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2nd フェーズ 集
No.20 メンハギとお話しよう
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メンハギの倉庫に突入し彼女を捕らえた翌日。
キビは病院に来ていた。
「メンハギは現在検査中ですが、その……かなり変わった様子と言いますか」
案内してくれている警察官はハッキリとしない口ぶりで話す。
メンハギがいる病室は外に監視役のアンドロイドが立っていた。
「あら、刑事さん、いらっしゃい」
入って来たキビを見てどこか嬉しそうなメンハギ。
案内してくれた警察官の言う通り彼女は変わっていた。昨日までの美しい肌を持った女性から一変。指で触れれば弾かれそうな肌、それがシワだらけになっていた。
「随分と様変わりしたな」
「これが本来の私よ」
そう言って穏やかに微笑むメンハギ。
「タナカ・ミキ、元大手美容品メーカーで社長秘書だったんだってな。年齢は45間違えないな」
「そんな検査結果が出たら分かるような事を今確認したいの?そんな事より何かお話があるんでしょ?人とこうやって話すのは久しぶりだわ」
微笑みながらメンハギはそう言った。
「久しぶりに帰ってきた孫か私は」
キビはそう言って彼女がいるベットの側に立つ。
「あの場所で何の研究をしていた?」
「刑事さん……私ね、最近物忘れが激しいの。だからいつも自分が使う物は同じ場所に戻すの、そうすればどこにあるか探す必要が無いからね」
全くとぼけた話をしだすメンハギ、キビは彼女の胸倉を掴んだ。
「物忘れだと?じゃあテメェが殺したこの子の顔も忘れたかッ!!」
ひとつの写真をみせる。
「テメェに顔を剥がれた彼女は絶望し、自ら命を絶った!まだ16歳、親もいた、友人も、どれだけの人が苦しんだと思ってんだ!」
写真に目線を向けることなくメンハギは真っすぐとキビを見つめる。
「貴女の瞳にみえる炎はそれね。憎しみ?それとも後悔?でもどうして?貴女は何も悪くないのに」
一切悪びれる様子のない彼女に更に怒りを募らせるキビ。
「どうしたの?もしかして私の口から懺悔の音でも出して欲しいの?」
「なんだと?」
息を荒くし青筋を顔に浮ばせるキビ、今にも殴りかかりそうだ。
「でもそれで彼女は生き返るの?ご家族は納得するの?傷は癒えるの?」
メンハギのこの言葉でキビは黙ってしまう。
「よく世間様は罪人に懺悔の言葉や反省の言葉を求める、けどそれになんの意味があるの?私なら自分の子を殺した者なんて、何があっても許す事なんて出来ないという確信があるわ。どんな懺悔の言葉も耳には届かないでしょうね」
彼女の目は真っすぐ、キビに向けられていた。
「懺悔なんて誰かの為にするものじゃない、どこまで行っても自分に向けた行動よ。そこに他人が救われる要素なんて無いわ。良くて自己満足よ」
目元を震わせながら彼女は話す。
「刑事さん、私みたいな、私欲で人を不幸にする醜い罪はね……『後悔してる』や、『懺悔する』なんて甘えた言葉使っちゃいけないの。その言葉はただ自分自身を慰めるだけの言葉に過ぎないから。ただ黙って生きて自分が犯した事の重みを背負い続けるしかないの。罪という沼に完全に沈み、泥が体に入り一呼吸も出来ない程に溺れ苦しむ、死ぬまでね。それが私達に課せられた罰」
そう告げた彼女は小さく微笑む、到底心から笑った顔ではない、誰が観ても分かる程無理をした笑顔。
「私を死ぬまで痛めつけようが、どれだけ酷い言葉を投げつけられても良いわ、それが自然だもの。でもお願い、貴女は自分を責めないで、それは不自然極まりない事だから」
「クソっ……調子狂うな。お前がゲスだったらここでボコボコにしてやれたのに」
そう言ってキビは掴んだ手を放す。
「刑事さん……私がやっていたのは、美の研究よ」
先ほどのキビの質問に答えるメンハギ。
微笑んでいた彼女だがこの答えをする時、顔から微笑みが消えた。
「美?具体的にはなんだ?」
「人類にとって夢の薬、不老の薬よ」
メンハギはそう静かに答えた。
「不老ねぇ……」
ベッドの上に座っているメンハギは窓の外を眺めている。
ため息をつくキビ。
「あらあら、ため息なんかついちゃって。幸せが逃げちゃうわよ」
メンハギはフフフと笑う。
「年寄り臭い事言うんじゃねぇよ、ため息は大事な息抜きだ」
そう返し、ベッド横の椅子に座るキビ。
「お前の部下については調べが付いた。傭兵か、よく見つけたもんだ。腕は大したこと無かったがな」
「あら、傭兵さんだったの。それは随分怖い人達とお仕事してたのね」
他人事のように返すメンハギ。
「あの坊や、あなたの息子?それとも彼氏?」
「まあ息子みたいなもんだ、変わった奴だったろ?」
今度はメンハギがキビに話しかけた。
「私が前にあった人よりもずっと良い子よ。刑事さんの自慢の息子ね」
微笑みながらメンハギはそう言う。
「ああ、そうだな」
そう言うと席を立つキビ。
「今度はユキチカ達も連れてくる、あいつらならお前の頭の中読み取る変な機械とか持ってそうだしな。それでとことん尋問してやるから、覚悟しておけよ」
部屋を出る前にそう言い残し、キビは出て行く。
「そう……それはとっても楽しみだわ、お茶菓子は何がいいかしら」
部屋に残されたメンハギはそう呟く。
それから数刻後、何ものかの足音が廊下に響く。
「へぇ~犯罪者っちゅーても、こんなええ部屋で寝させて貰えるんか」
真っ赤なスーツを着た女性が部屋に入ってくる。
「あら、今日はお客様が多いのね」
メンハギはその女性に目線を向けた。
「どぉも、ミヅキ社長」
「どうして……その名前を」
その発言を聞いてハッと目を見開くメンハギ、いやミヅキだった。
「勿論知っとんでぇ。アンタの事は色々と」
「そんな貴女は一体誰?誰が貴女をここまで導いたのかしら」
冷静な物言いで質問するミキ。
「お!なんやさっきはあんな面食らった顔してたのに、もう冷静になったんか!流石大企業引っ張ってたやり手の女社長さんは違うわぁ~」
飄々とした感じで話す赤スーツの女性、見た所他に誰も入ってくる気配がない、一人で来たのだろうか。
「ヒントやろうか?あんたが必死こいて作ってたもんや」
「そう……そう言う事なのね」
理解したように下を見て呟くミヅキ。
「にしても月っておもろいよなぁ。ここから見るとあんなに綺麗なのに、近くで見るとボッコボコなんやってなぁ。特に裏側何て酷いもんや」
スーツの女性はそう言って窓から月を見上げた。
「自分の美しさの為に部下を殺し、顔を変え、若いもんの顔を剥いでしまうなんて。アンタの裏側もひっどいもんやのぉ」
「フフフ、そうね酷い物よね。あんな酷い話に飛びついてしまった頃から全てが狂ってしまった。本当、自分が憎いわ」
ミヅキは小さく笑った。
「まぁ、そう落ち込みなさんな」
「良いスーツね。どうしたのこれからパーティに行くの?なら戻らないと」
上下赤のスーツを見てミヅキが言う。
「ハハハ!ええのう、パーティやお祭りは大好きや」
相手は笑って手を叩く。
「でも今日はあんたの【お別れ会】や」
「ごめんなさい、刑事さん。もう次はなかったみたい」
そう言ってベッドにミヅキは静かにベッドに横たわった。
「流石の腕前やなー。今になって血ぃ出てきたで」
ベッドで横たわっているミヅキを見て話す赤スーツの女性。
彼女は病院前に出ると、ほぼ同時に車が現れ、彼女の前に停車しそれに乗り込む。
「あともう一人は?ちゅーかこの仕事ワシ必要やったか?」
後部座席に乗り込んだ彼女は運転席に座っている女性に話しかける。
「貴女は仕事を与えておく位が丁度良いのよ」
運転手の女性はそう答えるとチラッとバックミラーをみる、そこには不服そうに座る赤スーツの女性が反射していた。
