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番外編
カリーナ夫人とシャロン叔母さま 11
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「っ、………君は………、」
「アイーシャの母と交友がありました、カリーナと申します。以後、お見知り置きを」
「フェアリーン王国王太子サイラスだ」
「存じております」
カリーナの威風堂々としたたおやかな笑みに、アイーシャは引き攣った笑みを浮かべてしまった。王太子相手にあそこまで堂々としているというのは、普通の人間では無理だろう。アイーシャはついつい恐れ慄いてしまう。
「………アイーシャは私のものだ。他のものにやるつもりはない。たとえ、それによって、アイーシャの選択肢を狭めることになっても、だ」
「あらあら聞きまして?カリーナ夫人。男を磨くのではなくって、男を遠ざけるというのを選択するのですって。そんなに自分自身に自信がないのかしら?情けないとは思いませんこと?」
相変わらず扇子を開いて楽しげに声を弾ませているシャロンは、嘆くようにカリーナに問いかけた。声音と会話の内容が噛み合っていない。
「えぇえぇ、男ならば、堂々と構えておくべきですわ。人望のあるお方ならば、好いた女性も側に居てくれるでしょうに」
カリーナもくすくすと笑っている。
アイーシャは頭痛がする惨状に、ドレスの裾をぎゅっと握り締めた。すると、サイラスがアイーシャの手の上に己の手を乗せた。大きな、ペンだこと剣だこのある手に包まれて、アイーシャは幸せな気分になる。
「アイーシャ以外なら、そうするかもしれない。けれど、アイーシャだけはダメなんだ。私は、アイーシャなしでは生きていけない」
真っ直ぐとしたサイラスの言葉に、女性3人は少し驚いた後に、顔を赤く染めた。
(サイラスさま、素敵すぎる………)
****************************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
「アイーシャの母と交友がありました、カリーナと申します。以後、お見知り置きを」
「フェアリーン王国王太子サイラスだ」
「存じております」
カリーナの威風堂々としたたおやかな笑みに、アイーシャは引き攣った笑みを浮かべてしまった。王太子相手にあそこまで堂々としているというのは、普通の人間では無理だろう。アイーシャはついつい恐れ慄いてしまう。
「………アイーシャは私のものだ。他のものにやるつもりはない。たとえ、それによって、アイーシャの選択肢を狭めることになっても、だ」
「あらあら聞きまして?カリーナ夫人。男を磨くのではなくって、男を遠ざけるというのを選択するのですって。そんなに自分自身に自信がないのかしら?情けないとは思いませんこと?」
相変わらず扇子を開いて楽しげに声を弾ませているシャロンは、嘆くようにカリーナに問いかけた。声音と会話の内容が噛み合っていない。
「えぇえぇ、男ならば、堂々と構えておくべきですわ。人望のあるお方ならば、好いた女性も側に居てくれるでしょうに」
カリーナもくすくすと笑っている。
アイーシャは頭痛がする惨状に、ドレスの裾をぎゅっと握り締めた。すると、サイラスがアイーシャの手の上に己の手を乗せた。大きな、ペンだこと剣だこのある手に包まれて、アイーシャは幸せな気分になる。
「アイーシャ以外なら、そうするかもしれない。けれど、アイーシャだけはダメなんだ。私は、アイーシャなしでは生きていけない」
真っ直ぐとしたサイラスの言葉に、女性3人は少し驚いた後に、顔を赤く染めた。
(サイラスさま、素敵すぎる………)
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