もふもふ好きのお姫様

第１王子には休むという概念がない

「アル兄上何をなさっているのですか？」「アルお兄様何をなさっているのですか？」

室内に入った瞬間に聞こえた命を刈り取るような風切り音に、私とアインスお兄様は引き攣った笑みを浮かべて同時に質問しました。傍目から見ていたらこれぞ兄妹！！といった光景でしょう。

「え？見ればわかるだろ？鍛錬だよ鍛錬。た、ん、れ、ん。」

そう、アルノルトお兄様は剣、………ではなく、部屋にあったただの棒を振り回していました。アルノルトお兄様が振り回しているだけでただの棒が剣のような命を刈り取る恐ろしい武器に見えるのですから、本当に恐ろしいものですよね。

「で？俺はもうここから出ていいのか？」

「あー、うん。休暇を楽しみたいようなら、あと1週間は籠もっててもいいよとも伝えようかと思っていたけれど、………その必要はなさそうだね。」

「あぁ！今日は朝練ができなかったから身体が鈍って仕方がないんだ。できれば外で思う存分走り込みがしたい！！あぁでも、模擬戦もいいかもな！！どっちも捨てがたい………！！」

凶器に見えるただの棒を振るのをやめたアルノルトお兄様は、グッと手を握りました。アルノルトお兄様には本当に休憩という概念が存在していないようです。このまま国王になってしまわれては、いずれ身体が限界を超えて過労死してしまいそうです。というか、アルノルトお兄様に限界って存在しているのですかね？アルノルトお兄様が疲れているところなんて、私見たことがありません。

「あ、そういえばメイソン連れてくるのを忘れてましたね。」

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