51 / 51
51 長い長い遠足の終わり
しおりを挟む
「ステータスオープン」
私は今日何度目かの言葉を呟いた。そして、そこに現れた文字に目を見開く。
茂木美佳子
LV 99
HP 309
STR 100
VIT 100
AGI 100
DEX 100
スキル:指揮 LV8、指導 LV6
「やったー! LV99になったよー!!」
昨日から何度確認したことだろう!
やっと、やっと神から出された条件をクリアできた!
LV上限に達したのに指揮・指導LVが10まで行ってないとか、そんな些細なことは気にしないことにしよう。うん、些細なことだよ……。
はーあ、あのシステム管理者ざまぁだわ! 少しずつ肥沃になる土地と、この前方々に送ったジャガイモとサツマイモの苗があれば、神の思惑に反して人口は増える。そして、ジュスタさんが願ったようにこの世界は発展するだろう。
神の危惧は戦争のことだったけども、私はその方向に向かないように釘を刺しておいたしね。
リチャード3世のところになんか、部屋中びっしり苗を置いてやったから、起きたときに相当ビビっただろうな。
あー、いろいろとすっきりした!
これで心置きなく帰れる!
「やったー! 帰れるー!」
「ほんとに? ほんとに帰れるの?」
子供たちはざわざわとしている。達成感と、不安感とで。
私もLV99になることにばかり気を取られていたけど、99になったからといって特に何も起こらない事に気付いてしまった。
「あのー、ジュスタさん、今更ですが、私たちどうやって帰ればいいんでしょう?」
イメージ的には、LV99になってヒューンと元の世界に帰るのをなんとなく想像してたんだよね。
でも、どうやらそうではないみたいだ。
「そうか、神の出した条件に到達したのじゃな。これで、世界は元通りというわけか。ミカコ、そこにしゃがむが良い」
「はい?」
ジュスタさんに言われるがままにしゃがむと、彼女の手が私の頭を撫でた。
「よく頑張ったのう」
その声は少女のものでしかないのに、小さな頃に母に褒められたときのことを思い出す。
頑張った。うん、頑張ったよ。
私も頑張ったし、子供たちはもっと頑張った。
私は指揮をするだけ。実際に椅子を投げて戦っていたのは、年端もいかない子供たち。
何度自分のふがいなさに唇を噛みしめたことだろう。
「ジュスタさん、子供たちの方を褒めてあげてください」
「もちろんじゃ。だが、そなたを褒められるのはこの場では妾だけじゃからな」
「うっ……」
じわりと涙が浮いてくる。やっぱりジュスタさんは、子供に見えても中身はとんでもない時間を過ごしてきた神様だ。
「みな、本当によく頑張ってくれたのう。おかげで、この世界は元通りじゃ。すぐにでも元の世界に送り返すことはできるが、やり残したことはないか?」
なるほど、ジュスタさんが私たちを帰してくれるのか。
もしかしたら、LVを上げないといけないとわかっていたから、どんな道筋を通っても私たちはこの場所に辿り着いていたのかもしれないな。
「やり残したこと……。あっ! みんな、服! こっちの世界の服は置いていって。持って帰ったら驚かれちゃうからね!」
「そうだー!」
慌てて子供たちがリュックから服を取り出す。それは辺境騎士団の砦で買ってもらって、ソントンの街までずっと着ていた服だ。
「この服、フロードルのレティシアさんのところへ送ってもらえませんか?」
「うむ、よいぞ」
あそこは養護院があるから、服はいくらあっても困らないはず。
そして、今のうちに子供たちに話しておかなければいけない大事な話があった。
「はいみんなー、先生のお話聞いてね。……これからおうちに帰るけど、こっちの世界であったことは、他の人には喋らないこと。先生と、みんなだけの秘密だよ。いいね?」
「なんで?」
不満げな声を上げたのは太一くんだった。
