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12 日記は燃やせない

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 ぎゅっと瞳を閉じてほっぺたを引っ張ったミルフィーユは、頬が痛いことをみて泣きたくなった。泣き叫びたくなった。

「どうしたの?みーちゃん」
「な、なんでもないわ」

 貴族諸侯はミルフィーユとルイボスの会話を聞いて、『いや、なんでもなくないだろう!!』と叫びたくなった。愛の重過ぎる王太子ルイボスは、平然と人を殺すと言ってのけたのだ。恐ろしいとしか言いようがないだろう。

「はあー、ほらほらルイボス殿下。周囲にドン引かれているじゃないですか。いい加減その執着と溺愛を引っ込めてください。そうじゃないと、ルイボス殿下のアフォガード嬢が好き過ぎるあまり起こした珍行動を綴った私の日記を、今この場で朗読しますよ」

 平然とした軽口を本気の目と声音で言いながらやってきたルイボスの従者、タフィー・オランジェット公爵令息に、ミルフィーユは一瞬頬が引き攣ってしまった。彼はよくノートに何かしらをメモしていたが、それがもしかしなくとも『王太子の珍行動日記』になっていたのではないかと思い知ったのだ。

「た、タフィーさま、ご機嫌麗しゅう。今度その日記を燃やさせていただいても?」
「あははっ、アフォガード嬢、いくらなんでもそれはひどいですよ。私の生きがいなんですから」
「そ、そう………」

 ミルフィーユは諦めも大事だと自分に言い聞かせ、震えそうになる身体を叱咤して美しく佇んだ。

 ーーーガーン!!

 そして、周囲がその状況に身を取られた瞬間、大きな音を立てて慌てて転がり込んできたまあるい身体つきの乱入者がやってきた。誰かが豚とつぶやいた気がした。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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