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16 ファイエル!
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「先生、必殺技ならいいよね?」
合体ロボを諦め、「椅子は投げる物」と認識を確認した友仁くんだけども、そんなことを言って食い下がってきた。
「そもそも『椅子召喚』が必殺技だよね?」
私から見たら椅子召喚はとても羨ましいスキルだ。だって、指揮と指導って実質日常スキルだよ。私だって物理的に戦う手段が欲しい。
「違うよ、椅子召喚はスキルだもん。なんか、ファイナルなんとかチェアー! みたいな必殺技が欲しい」
「ファイナルなんとかチェアー……」
そこに半端に英語混じるのか。そういえば時々「ホワイ!?」って美玖ちゃんが叫んでるな。今の子って私が子供の頃に比べて英語始めるのが早かったりするからなあ。
――いや、そうではなく。
「飛べ、俺の炎の椅子!」
「椅子の呼吸壱の型! ぶん投げ!」
ほら始まった始まった!
友仁くんが必殺技なんて言いだしたから、近くにいた子たちが無意味に燃え始めた!
「戦うときにそんなこと言ってる余裕あるのかな!? 椅子の呼吸って何!?」
「えー、先生知らないのー?」
「知ってるよ! 元ネタは知ってるけど! 一体何をしたら習得できる呼吸なの!?」
「今日から先生は椅子の呼吸の育手ね!」
「そもそも先生は椅子の呼吸ができません! ……じゃなくて、椅子召喚すらできません!」
「じゃあジェダイマスターは!?」
「なれるものならなりたいです!」
わいわいぎゃーぎゃーと私と子供たちが同レベルで言い争っていると、樹くんが「はーいはーい!」と元気よく挙手をした。
「はい、樹くん。なんですか」
いつもの習慣で思わず彼を指名したら、樹くんは上げていた手を振り下ろしつつ、キリッとした顔を作って「ファイエル!」と叫んだ。周りの子は何のことかわからずにぽかんとしているけども、私にはわかってしまった。もう、そのモーション付きで言われたらあれしかないよ。
「あー……。なるほど、椅子を投げる合図に私がそう言うっていうことね」
「うん! 絶対カッコいいし!」
満面の笑みを浮かべながら期待に満ちた目で見つめられたので、私はつい手を上げて某帝国元帥になったつもりで「ファイエル!」と凜々しく叫んだ。
「……カッコいい」
「先生かっこいい!」
「それ何語!? なんて意味!?」
樹くんばかりではなく、月姫ちゃんや敦くんまで釣れてしまった。うーん、私自身は思いっきり同盟派なので、どうせなら「ファイヤー!」と言いたいところなんだけどな。
「これはドイツ語だよ。意味は『撃て!』だね。英語で言ったら『ファイアー!』ってなるの」
「ドイツ語!」
「かっけー!」
わあ、釣れる釣れる! その場にいた子たちが目をキラキラさせて、ワクワクとした様子を隠さずに私を見つめている。
「……言うの? 先生が?」
ためらいがちに呟いた言葉は私の最後の抵抗で。
「やってやって!」
「必殺技っぽい!」
子供たちは私の恥ずかしさなんか忖度せずに、ノリノリになってしまったのだった。
一翔くんと樹くんを交えた作戦会議によって、戦闘時の行動が他の子たちにもわかりやすいようにまとめられた。
まず、索敵は基本的に私の役目。実際今までもジャイアントモスなどの例外を除いて、私が真っ先に気付いたケースが多い。もちろん、モンスターに気付いた子は大声で周りに報告することになっている。
