もふもふ好きのお姫様

桐生桜月姫

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目覚め

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ふわふわした意識は水面の様に揺れ動く……。

起きないと……。

意識は願いとは反対に全く覚醒してくれない……。

穏やかに揺れる揺り籠の様な感覚に大好きな彼の陽だまりの様な匂い……。

この幸せな空間からどう抜け出せばいいのだろう?


『しゃる…。』


大好きな彼の声…。
答えたいのに答えられない…。
でも、今にも泣き出しそうな彼の声を放って置け無い…。

なら、今私はどうすべき?

ーー彼を安心させるべき…ーー

安心させる為にはどうすべき?

ーー目覚めるべき…ーー

目覚めるにはどうすべき?

ーー…?ーー

「ふふふ…」

あれ?私の声です…?

なぜ?

まぁ、どうでもいいですけど。

それにしてもくすぐったいですね。誰の悪戯でしょう?うっすらと意識が浮上してびっくりした彼の姿を見つけます。

「あ…。けい…。」

第一声がこれとは我ながら情けないですね…。もっと良い言い回しは無かったのでしょうか…。教育係がいたら叱られていますよ…。

「しゃる…?」

あ、信じられないものを見た顔をしています。もう一押しでしょうか?

「ケイ」

ぱぁー!!

効果音付きの輝かんばかりの笑顔が咲き誇ります。

「しゃる!!」

あー、可愛い!天国よりも天国です。

「…おはよう。」

ケイの喜ぶ、穏やかな笑顔で微笑んで挨拶をします。

「ふぇっぐっ…ふぇっぐっ…うわああぁぁん!!」

「ふぇ!?」

ケイがいきなり泣き始めてしまいました。私はあわあわ慌てる事しか出来ません。抱きしめてあげたいのですが、体が重くて起き上がれないのです。

「ひぎゃ!」

ケイはそんな私にお構い無しにいきなり抱きついて来ました。びっくりしてお姫様らしからぬ声が出ましたが、誰も突っ込まないで下さいまし!

それから20分近く、私は泣き叫ぶケイをあやしました。

*********************

読んでいただきありがとうございます😊

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