「ホンマ、やな仕事やな」
彼女は不機嫌そうにそう言い放つ。
二人を乗せた車は夜の街を駆け抜けていく。
キビは病院に来ていた。
「メンハギは現在検査中ですが、その……かなり変わった様子と言いますか」
案内してくれている警察官はハッキリとしない口ぶりで話す。
メンハギがいる病室は外に監視役のアンドロイドが立っていた。
「あら、刑事さん、いらっしゃい」
入って来たキビを見てどこか嬉しそうなメンハギ。
案内してくれた警察官の言う通り彼女は変わっていた。昨日までの美しい肌を持った女性から一変。指で触れれば弾かれそうな肌、それがシワだらけになっていた。
「随分と様変わりしたな」
「これが本来の私よ」
そう言って穏やかに微笑むメンハギ。
「タナカ・ミキ、元大手美容品メーカーで社長秘書だったんだってな。年齢は45間違えないな」
「そんな検査結果が出たら分かるような事を今確認したいの?そんな事より何かお話があるんでしょ?人とこうやって話すのは久しぶりだわ」
微笑みながらメンハギはそう言った。
「久しぶりに帰ってきた孫か私は」
キビはそう言って彼女がいるベットの側に立つ。
「あの場所で何の研究をしていた?」
「刑事さん……私ね、最近物忘れが激しいの。だからいつも自分が使う物は同じ場所に戻すの、そうすればどこにあるか探す必要が無いからね」
全くとぼけた話をしだすメンハギ、キビは彼女の胸倉を掴んだ。
「物忘れだと?じゃあテメェが殺したこの子の顔も忘れたかッ!!」
ひとつの写真をみせる。
「テメェに顔を剥がれた彼女は絶望し、自ら命を絶った!まだ16歳、親もいた、友人も、どれだけの人が苦しんだと思ってんだ!」
写真に目線を向けることなくメンハギは真っすぐとキビを見つめる。
「貴女の瞳にみえる炎はそれね。憎しみ?それとも後悔?でもどうして?貴女は何も悪くないのに」
一切悪びれる様子のない彼女に更に怒りを募らせるキビ。
「どうしたの?もしかして私の口から懺悔の音でも出して欲しいの?」
「なんだと?」
息を荒くし青筋を顔に浮ばせるキビ、今にも殴りかかりそうだ。
「でもそれで彼女は生き返るの?ご家族は納得するの?傷は癒えるの?」
メンハギのこの言葉でキビは黙ってしまう。
「よく世間様は罪人に懺悔の言葉や反省の言葉を求める、けどそれになんの意味があるの?私なら自分の子を殺した者なんて、何があっても許す事なんて出来ないという確信があるわ。どんな懺悔の言葉も耳には届かないでしょうね」
彼女の目は真っすぐ、キビに向けられていた。
「懺悔なんて誰かの為にするものじゃない、どこまで行っても自分に向けた行動よ。そこに他人が救われる要素なんて無いわ。良くて自己満足よ」
目元を震わせながら彼女は話す。
「刑事さん、私みたいな、私欲で人を不幸にする醜い罪はね……『後悔してる』や、『懺悔する』なんて甘えた言葉使っちゃいけないの。その言葉はただ自分自身を慰めるだけの言葉に過ぎないから。ただ黙って生きて自分が犯した事の重みを背負い続けるしかないの。罪という沼に完全に沈み、泥が体に入り一呼吸も出来ない程に溺れ苦しむ、死ぬまでね。それが私達に課せられた罰」
そう告げた彼女は小さく微笑む、到底心から笑った顔ではない、誰が観ても分かる程無理をした笑顔。
「私を死ぬまで痛めつけようが、どれだけ酷い言葉を投げつけられても良いわ、それが自然だもの。でもお願い、貴女は自分を責めないで、それは不自然極まりない事だから」
「クソっ……調子狂うな。お前がゲスだったらここでボコボコにしてやれたのに」
そう言ってキビは掴んだ手を放す。
「刑事さん……私がやっていたのは、美の研究よ」
先ほどのキビの質問に答えるメンハギ。
微笑んでいた彼女だがこの答えをする時、顔から微笑みが消えた。
「美?具体的にはなんだ?」
「人類にとって夢の薬、不老の薬よ」