……というか、何でか知らないけど、襲撃してくるモンスターって隠れる気が全くないんだよね。ドタバタ走ったり唸ったり。スライムだけが音もなく忍び寄ってくるので要注意なんだけど。それでもダンジョンの天井から突然落ちてくるんじゃなくて、草原をのたのたと移動してくるからまだマシ。
私じゃなくても、モンスターには誰でも気付く。私の索敵アドバンテージは、あくまで身長の高さによる視界の広さでしかない。
その後、モンスターの種類や数などで陣形を決めるところは完全に私の役目。指揮スキルの見せ所だ。とはいえ、陣形はV字に開く鶴翼と、一列に並ぶ横陣の2種類だけ。無駄に増やしても子供たちが覚えきれなくなるし、モンスターの方に陣形なんてないから有利不利が存在しない。
密集陣形であるファランクスとか、斜線陣とか一翔くんが持ち出してこなくてよかったよ……。椅子を投げるのに密集陣形は何の利点もないし。
陣形の指示は、以前「体操の隊形にひらけ」と馴染みのある言い方をしたときに反応がスムーズだったので、それを踏襲することにした。
私が「椅子召喚」と言ったら子供たちは椅子を召喚。「出して待ってて」なんて回りくどいことは指示しない。「ファイエル」という合図で投げる。
合理的に簡略化された戦闘指揮が出来上がった。そこへ練習台とばかりにゴブリンの集団が現れる。
「みんな、さっき説明したこと覚えてるね? 横陣にひらけ!」
「おうじん」
「横、横だよ!」
ちょっともたついたけども、お互いにフォローし合って、すぐに子供たちは私の左右に一列に並んでゴブリンを待ち受ける態勢になった。
「椅子召喚!」
私の言葉はただの指示でしかない。けれど、その後に続く「椅子召喚」は復唱でありつつ戦闘準備だ。今までよりも確実に早く、椅子が出揃っている。
ゴブリンとの距離を目測しつつ、私は右手を天に向けてまっすぐ挙げた。
視線がその手に集まるのを感じる。今子供たちが注意を向けているのはモンスターではなく私の指示。そして、その間敵に相対しているのは私の役目だった。
余計なことを言わず、ビリリとした緊張感を身に纏って、私はその瞬間を待った。
ゴブリンがどんどん近づいてくる。50メートル、30メートル、10メートル。
敵が絶対に逃げられないというところまで引き寄せてから、私は右手で空気を切り裂いた。
「ファイエル!」
「行けー!」
「えいっ!」
「おりゃー!」
口々に掛け声が発せられて、綺麗にタイミングが揃った椅子がゴブリンたちに向かって飛んでいく。
ひとつでも椅子が当たれば煙幕がモンスターを覆い尽くす。おそらく中はゼロ視界だろう。残りの椅子を避けられる訳がない。
いつもと違う緊張感で立ち向かった戦闘は、お約束の黄色いコンテナの出現で終わった。
「あ、おせんべい!」
「えびせんだ!」
ゴブリンでえびせんホワイ? と思ったけども、出てくるものに文句を言えるはずがない。みんなが喜んで手を伸ばしたピンク色のえびせんはねじった形のものではなくて、丸く薄く焼いたタイプのえびせんだった。
「おいしい!」
「これ、万福屋のおせんべいに似てる」
「どれどれ? あ、本当だ。万福屋のお煎餅みたい。美味しーい!」
エビの香りを残しつつ、食感はあくまで軽く、香ばしさとエビの風味とほのかなお米の甘さが口の中に広がる。地元では美味しいことで有名なお煎餅専門店の名前が出ると、子供たちはサクサクと音を立てながら夢中でお煎餅を平らげていった。
