443 / 506
王女と第2王子の兄妹喧嘩
しおりを挟む
加護の力を最大限に発揮し、これまで相性が良すぎて周囲に怪我をさせてしまうという理由であまり使ってこなかった炎の魔法を、私は狭い馬車の中で最高温に熱せられたの人魂のような形で顕現させます。
ぶわっと炎が熱を放出し、馬車の中が信じられないほどの熱風に包まれ、アインスお兄様が一瞬苦しげな呻き声を上げました。
「ーーー最終警告です。真実を話しなさい。さもなくば、燃やします。」
いやいやと首を振って離さないという意思表示をするアインスお兄様の様子に、私の怒りゲージはマックスを超えていきます。
「………アインお兄様。ご自分の墓場をお決めになりまして?」
「………はあー、」
私の脅しに溜め息をついて面倒臭そうな表情をしたアインスお兄様は、前髪をかき上げると私にむけていた目をすっと細めました。
「ーーー少なくとも、僕は君に真実を知る覚悟があるようには思えないね。だから話せないと言っているんだ。」
「………何を戯けたことを。」
「………そういう態度だよ。君は常に王女であろうとする。王女でなくてはならないと自分に言い聞かせている。」
それの何が悪いというのでしょうか。王家に生まれた人間ならば、そういう思考を持って行動するというのは当然のことですし、そういう心構えを持つことこそが大切なのです。
だからこそ、私はアインスお兄様に鋭い視線を向けます。
「………私は王女です。公人として振る舞うことこそが、求められている姿です。ルグニカ王国第2皇子、アインスお兄様は違うのですか?」
私の質問に、アインスお兄様の視線の鋭さは増していきました。
********************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
ぶわっと炎が熱を放出し、馬車の中が信じられないほどの熱風に包まれ、アインスお兄様が一瞬苦しげな呻き声を上げました。
「ーーー最終警告です。真実を話しなさい。さもなくば、燃やします。」
いやいやと首を振って離さないという意思表示をするアインスお兄様の様子に、私の怒りゲージはマックスを超えていきます。
「………アインお兄様。ご自分の墓場をお決めになりまして?」
「………はあー、」
私の脅しに溜め息をついて面倒臭そうな表情をしたアインスお兄様は、前髪をかき上げると私にむけていた目をすっと細めました。
「ーーー少なくとも、僕は君に真実を知る覚悟があるようには思えないね。だから話せないと言っているんだ。」
「………何を戯けたことを。」
「………そういう態度だよ。君は常に王女であろうとする。王女でなくてはならないと自分に言い聞かせている。」
それの何が悪いというのでしょうか。王家に生まれた人間ならば、そういう思考を持って行動するというのは当然のことですし、そういう心構えを持つことこそが大切なのです。
だからこそ、私はアインスお兄様に鋭い視線を向けます。
「………私は王女です。公人として振る舞うことこそが、求められている姿です。ルグニカ王国第2皇子、アインスお兄様は違うのですか?」
私の質問に、アインスお兄様の視線の鋭さは増していきました。
********************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
0
お気に入りに追加
163
あなたにおすすめの小説
「帰ったら、結婚しよう」と言った幼馴染みの勇者は、私ではなく王女と結婚するようです
しーしび
恋愛
「結婚しよう」
アリーチェにそう約束したアリーチェの幼馴染みで勇者のルッツ。
しかし、彼は旅の途中、激しい戦闘の中でアリーチェの記憶を失ってしまう。
それでも、アリーチェはルッツに会いたくて魔王討伐を果たした彼の帰還を祝う席に忍び込むも、そこでは彼と王女の婚約が発表されていた・・・
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
女嫌いな辺境伯と歴史狂いの子爵令嬢の、どうしようもなくマイペースな婚姻
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「友好と借金の形に、辺境伯家に嫁いでくれ」
行き遅れの私・マリーリーフに、突然婚約話が持ち上がった。
相手は女嫌いに社交嫌いな若き辺境伯。子爵令嬢の私にはまたとない好条件ではあるけど、相手の人柄が心配……と普通は思うでしょう。
でも私はそんな事より、嫁げば他に時間を取られて大好きな歴史研究に没頭できない事の方が問題!
それでも互いの領地の友好と借金の形として仕方がなく嫁いだ先で、「家の事には何も手出し・口出しするな」と言われて……。
え、「何もしなくていい」?!
じゃあ私、今まで通り、歴史研究してていいの?!
こうして始まる結婚(ただの同居)生活が、普通なわけはなく……?
どうやらプライベートな時間はずっと剣を振っていたい旦那様と、ずっと歴史に浸っていたい私。
二人が歩み寄る日は、来るのか。
得意分野が文と武でかけ離れている二人だけど、マイペース過ぎるところは、どこか似ている?
意外とお似合いなのかもしれません。笑
彼女が望むなら
mios
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の婚約は円満に解消された。揉めるかと思っていた男爵令嬢リリスは、拍子抜けした。男爵令嬢という身分でも、王妃になれるなんて、予定とは違うが高位貴族は皆好意的だし、王太子殿下の元婚約者も応援してくれている。
リリスは王太子妃教育を受ける為、王妃と会い、そこで常に身につけるようにと、ある首飾りを渡される。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる