82 / 92
番外編
未来の王太子夫妻の恋 12
しおりを挟む
「私ね、あなたのことが好きみたいなの。」
「はあ!?」
レイナードから今日1番の大きな悲鳴というか、絶叫がが上がった。キャサリンはそれすらも彼が愛おしく見えるようになってしまっていた。
「だからね、だめ?」
「うっ、僕から告白しようと思ってたのに………。」
「ふぇ?」
「僕は君が好きだ!!」
「!!」
キャサリンは目を丸くした。驚愕の言葉と真っ赤な彼のお顔、そして涙に潤んだ瞳に、彼の言葉が心からの言葉だとヒシヒシと伝わってくる。
泣きたくなってきてしまう。
キャサリンは物心がついた頃から、1度も泣いたことがない。痛いことがあっても、辛いことがあっても、苦しいことがあっても、悲しいことがあっても、“筆頭公爵家の娘”という肩書きが、キャサリンが泣くことを許さなかった。キャサリンを溺愛している両親は、じいぃっと辛いことを耐え抜くキャサリンに、泣いてもいい、逃げてもいいと言い聞かせてきた。けれど、彼女は言うことを聞かなかった。ずっとずっといい子でい続けた。
だって、泣くというのは敗北を意味するから。
キャサリンはずっと1番でなくてはならない。だって、王家を除けばキャサリンよりも上の立場の人間なんていないのだから。負けることは許されない。だってキャサリンは“筆頭公爵家の娘”なのだから。
我慢の甲斐なく、キャサリンの若葉のような色彩の美しい瞳から一筋の涙がこぼれ落ちた。
「っ、きゃ、キャサリン!?」
「え、あ、ちがっ、」
必死に泥だらけのお洋服で拭っても、涙は決して消えてくれない。
キャサリンはレイナードと共に、途方に暮れてしまった。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
「はあ!?」
レイナードから今日1番の大きな悲鳴というか、絶叫がが上がった。キャサリンはそれすらも彼が愛おしく見えるようになってしまっていた。
「だからね、だめ?」
「うっ、僕から告白しようと思ってたのに………。」
「ふぇ?」
「僕は君が好きだ!!」
「!!」
キャサリンは目を丸くした。驚愕の言葉と真っ赤な彼のお顔、そして涙に潤んだ瞳に、彼の言葉が心からの言葉だとヒシヒシと伝わってくる。
泣きたくなってきてしまう。
キャサリンは物心がついた頃から、1度も泣いたことがない。痛いことがあっても、辛いことがあっても、苦しいことがあっても、悲しいことがあっても、“筆頭公爵家の娘”という肩書きが、キャサリンが泣くことを許さなかった。キャサリンを溺愛している両親は、じいぃっと辛いことを耐え抜くキャサリンに、泣いてもいい、逃げてもいいと言い聞かせてきた。けれど、彼女は言うことを聞かなかった。ずっとずっといい子でい続けた。
だって、泣くというのは敗北を意味するから。
キャサリンはずっと1番でなくてはならない。だって、王家を除けばキャサリンよりも上の立場の人間なんていないのだから。負けることは許されない。だってキャサリンは“筆頭公爵家の娘”なのだから。
我慢の甲斐なく、キャサリンの若葉のような色彩の美しい瞳から一筋の涙がこぼれ落ちた。
「っ、きゃ、キャサリン!?」
「え、あ、ちがっ、」
必死に泥だらけのお洋服で拭っても、涙は決して消えてくれない。
キャサリンはレイナードと共に、途方に暮れてしまった。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
145
お気に入りに追加
2,137
あなたにおすすめの小説

