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指輪選び③

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「それにしても、君は誰だ?」

 ミルフィーユの疑問をいち早く感じとって質問したのは、他ならぬルイボスだった。彼の質問を受けたカリンの花言葉を言った女性は、にししーと笑いながら、スケッチブックと万年筆を掲げて胸を張った。

「あたしはこの店1番の指輪職人さね」
「へえー、じゃあ、僕らの指輪のデザインをお願いできるかな?」
「任せとき。んでもってお嬢さん、メガネ外して。デザインできへんから」

 ミルフィーユは大人しく眼鏡をのけた。すると、店員さんはふむふむと頷いて、さらさらとスケッチブックにデザインを描き上げて色鉛筆を有り得ないところから出して色を塗り始めた。

(今、色鉛筆の入っている筒が谷間から出てこなかったかしら………?)

 ミルフィーユの心の疑問には誰も答えず、店員さんは描き上げた紙を見てふむふむと頷いている。

「こんなんはどうさね?」
「うん、いいね。僕は満足だよ」
「わたくしも、異議ありませんわ」

 うっとりするくらいに美しく繊細で、それでいて大胆な指輪に、2人は1発で合格を出した。

「まいどありー、んじゃ、できたら連絡するさかい、取りにくるさね」
「あぁ、恩にきる」
「ありがとう、えっと………、指輪のサイズは計らなくていいのかしら?」
「あ、忘れとった」

 そう言って2人の指のサイズを測ったおっちょこちょいな店員さんは、ささっと仕事場に戻っていった。

「それじゃあ、帰りましょうか」

 ミルフィーユの言葉に頷いたルイボスは、ミルフィーユを馬車までしっかりとエスコートしていった。その時、妙にくっついていることに気がついたのは、苦労性な従者タフィー・オランジェットだけだった。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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