もふもふ好きのお姫様

獣人族の特徴

「獣人族の特徴、それは“番ツガイ”という“運命の人”があらかじめ決まっているということだ。」

「ツガイ………、」

　最近よく耳にするよく分からない言葉です。確か、虎猫獣人族の国でも聞きましたね。獣人族にとってはとても重大なことなのは伝わってきていたのですが、やっぱりいまいち意味がわかりません。『運命の人』それがどういう運命を指すのかを知らないことには、この言葉の意味がよくわかりそうにありません。

「“運命の人”というのはどういう定義でなされるのですか？」

「………簡単に言えば、本能の夫婦だな。男の獣人は自分の番ツガイの女が愛おしくてたまらなくなって、女の獣人も自分の番ツガイの男が恋しくて仕方がなるらしい。」

「つまり、本能的に求め合うという関係であるということですか？」

「明け透けに言えばそうなるな。」

　こくんと頷いたアインスお兄様に、私はじっと考え込みます。
　つまり、獣人族にとって番というのは本能の愛する人であり、恋する人。会いたくてたまらない人ということでしょう。人間族には分からない感覚ですね。

「それでもって、君はケイの番ツガイだ。」

「はい？」

　今、私が素っ頓狂な悲鳴をあげてしまったのは当然のことかと存じます。だって番ツガイという人間族にはないけれど、とってもロマンチックに聞こえる言葉を教えられて、そしてその次の瞬間には、私の愛おしいと思う人が、彼にとって、私は彼の番ツガイであると言われたのですから。

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