お姉様に恋した、私の婚約者。5日間部屋に篭っていたら500年が経過していました。
ごろごろみかん。
恋愛
「……すまない。彼女が、私の【運命】なんだ」
──フェリシアの婚約者の【運命】は、彼女ではなかった。
「あなたも知っている通り、彼女は病弱だ。彼女に王妃は務まらない。だから、フェリシア。あなたが、彼女を支えてあげて欲しいんだ。あなたは王妃として、あなたの姉……第二妃となる彼女を、助けてあげて欲しい」
婚約者にそう言われたフェリシアは──
(え、絶対嫌なんですけど……?)
その瞬間、前世の記憶を思い出した。
彼女は五日間、部屋に籠った。
そして、出した答えは、【婚約解消】。
やってられるか!と勘当覚悟で父に相談しに部屋を出た彼女は、愕然とする。
なぜなら、前世の記憶を取り戻した影響で魔力が暴走し、部屋の外では【五日間】ではなく【五百年】の時が経過していたからである。
フェリシアの第二の人生が始まる。
☆新連載始めました!今作はできる限り感想返信頑張りますので、良ければください(私のモチベが上がります)よろしくお願いします!

王妃はもうここにいられません
なか
恋愛
「受け入れろ、ラツィア。側妃となって僕をこれからも支えてくれればいいだろう?」
長年王妃として支え続け、貴方の立場を守ってきた。
だけど国王であり、私の伴侶であるクドスは、私ではない女性を王妃とする。
私––ラツィアは、貴方を心から愛していた。
だからずっと、支えてきたのだ。
貴方に被せられた汚名も、寝る間も惜しんで捧げてきた苦労も全て無視をして……
もう振り向いてくれない貴方のため、人生を捧げていたのに。
「君は王妃に相応しくはない」と一蹴して、貴方は私を捨てる。
胸を穿つ悲しみ、耐え切れぬ悔しさ。
周囲の貴族は私を嘲笑している中で……私は思い出す。
自らの前世と、感覚を。
「うそでしょ…………」
取り戻した感覚が、全力でクドスを拒否する。
ある強烈な苦痛が……前世の感覚によって感じるのだ。
「むしろ、廃妃にしてください!」
長年の愛さえ潰えて、耐え切れず、そう言ってしまう程に…………
◇◇◇
強く、前世の知識を活かして成り上がっていく女性の物語です。
ぜひ読んでくださると嬉しいです!

婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢
alunam
恋愛
婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。
既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……
愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……
そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……
これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。
※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定
それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!

母の中で私の価値はゼロのまま、家の恥にしかならないと養子に出され、それを鵜呑みにした父に縁を切られたおかげで幸せになれました
珠宮さくら
恋愛
伯爵家に生まれたケイトリン・オールドリッチ。跡継ぎの兄と母に似ている妹。その2人が何をしても母は怒ることをしなかった。
なのに母に似ていないという理由で、ケイトリンは理不尽な目にあい続けていた。そんな日々に嫌気がさしたケイトリンは、兄妹を超えるために頑張るようになっていくのだが……。

どうして許されると思ったの?
わらびもち
恋愛
二度も妻に逃げられた男との結婚が決まったシスティーナ。
いざ嫁いでみれば……態度が大きい侍女、愛人狙いの幼馴染、と面倒事ばかり。
でも不思議。あの人達はどうして身分が上の者に盾突いて許されると思ったのかしら?

【完結】結婚して12年一度も会った事ありませんけど? それでも旦那様は全てが欲しいそうです
との
恋愛
結婚して12年目のシエナは白い結婚継続中。
白い結婚を理由に離婚したら、全てを失うシエナは漸く離婚に向けて動けるチャンスを見つけ・・
沈黙を続けていたルカが、
「新しく商会を作って、その先は?」
ーーーーーー
題名 少し改変しました

【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

王太子殿下はきっと私を愛していない。
haruno
恋愛
王太子殿下の婚約者に選ばれた私。
しかし殿下は噂とは程遠い厳しい人で、私に仕事を押し付けてくる。
それでも諦めずに努力をするも、殿下の秘書が私を妬んでいるようで……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる