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幼馴染の今
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「それで?今みんなどうなってるの?」
アインスお兄様の塔に向かう森の中、ケイは私に尋ねて来ました。やはり、幼馴染の今というのは気になるものなのでしょう。
「クロエーラはアルお兄様と婚約して、成人を迎える来年結婚式を挙げる予定です。本当はもっと早く結婚する予定だったのですが、お義母様が成人するまでは自由にさせてあげたほうがいいとおっしゃったので遅くなったのです」
「へぇ~、アルお兄ちゃん、クロエを無事落とせたんだっ!!」
「えぇ。やっとですけれど」
すまし顔を作って見せますが、実は私、結構嬉しいのです。だって、大事な大事な幼馴染がお兄様のお嫁さん、つまりお義姉様になるのですよ?わくわくしないわけがありません。
「アスィミは勇者様との結婚が決まって、来月式を上げる予定です」
「おぉ!僕もしかしなくともジャストタイミングでの帰国だった?」
「えぇ、ジャストタイミングです」
アスィミは10年近くかけてやっとのことで落とした勇者デイルに、デレッデレに甘えています。見ているこっちがお砂糖を吐きそうなレベルです。
「まあ、ルディーはその関係で武者修行の旅に出かけたのですけれどね」
「あぁ………。じゃあ、ルディー来ないの?」
「いいえ、来ますよ。だって彼、アスィミの双子のお姉様のフリソスと婚約していますもの」
「!?」
そう。これ、とっても衝撃事実ですよね。
なんとなんと、ルディーことルドルフはなんの因果か魔人族の女王であるフリソスに一目惚れされて、あっという間に婚約してしまったんです。ほんわか天然系のアスィミに元々惚れ込んでいたルドルフですが、今はきっちり過激系のフリソスのお尻に敷かれています。容姿は瞳以外一緒ですから、ルドルフも惚れるのが早かったのですよね。それに、フリソスが振られてどんよりしていたルドルフの心の傷に漬け込んだというのもあるのかもしれませんけれど。
「なんか、情報過多だね」
「何年も経っているのですから、当たり前ですよ」
時間の経過を感じる事柄に浸っているのか、ふわふわと尻尾が揺れているケイに優しい瞳を向けながら、私は昨日今日であっという間に柔らかくなってきた顔で無表情に近い微笑みを浮かべました。
*************************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
アインスお兄様の塔に向かう森の中、ケイは私に尋ねて来ました。やはり、幼馴染の今というのは気になるものなのでしょう。
「クロエーラはアルお兄様と婚約して、成人を迎える来年結婚式を挙げる予定です。本当はもっと早く結婚する予定だったのですが、お義母様が成人するまでは自由にさせてあげたほうがいいとおっしゃったので遅くなったのです」
「へぇ~、アルお兄ちゃん、クロエを無事落とせたんだっ!!」
「えぇ。やっとですけれど」
すまし顔を作って見せますが、実は私、結構嬉しいのです。だって、大事な大事な幼馴染がお兄様のお嫁さん、つまりお義姉様になるのですよ?わくわくしないわけがありません。
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「おぉ!僕もしかしなくともジャストタイミングでの帰国だった?」
「えぇ、ジャストタイミングです」
アスィミは10年近くかけてやっとのことで落とした勇者デイルに、デレッデレに甘えています。見ているこっちがお砂糖を吐きそうなレベルです。
「まあ、ルディーはその関係で武者修行の旅に出かけたのですけれどね」
「あぁ………。じゃあ、ルディー来ないの?」
「いいえ、来ますよ。だって彼、アスィミの双子のお姉様のフリソスと婚約していますもの」
「!?」
そう。これ、とっても衝撃事実ですよね。
なんとなんと、ルディーことルドルフはなんの因果か魔人族の女王であるフリソスに一目惚れされて、あっという間に婚約してしまったんです。ほんわか天然系のアスィミに元々惚れ込んでいたルドルフですが、今はきっちり過激系のフリソスのお尻に敷かれています。容姿は瞳以外一緒ですから、ルドルフも惚れるのが早かったのですよね。それに、フリソスが振られてどんよりしていたルドルフの心の傷に漬け込んだというのもあるのかもしれませんけれど。
「なんか、情報過多だね」
「何年も経っているのですから、当たり前ですよ」
時間の経過を感じる事柄に浸っているのか、ふわふわと尻尾が揺れているケイに優しい瞳を向けながら、私は昨日今日であっという間に柔らかくなってきた顔で無表情に近い微笑みを浮かべました。
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