「……万福屋のはちみつ揚げせん食べたいな……」
誰かがぽつりと呟いたのを皮切りに、しんみりとした空気が広がる。
「エビのお寿司食べたい……」
この世の終わりのような悲痛な表情で言ったのは雪綺ちゃん。寿司、の一言に次々とため息がこぼれ、「お寿司食べたい」と言い出す子が続出した。
「僕、しゃぶしゃぶがいい」
陽斗くんがそう言えば、今度は「しゃぶしゃぶ!」という叫びが上がる。
「ママが作ってくれるこんにゃくとニンジンの煮物が食べたいよぉ」
――希望ちゃんは、本当にこんにゃくが好きなんだな……。
こんにゃくを思い出したのかママを思い出したのかわからないけども、希望ちゃんがそのまましくしくと泣き始めた。
「おうちに、帰りたい」
きっと今までそう言いたいことが何度もあったはずなのに、ずっと我慢していたのだろう。優安ちゃんもとうとう泣き出してしまった。
私は天を仰いでため息をつくことしかできない。帰りたいのは当たり前。いきなりこんな訳のわからないところに飛ばされて、私だって泣きたかった。子供たちがいなかったら、きっと泣いていた。
「絶対帰れるから。先生約束するよ」
私の中ではそれは確信であるけども、子供たちからしたら気休めの言葉でしかない。
「どうやって帰ればいいの?」
泣いてはいないけど不安げな真澄ちゃんが問いかけてくる。
「それを今探してるところなんだけどね。でも、突然こんなところに放り出されたのに、ご飯も必ず3食出てくるし、おやつも飲み物も毛布も保冷枕も出てくるでしょ? それって凄く丁寧だよね。先生だったら、そんな面倒を見た相手はちゃんと帰すよ。帰すつもりがないなら、適当に放り出しておくもん」
私の言葉に子供たちはひとまず納得したらしい。希望を持ちたいから、私の言葉を信じることにしたというのが正しいのかもしれない。
「先生、おうちに帰ったら何がしたい?」
頑張って自力で泣き止んだ優安ちゃんが、ちょっと鼻をすすりながら尋ねてくる。
「おうちに帰ったら? うーん、そうだなー。足を伸ばして入れるお風呂もあるし、入浴剤もその気になったら出そうだし……」
部屋にこもって、文明を満喫しながら漫画読んでゲームしてダラダラしたい。でもちょっとそれは子供に言いにくいな。――そう考えて、私ははっと我に返った。
「いや、駄目、それは言っちゃ駄目なんだよ。何がしたいかは自分の心の中にしまっておこうね!」
――俺、この戦争が終わったら結婚するんだ。
そんなことを言うのはフラグ立て以外の何物でもない。ちょっと縁起悪すぎて言えないなー!
フラグ立て、駄目、絶対!
合体ロボを諦め、「椅子は投げる物」と認識を確認した友仁くんだけども、そんなことを言って食い下がってきた。
「そもそも『椅子召喚』が必殺技だよね?」
私から見たら椅子召喚はとても羨ましいスキルだ。だって、指揮と指導って実質日常スキルだよ。私だって物理的に戦う手段が欲しい。
「違うよ、椅子召喚はスキルだもん。なんか、ファイナルなんとかチェアー! みたいな必殺技が欲しい」
「ファイナルなんとかチェアー……」
そこに半端に英語混じるのか。そういえば時々「ホワイ!?」って美玖ちゃんが叫んでるな。今の子って私が子供の頃に比べて英語始めるのが早かったりするからなあ。
――いや、そうではなく。
「飛べ、俺の炎の椅子!」
「椅子の呼吸壱の型! ぶん投げ!」
ほら始まった始まった!
友仁くんが必殺技なんて言いだしたから、近くにいた子たちが無意味に燃え始めた!