わからないではないよ。きっと、いろんなことがあったのを親に話したりしたいだろうと思うし。
「信じてもらえないからだよ。みんなはこっちに来る前、こんな別の世界があるなんて思ってた?」
私の問いかけに答える子はいなかった。異世界召喚・転生系のアニメが好きだという心愛ちゃんですら、難しい顔をして黙っている。
「楽しかったことも大変だったこともたくさんあるから、お父さんやお母さんに話したい気持ちはわかるよ。でも、話せることと話せないことが世の中にはあるの。これは話せないことの方。話して『嘘つき』って言われたら悲しいでしょう? だから、思い出してお話ししたくなったら、クラスの中でか、先生としよう。わかった?」
渋々という様子で、わかったという声があちこちからあがる。
「そうだ、あとこれ」
私は手帳の中から押し花になった白い花を取り出した。
心愛ちゃんがデニスくんからもらった花は、時間が経ったせいでうっすらと花びらが黄色くなってしまったけども、きっと心愛ちゃんの心の中ではこれはずっと「白い花」だろう。
手帳の白紙のページを破り、それに挟んで押し花を心愛ちゃんに手渡す。
「ね、先生が言ったとおり、おうちに帰るときに押し花になってたでしょう?」
「うん」
心愛ちゃんは大事そうに押し花を挟んだ紙を胸に当て、リュックの一番下に慎重にしまった。
「こちらの準備は大丈夫です。ジュスタさんはどうですか?」
私が尋ねると、ジュスタさんは無言で子供たちをひとりひとり抱きしめ始めた。
「子らよ、達者でな」
その声は悲しそうに聞こえて、私は胸が痛む。だから、彼女がこれ以上心を痛めなくていいように、満面の笑みを浮かべてアドバイスをした。
「ジュスタさん、こういう時には『元気でね』と言うんですよ! 多分、子供たちには『達者でな』は通じませんから」
「うむ。我が愛しの子供らよ、元気でな! 久々に楽しい時を過ごしたぞ!」
「ジュスタさん! さよなら!」
「魔王様、ありがとう!」
「元気でね!」
全員が、口々にジュスタさんに別れの挨拶を告げていた。それに微笑み返して、ジュスタさんは片手を大きく振った。するとその手の軌道に虹が現れて、私たちは思わずそれに見入ってしまった。
――空に現れるはずの虹を見つめていたら、いつの間にか私たちは森の中にいた。
「茂木先生、後ろが詰まってますよ」
後ろから掛けられた声で慌てて振り向く。茂木先生なんて呼ばれたの、物凄く久しぶり!
振り向くとそこには、3組の児童と担任の瀬川先生が立っていた。
私たちを見ても別に驚いている様子はなく、記憶の限りでは服装もあの遠足の日と同じ。なにより、3組の子たちが一緒にいるから、私たちは元の世界の元の時間に戻ってきたんだ!
「せ、せがわせんせーー!!」
元の世界に戻ってきたのだとわかって、私は思わず座り込んでしまった。
1組の子供たちも、歓声を上げている。そして、そんな私たちを瀬川先生は不思議そうに見ていた。
「どうしたんですか?」
クリスさんと同じくらいの身長の瀬川先生が見下ろしてくる。
本当のことは言えないから、私は必死に記憶を探った。
そうだ、あっちの世界に行ったときは霧が出てきて、校長先生に電話をしようとしたら繋がらなくて……。
「さっきの霧、酷かったですよね!?」
「ああ、ちょっと出てましたね」
「ちょっと!? こっち、前が見えないくらい酷かったんですけど」
「場所が悪かったのかな。ともかく、後ろが詰まってますから進んでください」
「は、はいっ!」
そういえば、と私は子供たちを見渡し、男子の髪の毛が向こうの世界で伸びた様子がなかったことに今更気付いた。女子はわかりにくいけど、男子はわかりやすいんだよね。
結局私たちってどうなってたんだろうか。うーん。
……多分システム管理者しか答えられないから考えないようにするか。
