もふもふ好きのお姫様

乙女たちの恋愛事情

「うぐっ、いくらんでもそれはケイが可哀想よ。」

「そうだね。アスィミもそう思う。ロッテっていっつも思うけれど、自分に関する恋愛方面にめっぽう弱いよね。他人のことにはとーっても敏感なのに。」

　クロエーラの悲痛な声に、何故かアスィミが我が知り顔でうんうんと頷きます。私のことについてのはずですのに、どこか遠くの世界のことのように感じてしまいます。他人事とはこういうことを言うのでしょう。私は優しい笑顔を浮かべているケイの方を横目で見つめました。あぁ、やっぱり綺麗な子です。非の打ち所がありません。世界の綺麗な部分だけを切りとってくっつけたかのようなケイは、本当に世界の宝です。

「………それはアスィミもだと思う。」

　クロエーラのぽつりとした呟きに、私は思考の渦の中にあった意識を浮上させました。

「ふぇ？」

「そうね。私についてはよく分からないけれど、アスィミは自分の恋愛についてはものすっごく弱いと思うわよ。」

　クロエーラに同調すると、アスィミの顔が思案げに動いて可愛らしいです。これでいて、本人は表情が変わっていることに気がついていないのですから、なおのこと面白いです。

「ねー。」

「むうぅーっ、クロエだってアルノルト様のお誘いを断っているくせに！！」

「あ、あれは、不可抗力よ！！」

　悔し紛れのアスィミの反論も、いきなり自分のお話を出されて顔を真っ赤にして恥ずかしがってしまっているクロエーラも、本当にもう、どうしてっていうくらいにとっても、とーっても愛らしいのです。やっぱり、持つべきは愛らしい友人ですよね。

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