メンハギはそう静かに答えた。
「不老ねぇ……」
ベッドの上に座っているメンハギは窓の外を眺めている。
ため息をつくキビ。
「あらあら、ため息なんかついちゃって。幸せが逃げちゃうわよ」
メンハギはフフフと笑う。
「年寄り臭い事言うんじゃねぇよ、ため息は大事な息抜きだ」
そう返し、ベッド横の椅子に座るキビ。
「お前の部下については調べが付いた。傭兵か、よく見つけたもんだ。腕は大したこと無かったがな」
「あら、傭兵さんだったの。それは随分怖い人達とお仕事してたのね」
他人事のように返すメンハギ。
「あの坊や、あなたの息子?それとも彼氏?」
「まあ息子みたいなもんだ、変わった奴だったろ?」
今度はメンハギがキビに話しかけた。
「私が前にあった人よりもずっと良い子よ。刑事さんの自慢の息子ね」
微笑みながらメンハギはそう言う。
「ああ、そうだな」
そう言うと席を立つキビ。
「今度はユキチカ達も連れてくる、あいつらならお前の頭の中読み取る変な機械とか持ってそうだしな。それでとことん尋問してやるから、覚悟しておけよ」
部屋を出る前にそう言い残し、キビは出て行く。
「そう……それはとっても楽しみだわ、お茶菓子は何がいいかしら」
部屋に残されたメンハギはそう呟く。
それから数刻後、何ものかの足音が廊下に響く。
「へぇ~犯罪者っちゅーても、こんなええ部屋で寝させて貰えるんか」
真っ赤なスーツを着た女性が部屋に入ってくる。
「あら、今日はお客様が多いのね」
メンハギはその女性に目線を向けた。
「どぉも、ミヅキ社長」
「どうして……その名前を」
その発言を聞いてハッと目を見開くメンハギ、いやミヅキだった。
「勿論知っとんでぇ。アンタの事は色々と」
「そんな貴女は一体誰?誰が貴女をここまで導いたのかしら」
冷静な物言いで質問するミキ。
「お!なんやさっきはあんな面食らった顔してたのに、もう冷静になったんか!流石大企業引っ張ってたやり手の女社長さんは違うわぁ~」
飄々とした感じで話す赤スーツの女性、見た所他に誰も入ってくる気配がない、一人で来たのだろうか。
「ヒントやろうか?あんたが必死こいて作ってたもんや」
「そう……そう言う事なのね」
理解したように下を見て呟くミヅキ。
「にしても月っておもろいよなぁ。ここから見るとあんなに綺麗なのに、近くで見るとボッコボコなんやってなぁ。特に裏側何て酷いもんや」
スーツの女性はそう言って窓から月を見上げた。
「自分の美しさの為に部下を殺し、顔を変え、若いもんの顔を剥いでしまうなんて。アンタの裏側もひっどいもんやのぉ」
「フフフ、そうね酷い物よね。あんな酷い話に飛びついてしまった頃から全てが狂ってしまった。本当、自分が憎いわ」
ミヅキは小さく笑った。
「まぁ、そう落ち込みなさんな」
「良いスーツね。どうしたのこれからパーティに行くの?なら戻らないと」
上下赤のスーツを見てミヅキが言う。
「ハハハ!ええのう、パーティやお祭りは大好きや」
相手は笑って手を叩く。
「でも今日はあんたの【お別れ会】や」
「ごめんなさい、刑事さん。もう次はなかったみたい」
そう言ってベッドにミヅキは静かにベッドに横たわった。
「流石の腕前やなー。今になって血ぃ出てきたで」
ベッドで横たわっているミヅキを見て話す赤スーツの女性。
彼女は病院前に出ると、ほぼ同時に車が現れ、彼女の前に停車しそれに乗り込む。
「あともう一人は?ちゅーかこの仕事ワシ必要やったか?」
後部座席に乗り込んだ彼女は運転席に座っている女性に話しかける。
「貴女は仕事を与えておく位が丁度良いのよ」
運転手の女性はそう答えるとチラッとバックミラーをみる、そこには不服そうに座る赤スーツの女性が反射していた。
「ホンマ、やな仕事やな」
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