【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫

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番外編

未来の王太子夫妻の恋 12

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「私ね、あなたのことが好きみたいなの。」
「はあ!?」

 レイナードから今日1番の大きな悲鳴というか、絶叫がが上がった。キャサリンはそれすらも彼が愛おしく見えるようになってしまっていた。

「だからね、だめ?」
「うっ、僕から告白しようと思ってたのに………。」
「ふぇ?」
「僕は君が好きだ!!」
「!!」

 キャサリンは目を丸くした。驚愕の言葉と真っ赤な彼のお顔、そして涙に潤んだ瞳に、彼の言葉が心からの言葉だとヒシヒシと伝わってくる。
 泣きたくなってきてしまう。
 キャサリンは物心がついた頃から、1度も泣いたことがない。痛いことがあっても、辛いことがあっても、苦しいことがあっても、悲しいことがあっても、“筆頭公爵家の娘”という肩書きが、キャサリンが泣くことを許さなかった。キャサリンを溺愛している両親は、じいぃっと辛いことを耐え抜くキャサリンに、泣いてもいい、逃げてもいいと言い聞かせてきた。けれど、彼女は言うことを聞かなかった。ずっとずっといい子でい続けた。
 だって、泣くというのは敗北を意味するから。
 キャサリンはずっと1番でなくてはならない。だって、王家を除けばキャサリンよりも上の立場の人間なんていないのだから。負けることは許されない。だってキャサリンは“筆頭公爵家の娘”なのだから。

 我慢の甲斐なく、キャサリンの若葉のような色彩の美しい瞳から一筋の涙がこぼれ落ちた。

「っ、きゃ、キャサリン!?」
「え、あ、ちがっ、」

 必死に泥だらけのお洋服で拭っても、涙は決して消えてくれない。
 キャサリンはレイナードと共に、途方に暮れてしまった。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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感想 32

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