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44 サイラスの精霊

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「いいや、気にすることはない。それにしても君、この国の貴族じゃないよね?どこの誰?」
「………この度イスペリト家に養子で入ったアイーシャ・イスペリトと申します。あなたさまは………?」

 イスペリトという言葉にピクリと反応した青年は、すぅっと目を細めた。

「ん?あぁ、サイラスだ」
「サイラスさま、ですか?」
「あぁ、」

 アイーシャはこてんと首を傾げてサイラスの名前を読んだ。サイラスはうぐっという声を漏らして頬を赤く染めた。
 アイーシャはそんな彼の様子にますます首を傾げながらも、彼の肩に座っているエステルと同じ黄金の輝きを持つ精霊に視線を向けた。アイーシャは比較的沢山の精霊を見たことがあると自負しているが、エステルやライト以外の光の精霊を見るのはこれが初めてだった。
 アイーシャのじーっとした視線に気がついた男の子の光の精霊は、サイラスの首をちょいちょいと叩いた。

「ん?………紹介しろと言いたいのか?」

 サイラスの不思議そうな質問に、小さな精霊はこくんと頷いた。

「イスペリト公爵令嬢、君は精霊眼持ちかい?」

 アイーシャは少しゆっくりな仕草で頷いた。アイーシャにはこれが明かしていいことなのかよくないことなのか判断がつかなかったが、少なくとも彼には明かす方が正解なのではないかと思ったのだ。というか、明らかに気付かれている状況で嘘をつく方が不適切であると判断したのだ。

「これは私の契約精霊のサンだ」
「《光の高位精霊のサンだよ?よろしゅうな》」

 訛った言葉を話すサンは穏やかに可愛いらしく微笑んだ。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊


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