で歯を磨がき終わると身支度を整え、それから台所でお母さんが作ってくれた朝御飯を食べる。
 食事は何時も家族と一緒――――とは言っても朝と夕御飯だけね。
 だってお昼は学校でお弁当食べるもん。
 そして私以外には5つ年上のお姉ちゃんが、朝からきっちりこれでもかっていうくらい分厚いお化粧をして(これをお姉ちゃんに言えば、半殺しの目に遭うから本人には絶対言えない)見事に化けているし、お父さんは……ぷぷ、まただよ。
 新聞読みながら朝御飯食べて、ほらね……お母さんにまた注意されてるやん。
 それにしても一粒もご飯をこぼさず食べるなんてお父さん、無駄に器用だよね。

 だけどなんでかなぁ……いっつもお母さんに怒られても絶対にりないね、お父さん。

 そうして朝ごはんを食べ終われば、お母さんは私達へ各自のお弁当をちゃんと渡してくれる。  
 私はそのお弁当を受け取って「行ってきまーす」って、何時もの様に学校へと行く為に家を出る。
 これはなんてコトのない何時もの光景で、そしてこれからも変わらない日常の一つ。 
 ごく当たり前のもの。
 私は平和ボケ日本に生まれた生粋きっすいの日本人だもん。
 そう、だからこれからだって何も変わらない……筈。
 だけど突然――――。



 え……?
 誰?
 訳がわからない……けどこの人は私を知っている?
 そして私もこの人を知っているのだろう??
 普通こういうのって警戒する……よね、多分。
 そうだよね、警戒して当り前なんだけど、この時だけはそれをしてはダメなような気がした。
 その人の屈託くったくのない笑顔に、私は何の躊躇ためらいもなく、受け入れてしまっている。

 自分でも不思議……だと自覚しているよ。
 だって私その人のコト何も知らないし、それに覚えていないんだもん。
 その人の顔も、そしてどんな声なのかもわからない。
 男なのか女なのか、それさえもわからない。
 身体はせているのか太っているのか?
 それとも普通なのか、それさえもわからないときている。

 うん、当然性格なんてものもわからない。

 ただわかるのは……取り敢えずソレは人の形をしている。
 言うなれば真っ白な人型で、おまけにのっぺらぼうなのだ。
 お化けかって言われる様な形容だけど、実はそうでもないみたい。
 確証はないけど……ね。
 はあぁぁぁ、こんなコト学校で話したらきっと皆に思いっきりいじられてしまうんだろうな。
 だって自分でもこれが到底現実だなんて思えないんだもん。

 そう、だからこれはきっと夢だ。

 何時もの様に満員電車の中、倒れるコトもなくちゃんと立ったまま寝てしまったんだろう。
 ほんと、無駄に器用な私。
 一体誰に似たんだろう。
 さて……そろそろ起きないと乗り過ごしてしまう。
 今日も一日楽しいコトがあればいいな。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

スナイパー令嬢戦記〜お母様からもらった"ボルトアクションライフル"が普通のマスケットの倍以上の射程があるんですけど〜

シャチ
ファンタジー
タリム復興期を読んでいただくと、なんでミリアのお母さんがぶっ飛んでいるのかがわかります。 アルミナ王国とディクトシス帝国の間では、たびたび戦争が起こる。 前回の戦争ではオリーブオイルの栽培地を欲した帝国がアルミナ王国へと戦争を仕掛けた。 一時はアルミナ王国の一部地域を掌握した帝国であったが、王国側のなりふり構わぬ反撃により戦線は膠着し、一部国境線未確定地域を残して停戦した。 そして20年あまりの時が過ぎた今、皇帝マーダ・マトモアの崩御による帝国の皇位継承権争いから、手柄を欲した時の第二皇子イビリ・ターオス・ディクトシスは軍勢を率いてアルミナ王国への宣戦布告を行った。 砂糖戦争と後に呼ばれるこの戦争において、両国に恐怖を植え付けた一人の令嬢がいる。 彼女の名はミリア・タリム 子爵令嬢である彼女に戦後ついた異名は「狙撃令嬢」 542人の帝国将兵を死傷させた狙撃の天才 そして戦中は、帝国からは死神と恐れられた存在。 このお話は、ミリア・タリムとそのお付きのメイド、ルーナの戦いの記録である。 他サイトに掲載したものと同じ内容となります。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています

平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。 生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。 絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。 しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

子ウサギは竜王様に寵愛されたい

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
私は餌だ。 目の前の巨大な竜にとって、食物連鎖の最弱の底辺の私等ーー… この小説はなろうでも掲載されております。 (なろうにあるPVお礼話/竜王に会うちょっと前のお話し/酔っ払った女神さん/ファンダムの外で/は此方には載せておりません。申し訳無いですが御理解お願い致します) ↓各章の見かた↓ 1章 2章 番外編 バレンタイン ( 竜王様の執事見習&メイド、番様の護衛やらせて頂きます 別部屋) 2.5章

社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル 14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり 奥さんも少女もいなくなっていた 若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました いや~自炊をしていてよかったです

借金背負ったので死ぬ気でダンジョン行ったら人生変わった件 やけくそで潜った最凶の迷宮で瀕死の国民的美少女を救ってみた

羽黒 楓
ファンタジー
旧題:借金背負ったので兄妹で死のうと生還不可能の最難関ダンジョンに二人で潜ったら瀕死の人気美少女配信者を助けちゃったので連れて帰るしかない件 借金一億二千万円! もう駄目だ! 二人で心中しようと配信しながらSSS級ダンジョンに潜った俺たち兄妹。そしたらその下層階で国民的人気配信者の女の子が遭難していた! 助けてあげたらどんどんとスパチャが入ってくるじゃん! ってかもはや社会現象じゃん! 俺のスキルは【マネーインジェクション】! 預金残高を消費してパワーにし、それを自分や他人に注射してパワーアップさせる能力。ほらお前ら、この子を助けたければどんどんスパチャしまくれ! その金でパワーを女の子たちに注入注入! これだけ金あれば借金返せそう、もうこうなりゃ絶対に生還するぞ! 最難関ダンジョンだけど、絶対に生きて脱出するぞ! どんな手を使ってでも!

処理中です...