「戦うときにそんなこと言ってる余裕あるのかな!? 椅子の呼吸って何!?」
「えー、先生知らないのー?」
「知ってるよ! 元ネタは知ってるけど! 一体何をしたら習得できる呼吸なの!?」
「今日から先生は椅子の呼吸の育手ね!」
「そもそも先生は椅子の呼吸ができません! ……じゃなくて、椅子召喚すらできません!」
「じゃあジェダイマスターは!?」
「なれるものならなりたいです!」
わいわいぎゃーぎゃーと私と子供たちが同レベルで言い争っていると、樹くんが「はーいはーい!」と元気よく挙手をした。
「はい、樹くん。なんですか」
いつもの習慣で思わず彼を指名したら、樹くんは上げていた手を振り下ろしつつ、キリッとした顔を作って「ファイエル!」と叫んだ。周りの子は何のことかわからずにぽかんとしているけども、私にはわかってしまった。もう、そのモーション付きで言われたらあれしかないよ。
「あー……。なるほど、椅子を投げる合図に私がそう言うっていうことね」
「うん! 絶対カッコいいし!」
満面の笑みを浮かべながら期待に満ちた目で見つめられたので、私はつい手を上げて某帝国元帥になったつもりで「ファイエル!」と凜々しく叫んだ。
「……カッコいい」
「先生かっこいい!」
「それ何語!? なんて意味!?」
樹くんばかりではなく、月姫ちゃんや敦くんまで釣れてしまった。うーん、私自身は思いっきり同盟派なので、どうせなら「ファイヤー!」と言いたいところなんだけどな。
「これはドイツ語だよ。意味は『撃て!』だね。英語で言ったら『ファイアー!』ってなるの」
「ドイツ語!」
「かっけー!」
わあ、釣れる釣れる! その場にいた子たちが目をキラキラさせて、ワクワクとした様子を隠さずに私を見つめている。
「……言うの? 先生が?」
ためらいがちに呟いた言葉は私の最後の抵抗で。
「やってやって!」
「必殺技っぽい!」
子供たちは私の恥ずかしさなんか忖度せずに、ノリノリになってしまったのだった。
一翔くんと樹くんを交えた作戦会議によって、戦闘時の行動が他の子たちにもわかりやすいようにまとめられた。
まず、索敵は基本的に私の役目。実際今までもジャイアントモスなどの例外を除いて、私が真っ先に気付いたケースが多い。もちろん、モンスターに気付いた子は大声で周りに報告することになっている。
……というか、何でか知らないけど、襲撃してくるモンスターって隠れる気が全くないんだよね。ドタバタ走ったり唸ったり。スライムだけが音もなく忍び寄ってくるので要注意なんだけど。それでもダンジョンの天井から突然落ちてくるんじゃなくて、草原をのたのたと移動してくるからまだマシ。
私じゃなくても、モンスターには誰でも気付く。私の索敵アドバンテージは、あくまで身長の高さによる視界の広さでしかない。
その後、モンスターの種類や数などで陣形を決めるところは完全に私の役目。指揮スキルの見せ所だ。とはいえ、陣形はV字に開く鶴翼と、一列に並ぶ横陣の2種類だけ。無駄に増やしても子供たちが覚えきれなくなるし、モンスターの方に陣形なんてないから有利不利が存在しない。
密集陣形であるファランクスとか、斜線陣とか一翔くんが持ち出してこなくてよかったよ……。椅子を投げるのに密集陣形は何の利点もないし。
陣形の指示は、以前「体操の隊形にひらけ」と馴染みのある言い方をしたときに反応がスムーズだったので、それを踏襲することにした。
私が「椅子召喚」と言ったら子供たちは椅子を召喚。「出して待ってて」なんて回りくどいことは指示しない。「ファイエル」という合図で投げる。
合理的に簡略化された戦闘指揮が出来上がった。そこへ練習台とばかりにゴブリンの集団が現れる。
「みんな、さっき説明したこと覚えてるね? 横陣にひらけ!」
「おうじん」
「横、横だよ!」
ちょっともたついたけども、お互いにフォローし合って、すぐに子供たちは私の左右に一列に並んでゴブリンを待ち受ける態勢になった。
「椅子召喚!」
私の言葉はただの指示でしかない。けれど、その後に続く「椅子召喚」は復唱でありつつ戦闘準備だ。今までよりも確実に早く、椅子が出揃っている。
ゴブリンとの距離を目測しつつ、私は右手を天に向けてまっすぐ挙げた。
