もふもふ好きのお姫様

話して欲しい

「あぁ、違うよ。僕は公私混同はしない主義だからね。私的な場では、自由に過ごしている。だからこそ問おう。君は、君の今の姿は王女として正しい姿かな？」

　ぐっと息を飲み込んだ私は、魔法をすっと消して恨めしい視線をアインスお兄様に向けました。私はなかなか切り替えを上手にすることができません。だからこそ、常に、王女の姿であろうとしています。常に、王女として恥ずかしくない気概を持つようにしています。ここ数年は、王城と王城のお外、つまり下町で切り替えをするくらいならば上手にできるようになりましたが、普段はそんなに上手に切り替えることができないのです。

「………正しい姿とは言えません。ですが、切り替えぐらいはちゃんとできます。ですから、1人の少女として尋ねます。ケイの現状について教えてください。」

　切実な願いを込めた声に、アインスお兄様は優しく笑ってから頷きます。頭を優しくぽんぽんと撫でてくだされば、私のささくれだった心にふんわりとお水がかけられていくかのように、サラサラとした気分へと早変わり。私は少しだけ落ち着きを取り戻しました。

「シャルは獣人族の特徴を知っているかい？」

「はい、お耳や尻尾、肌や五感などに獣の能力が現れるというところが特徴です。」

「あぁ、そうだね。」

　良い子良い子ともう1度頭を撫でられてふにゃりと笑った私に、アインスお兄様は続きをお話なさいます。

「獣人族にはもう1つ、大きな特徴があるんだ。」

　厳かに話し始めたアインスお兄様の少しだけ低くなった声に耳を傾けながら、私は表情を引き締めました。

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