私たちは心の中に興奮を押し込めたまま、何もなかった振りをして丘の麓へ下り、電車に乗って地元の駅に戻ってきた。
途中何度も子供たちは叫びだしそうになっていて、太一くんは隣を歩く芽依ちゃんに何度もどつかれていた。
なんというか、うん。いろいろ変わった。子供たちの間のパワーバランスとか。
たった1日で、2ヶ月分の成長をしてきた子供たちを、家族はどう思うだろう。
きっと違和感を感じるだろうけど、悪い方へ成長した子はひとりもいないはず。
駅からは学校へ向かって歩く道々で保護者が迎えに来ていて、少しずつ子供の列が欠けていく。
だけどどの子も、何度も私の方を振り向いて、力強く手を振っていた。
「先生、また明日ね!」
「また明日! 今日はゆっくり寝るんだよ!」
私たちのとんでもなく長い遠足はこうして終わった。
1組の子供たちは他のクラスの子よりちょっと大人びて、椅子や食べ物を大事にするようになった。
1年1組は「とても仲が良いクラス」として校長先生からも何度も褒められ、進級前のお別れ会ではみんな大泣きしてしまった。
クラスがバラバラになっても、疎遠になった子はいなかった。だって、私たちには共通の秘密があるから。
それはきっと、一生私たちを結びつけていくだろう。
ちなみに、あの後椅子を投げた子はひとりもいない。
私は今日何度目かの言葉を呟いた。そして、そこに現れた文字に目を見開く。
茂木美佳子
LV 99
HP 309
STR 100
VIT 100
AGI 100
DEX 100
スキル:指揮 LV8、指導 LV6
「やったー! LV99になったよー!!」
昨日から何度確認したことだろう!
やっと、やっと神から出された条件をクリアできた!
LV上限に達したのに指揮・指導LVが10まで行ってないとか、そんな些細なことは気にしないことにしよう。うん、些細なことだよ……。
はーあ、あのシステム管理者ざまぁだわ! 少しずつ肥沃になる土地と、この前方々に送ったジャガイモとサツマイモの苗があれば、神の思惑に反して人口は増える。そして、ジュスタさんが願ったようにこの世界は発展するだろう。
神の危惧は戦争のことだったけども、私はその方向に向かないように釘を刺しておいたしね。
リチャード3世のところになんか、部屋中びっしり苗を置いてやったから、起きたときに相当ビビっただろうな。
あー、いろいろとすっきりした!
これで心置きなく帰れる!
「やったー! 帰れるー!」
「ほんとに? ほんとに帰れるの?」
子供たちはざわざわとしている。達成感と、不安感とで。
私もLV99になることにばかり気を取られていたけど、99になったからといって特に何も起こらない事に気付いてしまった。
「あのー、ジュスタさん、今更ですが、私たちどうやって帰ればいいんでしょう?」
イメージ的には、LV99になってヒューンと元の世界に帰るのをなんとなく想像してたんだよね。
でも、どうやらそうではないみたいだ。
「そうか、神の出した条件に到達したのじゃな。これで、世界は元通りというわけか。ミカコ、そこにしゃがむが良い」
「はい?」
ジュスタさんに言われるがままにしゃがむと、彼女の手が私の頭を撫でた。
「よく頑張ったのう」
その声は少女のものでしかないのに、小さな頃に母に褒められたときのことを思い出す。
頑張った。うん、頑張ったよ。
私も頑張ったし、子供たちはもっと頑張った。
私は指揮をするだけ。実際に椅子を投げて戦っていたのは、年端もいかない子供たち。
何度自分のふがいなさに唇を噛みしめたことだろう。
「ジュスタさん、子供たちの方を褒めてあげてください」
「もちろんじゃ。だが、そなたを褒められるのはこの場では妾だけじゃからな」
「うっ……」
じわりと涙が浮いてくる。やっぱりジュスタさんは、子供に見えても中身はとんでもない時間を過ごしてきた神様だ。
「みな、本当によく頑張ってくれたのう。おかげで、この世界は元通りじゃ。すぐにでも元の世界に送り返すことはできるが、やり残したことはないか?」
なるほど、ジュスタさんが私たちを帰してくれるのか。
もしかしたら、LVを上げないといけないとわかっていたから、どんな道筋を通っても私たちはこの場所に辿り着いていたのかもしれないな。
「やり残したこと……。あっ! みんな、服! こっちの世界の服は置いていって。持って帰ったら驚かれちゃうからね!」
「そうだー!」
慌てて子供たちがリュックから服を取り出す。それは辺境騎士団の砦で買ってもらって、ソントンの街までずっと着ていた服だ。
「この服、フロードルのレティシアさんのところへ送ってもらえませんか?」
「うむ、よいぞ」
あそこは養護院があるから、服はいくらあっても困らないはず。
そして、今のうちに子供たちに話しておかなければいけない大事な話があった。
「はいみんなー、先生のお話聞いてね。……これからおうちに帰るけど、こっちの世界であったことは、他の人には喋らないこと。先生と、みんなだけの秘密だよ。いいね?」
「なんで?」
不満げな声を上げたのは太一くんだった。
わからないではないよ。きっと、いろんなことがあったのを親に話したりしたいだろうと思うし。
「信じてもらえないからだよ。みんなはこっちに来る前、こんな別の世界があるなんて思ってた?」
私の問いかけに答える子はいなかった。異世界召喚・転生系のアニメが好きだという心愛ちゃんですら、難しい顔をして黙っている。
「楽しかったことも大変だったこともたくさんあるから、お父さんやお母さんに話したい気持ちはわかるよ。でも、話せることと話せないことが世の中にはあるの。これは話せないことの方。話して『嘘つき』って言われたら悲しいでしょう? だから、思い出してお話ししたくなったら、クラスの中でか、先生としよう。わかった?」
渋々という様子で、わかったという声があちこちからあがる。
「そうだ、あとこれ」
私は手帳の中から押し花になった白い花を取り出した。
心愛ちゃんがデニスくんからもらった花は、時間が経ったせいでうっすらと花びらが黄色くなってしまったけども、きっと心愛ちゃんの心の中ではこれはずっと「白い花」だろう。
手帳の白紙のページを破り、それに挟んで押し花を心愛ちゃんに手渡す。
「ね、先生が言ったとおり、おうちに帰るときに押し花になってたでしょう?」
「うん」
心愛ちゃんは大事そうに押し花を挟んだ紙を胸に当て、リュックの一番下に慎重にしまった。
「こちらの準備は大丈夫です。ジュスタさんはどうですか?」
私が尋ねると、ジュスタさんは無言で子供たちをひとりひとり抱きしめ始めた。
「子らよ、達者でな」
その声は悲しそうに聞こえて、私は胸が痛む。だから、彼女がこれ以上心を痛めなくていいように、満面の笑みを浮かべてアドバイスをした。
「ジュスタさん、こういう時には『元気でね』と言うんですよ! 多分、子供たちには『達者でな』は通じませんから」
「うむ。我が愛しの子供らよ、元気でな! 久々に楽しい時を過ごしたぞ!」
「ジュスタさん! さよなら!」
「魔王様、ありがとう!」
「元気でね!」
全員が、口々にジュスタさんに別れの挨拶を告げていた。それに微笑み返して、ジュスタさんは片手を大きく振った。するとその手の軌道に虹が現れて、私たちは思わずそれに見入ってしまった。
――空に現れるはずの虹を見つめていたら、いつの間にか私たちは森の中にいた。
「茂木先生、後ろが詰まってますよ」
後ろから掛けられた声で慌てて振り向く。茂木先生なんて呼ばれたの、物凄く久しぶり!
振り向くとそこには、3組の児童と担任の瀬川先生が立っていた。
私たちを見ても別に驚いている様子はなく、記憶の限りでは服装もあの遠足の日と同じ。なにより、3組の子たちが一緒にいるから、私たちは元の世界の元の時間に戻ってきたんだ!