視線がその手に集まるのを感じる。今子供たちが注意を向けているのはモンスターではなく私の指示。そして、その間敵に相対しているのは私の役目だった。
余計なことを言わず、ビリリとした緊張感を身に纏って、私はその瞬間を待った。
ゴブリンがどんどん近づいてくる。50メートル、30メートル、10メートル。
敵が絶対に逃げられないというところまで引き寄せてから、私は右手で空気を切り裂いた。
「ファイエル!」
「行けー!」
「えいっ!」
「おりゃー!」
口々に掛け声が発せられて、綺麗にタイミングが揃った椅子がゴブリンたちに向かって飛んでいく。
ひとつでも椅子が当たれば煙幕がモンスターを覆い尽くす。おそらく中はゼロ視界だろう。残りの椅子を避けられる訳がない。
いつもと違う緊張感で立ち向かった戦闘は、お約束の黄色いコンテナの出現で終わった。
「あ、おせんべい!」
「えびせんだ!」
ゴブリンでえびせんホワイ? と思ったけども、出てくるものに文句を言えるはずがない。みんなが喜んで手を伸ばしたピンク色のえびせんはねじった形のものではなくて、丸く薄く焼いたタイプのえびせんだった。
「おいしい!」
「これ、万福屋のおせんべいに似てる」
「どれどれ? あ、本当だ。万福屋のお煎餅みたい。美味しーい!」
エビの香りを残しつつ、食感はあくまで軽く、香ばしさとエビの風味とほのかなお米の甘さが口の中に広がる。地元では美味しいことで有名なお煎餅専門店の名前が出ると、子供たちはサクサクと音を立てながら夢中でお煎餅を平らげていった。
「……万福屋のはちみつ揚げせん食べたいな……」
誰かがぽつりと呟いたのを皮切りに、しんみりとした空気が広がる。
「エビのお寿司食べたい……」
この世の終わりのような悲痛な表情で言ったのは雪綺ちゃん。寿司、の一言に次々とため息がこぼれ、「お寿司食べたい」と言い出す子が続出した。
「僕、しゃぶしゃぶがいい」
陽斗くんがそう言えば、今度は「しゃぶしゃぶ!」という叫びが上がる。
「ママが作ってくれるこんにゃくとニンジンの煮物が食べたいよぉ」
――希望ちゃんは、本当にこんにゃくが好きなんだな……。
こんにゃくを思い出したのかママを思い出したのかわからないけども、希望ちゃんがそのまましくしくと泣き始めた。
「おうちに、帰りたい」
きっと今までそう言いたいことが何度もあったはずなのに、ずっと我慢していたのだろう。優安ちゃんもとうとう泣き出してしまった。
私は天を仰いでため息をつくことしかできない。帰りたいのは当たり前。いきなりこんな訳のわからないところに飛ばされて、私だって泣きたかった。子供たちがいなかったら、きっと泣いていた。
「絶対帰れるから。先生約束するよ」
私の中ではそれは確信であるけども、子供たちからしたら気休めの言葉でしかない。
「どうやって帰ればいいの?」
泣いてはいないけど不安げな真澄ちゃんが問いかけてくる。
「それを今探してるところなんだけどね。でも、突然こんなところに放り出されたのに、ご飯も必ず3食出てくるし、おやつも飲み物も毛布も保冷枕も出てくるでしょ? それって凄く丁寧だよね。先生だったら、そんな面倒を見た相手はちゃんと帰すよ。帰すつもりがないなら、適当に放り出しておくもん」
私の言葉に子供たちはひとまず納得したらしい。希望を持ちたいから、私の言葉を信じることにしたというのが正しいのかもしれない。
「先生、おうちに帰ったら何がしたい?」
頑張って自力で泣き止んだ優安ちゃんが、ちょっと鼻をすすりながら尋ねてくる。
「おうちに帰ったら? うーん、そうだなー。足を伸ばして入れるお風呂もあるし、入浴剤もその気になったら出そうだし……」
部屋にこもって、文明を満喫しながら漫画読んでゲームしてダラダラしたい。でもちょっとそれは子供に言いにくいな。――そう考えて、私ははっと我に返った。
「いや、駄目、それは言っちゃ駄目なんだよ。何がしたいかは自分の心の中にしまっておこうね!」
――俺、この戦争が終わったら結婚するんだ。
そんなことを言うのはフラグ立て以外の何物でもない。ちょっと縁起悪すぎて言えないなー!
フラグ立て、駄目、絶対!
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