もふもふ好きのお姫様

いざ街へ

私が魔道具を使用し終えてケイに視線を向けると、ケイの頭から耳が消えていました。耳が消えてもケイはとっておきの美男子です。いえ、美少年と言うべきですね。

「しゃるのおめめおしょりゃのいりょ～。」

空を指差してくるくるとステップを踏んだケイは、とっても可愛いです。

「えぇ、お空の色です。………これから私の名前はロッテ。あなたは私の弟でケイトです。分かりましたか？」

「！！　わ、わかっちゃ、しゃる、じゃなくて、ろっちぇにぇーちゃま。」

うぅっ、ろっちぇねーちゃま………最高です。なんて甘美な響きなのでしょうか！！
それにしても、ケイはケイトと呼ばれたときどうしてあんなにも大きく反応したのでしょうか。

「えぇ、行きましょう。ケイト。遊ぶ時間が減ってしまうわ。」

「『うん』」

「うん、よ。」

「あ………。」

どうしてか故郷の言葉を懐かしそうに口にしたケイに、私は苦笑しました。本当に、今日のケイはなんだかとっても変です。………ま、大方初めての街歩きに浮ついているのでしょう。私もそうですし。偽名を使って尚且つ容姿を変え、口調も変えれば、私が王女だとは気づかれにくくなるはずですよね。
万が一に備えてフードは被っておくべきですかね。

「じゃあ、いざ街へ出発よ。ケイト。お姉さま、ちゃんと迷わないように気をつけるからね。」

そう言って私は、ケイの手をとって歩き始めました。
履き慣れない靴ですが、そこそこ歩きやすいです。平民の靴とは、機動性安全性重視でいいものですね。

さて、何事もなく平和ならば良いのですが………。

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