「せ、せがわせんせーー!!」
元の世界に戻ってきたのだとわかって、私は思わず座り込んでしまった。
1組の子供たちも、歓声を上げている。そして、そんな私たちを瀬川先生は不思議そうに見ていた。
「どうしたんですか?」
クリスさんと同じくらいの身長の瀬川先生が見下ろしてくる。
本当のことは言えないから、私は必死に記憶を探った。
そうだ、あっちの世界に行ったときは霧が出てきて、校長先生に電話をしようとしたら繋がらなくて……。
「さっきの霧、酷かったですよね!?」
「ああ、ちょっと出てましたね」
「ちょっと!? こっち、前が見えないくらい酷かったんですけど」
「場所が悪かったのかな。ともかく、後ろが詰まってますから進んでください」
「は、はいっ!」
そういえば、と私は子供たちを見渡し、男子の髪の毛が向こうの世界で伸びた様子がなかったことに今更気付いた。女子はわかりにくいけど、男子はわかりやすいんだよね。
結局私たちってどうなってたんだろうか。うーん。
……多分システム管理者しか答えられないから考えないようにするか。
私たちは心の中に興奮を押し込めたまま、何もなかった振りをして丘の麓へ下り、電車に乗って地元の駅に戻ってきた。
途中何度も子供たちは叫びだしそうになっていて、太一くんは隣を歩く芽依ちゃんに何度もどつかれていた。
なんというか、うん。いろいろ変わった。子供たちの間のパワーバランスとか。
たった1日で、2ヶ月分の成長をしてきた子供たちを、家族はどう思うだろう。
きっと違和感を感じるだろうけど、悪い方へ成長した子はひとりもいないはず。
駅からは学校へ向かって歩く道々で保護者が迎えに来ていて、少しずつ子供の列が欠けていく。
だけどどの子も、何度も私の方を振り向いて、力強く手を振っていた。
「先生、また明日ね!」
「また明日! 今日はゆっくり寝るんだよ!」
私たちのとんでもなく長い遠足はこうして終わった。
1組の子供たちは他のクラスの子よりちょっと大人びて、椅子や食べ物を大事にするようになった。
1年1組は「とても仲が良いクラス」として校長先生からも何度も褒められ、進級前のお別れ会ではみんな大泣きしてしまった。
クラスがバラバラになっても、疎遠になった子はいなかった。だって、私たちには共通の秘密があるから。
それはきっと、一生私たちを結びつけていくだろう。
ちなみに、あの後椅子を投げた子はひとりもいない。
0
お気に入りに追加
14
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜
山いい奈
ファンタジー
味噌蔵の跡継ぎで修行中の相葉壱。
息抜きに動物園に行った時、仔カピバラに噛まれ、気付けば見知らぬ場所にいた。
壱を連れて来た仔カピバラに付いて行くと、着いた先は食堂で、そこには10年前に行方不明になった祖父、茂造がいた。
茂造は言う。「ここはいわゆる異世界なのじゃ」と。
そして、「この食堂を継いで欲しいんじゃ」と。
明かされる村の成り立ち。そして村人たちの公然の秘め事。
しかし壱は徐々にそれに慣れ親しんで行く。
仔カピバラのサユリのチート魔法に助けられながら、味噌などの和食などを作る壱。
そして一癖も二癖もある食堂の従業員やコンシャリド村の人たちが繰り広げる、騒がしくもスローな日々のお話です。
転生悪役令嬢は、どうやら世界を救うために立ち上がるようです
戸影絵麻
ファンタジー
高校1年生の私、相良葵は、ある日、異世界に転生した。待っていたのは、婚約破棄という厳しい現実。ところが、王宮を追放されかけた私に、世界を救えという極秘任務が与えられ…。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し
gari
ファンタジー
突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。
知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。
正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。
過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。
一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。
父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!
地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……
ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!
