もふもふ好きのお姫様

王女は隠そうとする

　何故か嘘と言って欲しくて仕方がない私は、すがるような視線をお父様に向け、問いただします。

「お父様、これは一体どういうことですの？」

　望洋とした声音でつぶやかれた声に、お父様は困ったように笑って私に対して望むこととは反対のことを言います。

「彼が今のところ、君の筆頭婚約者候補だ。今日紹介しようと思っていたんだが、城の外に出ていたようだったのでな。昨日の夜伝えておくべきだった。」

「………………。」

　くちびるを噛み締め、叫び出しそうになるのを耐えた私は、次にきたお父様の質問にぎゅっと拳を握り込みました。それは、私の今この場で1番聞いて欲しくない言葉です。

「それにしても、ケイはどこにいるんだい？」

　できるだけ表情を動かさないように、お父様に現状を報告します。ですが、私の表情の違和感に気がついたお父様は私の違和感に気がついたのでしょう。だからこそ、私は必死になって弁明します。

「っ、………私が粗相をしてしまい、それに動転しておいて帰ってしまいました。後ほど、使いを出すつもりです。」

「そうか………。タリー殿、わしの従者に客室を案内させる。長旅で疲れているだろうから、しっかりと休んでくれ。この城は我が家だと思ってもらって構わない。人も好きに使ってくれ。」

「はい、ありがとうございます。では、シャルロッテ嬢。」

「………えぇ、ご機嫌よう。」

　タリー殿下の退出後、私の方にみんなの視線が集まります。

「さて、シャル。君は何をやらかしたんだい？」

　アインスお兄様の声に、私は震え上がりました。

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