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4 血筋だけのハリボテさん

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「わたくしたちの共通点は、血筋だけで、誰にも顧みられないということよ」

 怒りは過ぎると冷静になれるという言葉を唐突に思い出したミルフィーユは、カツカツとハイヒールを鳴らして元いた、婚約破棄をされた際にいた位置へと戻ってきた。

「マカロン伯爵令嬢は、お父君の横暴な行いのせいで、最近お家の金銭事情が厳しくて、礼儀作法がしっかりと習えなかったの。偉いわよね、妹たちにしっかりとした教師をつけてあげるために、自分はずっと我慢しているのよ。『お父さまに言えばなんとかなるわ』と言って、自由に人を動かして、湯水のようにお金を使っている誰かさんとは大違い」

 1言1言刻みつけるように話すミルフィーユの声は、誰もが見惚れて驚くほどに綺麗だった。

「スコーン子爵令嬢は、食い意地が張りすぎて婚約破棄をされてしまって、社交界での笑い者。でも、実際のところは侯爵家に逆らえなくて、勝手にそういう理由にされただけで、本当は元婚約者の不倫が原因」
(そういえば、ルー君に話した次の日には、あの男は廃嫡になっていたわね)

 1歩進んだミルフィーユは、意地悪く微笑んで、言いたいことをぶちまける。

「シュガー男爵令嬢はご家族が平民の商人の成り上がりだからという理由で誰とも話してもらえなくて、それどころかどこかの伯爵令嬢さんに虐められて自信が持てなくなって、人の目を見てお話できなくなった。ねえ、分かる?誰が虐めっ子なのか。血筋がとうといからと言って、性根が貴いとは限らないのよ。血筋だけのハリボテさん」



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