もふもふ好きのお姫様

桐生桜月姫

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春一番

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ふわりと温かくて優しい風が舞い、その後、氷がはらはらと花々が散るかのようにキラキラと霧散していきました。
“氷華” に作用するように細かく細かく計算して練り上げた、私の小さな思いつきで作り出された新しい魔法は、雪解けを誘う春の訪れを告げる、春一番のように周囲に陽気を感じさせ、優しく包み込みました。そして、その優しい温かみは“氷華”にも影響を及ぼし、華のように美しい氷をも優しく包み込み、無に返していきました。

「……ーーー“はるいちばん”ーーー……。」

ネーミングセンスの皆無な、感じたことをそのままつけた新しい私だけの魔法は、その名にぴったりな“春一番”と名付けられました。

「……ん……。」

アインスお兄様の無防備な声が室内に響きました。

「お、アインスも目が覚めたみたいだな。」

アルノルトお兄様の興味がなさげで軽薄な声音が響きます。
分かりきっていたことに興味を示さないアルノルトお兄様らしい反応です。

「「お飲み物を用意してまいります。」」

(……れむにはいれしゃせないでくださいね。)

レナは私にじっと見られて僅かに視線を逸らしました。
うぅ、もうレムのお茶はもう絶対に飲みたくありません……。
1回目は我慢できても、2回目は死にます。死んでしまいます。

「できれば暖かいものがいい、任せられるか?」

レムについてなにも知らないアルノルトお兄様が、事もなげに愛想笑いをヘラヘラと浮かべて双子に向かって頼みます。

(……あぁ……、おわりました……。)

この時の私は後のレナ曰く、世界の終わりのような、そんな絶望しきった表情を浮かべていたそうです。

「「はい。」」

無情にも、双子は私を無視して去っていきました。

*******************

読んでいただきありがとうございます♪♪♪

次の更新は午後3時です。


新作、「冷酷無慈悲なお兄さまに認められたい」を始めました。

作品紹介としては

わたしの名前はレティシア• マイグレックヒェン。
公爵令嬢にして冷酷無慈悲な公爵家当主兼兄の妹。
8歳にして初めてお会いしたとても冷たいお兄さまに殺されてしまわないないように、幼馴染にして従僕のジェフリー•ガルシアと共に殺害回避に臨むことにした。
なんとかしてお兄様に利用価値を認められたら殺されないわよね……?
とりあえず、苦手で嫌いなお父さまとお母さまと同じように無残に早死にしないように努力はするわ。
目指せ、老衰!

です。

お時間がある方は是非覗いてみてください!!

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