どうする? どうなる? 召喚勇者。
※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。
やくもあやかし物語
武者走走九郎or大橋むつお
ファンタジー
やくもが越してきたのは、お母さんの実家。お父さんは居ないけど、そこの事情は察してください。
お母さんの実家も周囲の家も百坪はあろうかというお屋敷が多い。
家は一丁目で、通う中学校は三丁目。途中の二丁目には百メートルほどの坂道が合って、下っていくと二百メートルほどの遠回りになる。
途中のお屋敷の庭を通してもらえれば近道になるんだけど、人もお屋敷も苦手なやくもは坂道を遠回りしていくしかないんだけどね……。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
年代記『中つ国の四つの宝玉にまつわる物語』
天愚巽五
ファンタジー
一つの太陽と二つの月がある星で、大きな内海に流れる二つの大河と七つの山脈に挟まれた『中つ国』に興り滅んでいった諸民族と四つの宝玉(クリスタル)にまつわる長い長い物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
続き
【登場人物の魅力】
この物語には、個性的な生徒がたくさん出てくる。多様性とは当たり前であり、個人個人発想も違う。だからこそ助け合えると感じる部分がたくさんあり、一見弱いだけに見える主人公がそれらを認めることでバランスが取れている。この物語では主人公は解説者であり、理解者であり、語り手なのだ。
子供たちの多様性を通し語られるのは、人間とは何かという事なのではないだろうか。何故、主人公は教育者なのか。どうして子供たちが、自由な発想が出来る年代なのか。そこに意味のある物語だと感じる。かなりテーマの深い作品だ。
【物語の見どころ】
ほのぼのしているように見え、計算された世界。子供たちは疑うことなく、自分の感性を信じている。自由な発想が自分たちを救い、仲間も救っていく。椅子一つから産まれる発想もまた自由だ。そして最大の魅力は個性。椅子が持つ力は、椅子そのものにあるわけではなく、個人個人の想いによるもの。つまり椅子は象徴でしかなく、本当は子供たちの想いの結晶なのかもしれない。成長し、団結力が強くなっていく生徒たち。そんな彼らにこの先、待ち受けるものとは何だろうか。主人公視点では、推理も展開されていく。果たして、この世界が彼らを呼んだ目的とは?
是非あなたも、お手に取られてみませんか?
一見ほのぼのだが、メッセージ性が強く、ミステリー部分もあり。
読む手が止まらなくなる物語。おススメです。
ただ、ほのぼのしているだけではなく、メッセージ性の強い作品
【物語は】
不思議な世界観。ある戦闘風景から始まっていく。勝利で得られたのはお弁当。ここで、多様性について描かれているのが印象的。そしてここでは、多様性は当たり前であること、適材適所、助け合いと、人間の基本的なことについて語られていく。
これは自分も常々感じていることである。平等とは何かということ。戦える者が戦い、戦えないものは見ているだけ。そう思えるかもしれないが、飲み物に例えるならば、平等だからと言って全員に珈琲を配る。好きな人にとっては”嬉しい”嫌いな人にとっては”困る”ということが起きるのは想像に難くない。すなわち平等とは、同じものを渡すという事ではないのだ。
一話では、主人公である教師には”お弁当”が二つ。一見不平等に見えるかもしれないが、体格に合わせた栄養という意味では平等だ。物語のはじめから、多様性と平等について語られているのがとても印象的である。
【物語の魅力】
この物語は、ある日自分のクラスの生徒と共に、担任教師である主人公が、異世界に飛ばされるという物語。斬新なのは、生徒が椅子で戦う所。学校によくあるタイプの椅子である。しかし、何故椅子だったのかについて、詳しい経緯が書かれている為、なるほどと納得してしまう。モンスターを倒すための発想ではないという事だ。ステータスなどもあり、完全にゲームをしているような感覚で楽しめるのも良い。特性がステータス化されるという世界観。
沢山の生徒が出ており、教師である主人公視点で物語は進んでいく。多視点切り替えではない為、一部の特別な生徒以外は名前を覚えられなくても、物語の流れが理解できる。飛ばされた先の世界では、時間に合わせて必要なものを与えられるシステム。主人公も心の中で不審がっているが、ご都合主義なのが気になる点。何かに支配された世界なのだろうかと疑ってしまう、不思議な物語である。彼らは果たして、無事に戻ることが出来るのであろうか?