もふもふ好きのお姫様

憂鬱な道

コツコツコツコツ

私とメイソン様の足音が廊下に響きます。急ぎ足な私の足音が、この場の温度を尚の事下げています。ピリピリした空気も流れていますね。誰の殺気でしょうか？あ、私ですね。だってメイソン様が超怯えてビクビクしていますもの、私に警戒心を向けて……。

「あ、あのっ！？」

あ、舌噛みましたね。痛そうです。それにしても、話しかけてくるのでしたら怯えず、真っ直ぐ話しかけて欲しいものですね。私がいじめているみたいに見えてしまいますから。……あれ？私、無意識のうちにいじめているのでしょうか？そんなことはありませんよね？だって、何も言っていませんもの。いじめというのは弱い立場にある者を精神的に、肉体的に苦しめるものですのも。……あれ？私、彼いじめてません？だってだって、私の殺気に怯えてしまっているんですもの！精神的に苦しめてしまっているんですもの。でもでも、どうしたらいいのでしょう。殺気は自分でコントロールできませんし、怯えの原因は私自身ですし、どうしましょう、どうしましょう。どうやったら…。私、いじめは大嫌いですし、絶対にしたくありませんのに。どうにもできない自分に苛立ちを覚え、悔しさによって目にじんわりと涙の膜が張り出します。

「ごめんなさい。」

気づいたらそう、ぽつりと言葉を漏らしてしまいました。もっと気が利いた言葉をかけてあげたかったですね。言えないことにズーンとしていた私は、メイソンが目を見開いて固まっていた事に気が付きませんでした。

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