317 / 506
第1王子は問われる
しおりを挟む
「で?シャル、君は誰に外への出方を尋ねたんだい?」
お父様との問答が終わったと判断したアインスお兄様が満面の腹黒な笑みを浮かべて私に話しかけてきます。それにしても、アインスお兄様はやっぱり意地悪です。分かっていることをわざわざ尋ねてきますし、笑顔の裏がありありと分かるなんて器用すぎます。
「さあ?取引上お教えできません。」
「だ、そうだが?アル兄上。」
「ひっ、」
弟に悲鳴をあげる兄とはなんとも情けのないことです。正々堂々『俺がやった!!』と言えば、話はまあるく収まりますのに。ま、それも酷ですよね。
「アルお兄様は関係ありません。言いましたでしょう?あくまで私が街のことについて知ったのは取引の一環であると。」
「それでもだよ。」
アインスお兄様は優しい表情で肩をすくめますが、目の奥が笑っていません。相当お怒りのようですね。常日頃から紳士で微笑みを浮かべている方ほど怒らせてはいけないというのは、あながち間違いな考え方ではないのかもしれません。
「アルお兄様、何かおしゃべりするようであれば、氷付けにします。お話しは以上です。クロエーラ嬢とルドルフ様、あと、アスィミ嬢にお手紙を書いてきます。………ケイ、ケイの文章も添えていただけますか?」
「分かっちゃ!!」
「それではお父様、また後ほど。」
私はにこっと笑ってからカーテシーをし、アインスお兄様にあっかんべーをしてからお部屋に戻りました。今日の私は、なんだか怖いもの知らずな気分なようです。………明日の報復なんて気にしません、気にしません。
ぶるっと身体が震えてしまったのは気のせいです。
「だいじょーぶ?」
「えぇ、大丈夫ですよ。」
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
お父様との問答が終わったと判断したアインスお兄様が満面の腹黒な笑みを浮かべて私に話しかけてきます。それにしても、アインスお兄様はやっぱり意地悪です。分かっていることをわざわざ尋ねてきますし、笑顔の裏がありありと分かるなんて器用すぎます。
「さあ?取引上お教えできません。」
「だ、そうだが?アル兄上。」
「ひっ、」
弟に悲鳴をあげる兄とはなんとも情けのないことです。正々堂々『俺がやった!!』と言えば、話はまあるく収まりますのに。ま、それも酷ですよね。
「アルお兄様は関係ありません。言いましたでしょう?あくまで私が街のことについて知ったのは取引の一環であると。」
「それでもだよ。」
アインスお兄様は優しい表情で肩をすくめますが、目の奥が笑っていません。相当お怒りのようですね。常日頃から紳士で微笑みを浮かべている方ほど怒らせてはいけないというのは、あながち間違いな考え方ではないのかもしれません。
「アルお兄様、何かおしゃべりするようであれば、氷付けにします。お話しは以上です。クロエーラ嬢とルドルフ様、あと、アスィミ嬢にお手紙を書いてきます。………ケイ、ケイの文章も添えていただけますか?」
「分かっちゃ!!」
「それではお父様、また後ほど。」
私はにこっと笑ってからカーテシーをし、アインスお兄様にあっかんべーをしてからお部屋に戻りました。今日の私は、なんだか怖いもの知らずな気分なようです。………明日の報復なんて気にしません、気にしません。
ぶるっと身体が震えてしまったのは気のせいです。
「だいじょーぶ?」
「えぇ、大丈夫ですよ。」
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
0
お気に入りに追加
163
あなたにおすすめの小説
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
女嫌いな辺境伯と歴史狂いの子爵令嬢の、どうしようもなくマイペースな婚姻
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「友好と借金の形に、辺境伯家に嫁いでくれ」
行き遅れの私・マリーリーフに、突然婚約話が持ち上がった。
相手は女嫌いに社交嫌いな若き辺境伯。子爵令嬢の私にはまたとない好条件ではあるけど、相手の人柄が心配……と普通は思うでしょう。
でも私はそんな事より、嫁げば他に時間を取られて大好きな歴史研究に没頭できない事の方が問題!
それでも互いの領地の友好と借金の形として仕方がなく嫁いだ先で、「家の事には何も手出し・口出しするな」と言われて……。
え、「何もしなくていい」?!
じゃあ私、今まで通り、歴史研究してていいの?!
こうして始まる結婚(ただの同居)生活が、普通なわけはなく……?
どうやらプライベートな時間はずっと剣を振っていたい旦那様と、ずっと歴史に浸っていたい私。
二人が歩み寄る日は、来るのか。
得意分野が文と武でかけ離れている二人だけど、マイペース過ぎるところは、どこか似ている?
意外とお似合いなのかもしれません。笑
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる