57 / 92
番外編
癇癪持ちの女は変わる
しおりを挟む
王妃という肩書きや権力、お金が大好きな元王妃たる女は、とあるお店で教育係として働いていた。下っ端で肩書きも権力もなく、お給金も少ないが、そこそこ楽しく過ごしていた。
「このお茶とっても美味しいです!!どこのですか?」
「それは東の国の『緑茶』よ。外交の場で覚えておいたら便利だから、覚えておきなさい」
そう、彼女は遠い異国の地で貴族の娘の教育を担う組織に所属していたのだ。
メアリーの兄に引き渡されたこの女は、高飛車で傲慢な態度をメアリーの兄に叩きのめされ、その後兄が新しく始めた事業たる『淑女塾』の教師として働くことになったのだ。
ここの塾の生徒は実に素直で真っ直ぐだ。実直に女の教えを飲み込み、次々に満面な笑みで質問をしてくるのだ。本当に調子が狂う。
「ユリアーナ先生!これは?」
ユリアーナと呼ばれた元王妃は、面倒臭そうに生徒たる少女が指差した先にあるお菓子の方を向いた。繊細な花の形をしたおやつはとても美しい。
「練り切りよ。これも東の国のもので、おやつよ」
「これは!!」
「牡丹餅」
「これは!これは!!」
「………………桜餅。」
「ねぇ、先生!!」
ユリアーナの片眉がピクピクと動いた。
「ねぇ、ねぇ!!」
「いい加減になさいましー!!淑女はそのように元気いっぱいに質問したおす者ではございませんわ!!質問はお淑やかに、丁寧になさいまし!!」
今日もユリアーナはお淑やかさだけは学ばない生徒を、元気に叱りつける。
生まれ育ち、王妃として長年過ごした国よりも、何故か圧倒的に幸せな空間で、ユリアーナは誰にも知られずひっそりと死んでしまっている息子のことも、自分の事を嫌っていた残酷な元夫のことも忘れて、馬車馬のごとくこき使われていることに気づかず、楽しく過ごしている。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
明日は16時更新です。
またまたリコ様のリクエスト、王妃のその後でした。
他のリクエスト、カロリーナのは明日更新します。
リコ様、王妃のその後、いかがでしたでしょうか?
楽しんでいただけたようなら作者が舞い上がります。
「このお茶とっても美味しいです!!どこのですか?」
「それは東の国の『緑茶』よ。外交の場で覚えておいたら便利だから、覚えておきなさい」
そう、彼女は遠い異国の地で貴族の娘の教育を担う組織に所属していたのだ。
メアリーの兄に引き渡されたこの女は、高飛車で傲慢な態度をメアリーの兄に叩きのめされ、その後兄が新しく始めた事業たる『淑女塾』の教師として働くことになったのだ。
ここの塾の生徒は実に素直で真っ直ぐだ。実直に女の教えを飲み込み、次々に満面な笑みで質問をしてくるのだ。本当に調子が狂う。
「ユリアーナ先生!これは?」
ユリアーナと呼ばれた元王妃は、面倒臭そうに生徒たる少女が指差した先にあるお菓子の方を向いた。繊細な花の形をしたおやつはとても美しい。
「練り切りよ。これも東の国のもので、おやつよ」
「これは!!」
「牡丹餅」
「これは!これは!!」
「………………桜餅。」
「ねぇ、先生!!」
ユリアーナの片眉がピクピクと動いた。
「ねぇ、ねぇ!!」
「いい加減になさいましー!!淑女はそのように元気いっぱいに質問したおす者ではございませんわ!!質問はお淑やかに、丁寧になさいまし!!」
今日もユリアーナはお淑やかさだけは学ばない生徒を、元気に叱りつける。
生まれ育ち、王妃として長年過ごした国よりも、何故か圧倒的に幸せな空間で、ユリアーナは誰にも知られずひっそりと死んでしまっている息子のことも、自分の事を嫌っていた残酷な元夫のことも忘れて、馬車馬のごとくこき使われていることに気づかず、楽しく過ごしている。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
明日は16時更新です。
またまたリコ様のリクエスト、王妃のその後でした。
他のリクエスト、カロリーナのは明日更新します。
リコ様、王妃のその後、いかがでしたでしょうか?
楽しんでいただけたようなら作者が舞い上がります。
130
お気に入りに追加
1,602
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢
alunam
恋愛
婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。
既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……
愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……
そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……
これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。
※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定
それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!
私はどうしようもない凡才なので、天才の妹に婚約者の王太子を譲ることにしました
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
フレイザー公爵家の長女フローラは、自ら婚約者のウィリアム王太子に婚約解消を申し入れた。幼馴染でもあるウィリアム王太子は自分の事を嫌い、妹のエレノアの方が婚約者に相応しいと社交界で言いふらしていたからだ。寝食を忘れ、血の滲むほどの努力を重ねても、天才の妹に何一つ敵わないフローラは絶望していたのだ。一日でも早く他国に逃げ出したかったのだ。
女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜
流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。
偶然にも居合わせてしまったのだ。
学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。
そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。
「君を女性として見ることが出来ない」
幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。
その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。
「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」
大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。
そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。
※
ゆるふわ設定です。
完結しました。
今更困りますわね、廃妃の私に戻ってきて欲しいだなんて
nanahi
恋愛
陰謀により廃妃となったカーラ。最愛の王と会えないまま、ランダム転送により異世界【日本国】へ流罪となる。ところがある日、元の世界から迎えの使者がやって来た。盾の神獣の加護を受けるカーラがいなくなったことで、王国の守りの力が弱まり、凶悪モンスターが大繁殖。王国を救うため、カーラに戻ってきてほしいと言うのだ。カーラは日本の便利グッズを手にチート能力でモンスターと戦うのだが…
一番悪いのは誰
jun
恋愛
結婚式翌日から屋敷に帰れなかったファビオ。
ようやく帰れたのは三か月後。
愛する妻のローラにやっと会えると早る気持ちを抑えて家路を急いだ。
出迎えないローラを探そうとすると、執事が言った、
「ローラ様は先日亡くなられました」と。
何故ローラは死んだのは、帰れなかったファビオのせいなのか、それとも・・・
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる