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9 わたくし………

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「ま、ままま、まさか!?」」
「うふふ、えぇ、そのまさかですわ。」

 ガイセルに比べると察しの良いカロリーナは、メアリーのガイセルへの問いかけにから何かに気がついたのか、怯えたか細い声を上げた。

「改めまして、私、否、わたくしはコレット伯爵家当主兼『コレット商会』が会長の娘、幹部職をいただいているメアリー・コレットと申します。以後、お見知り置きを。」
「………ギャァァァァァ!!」

 メアリーの渾身の挨拶に、カロリーナはあられもない悲鳴を上げた。

(品がなくてうるさい悲鳴ね。もっと可愛らしく上げられないものなのかしら?)

「………下品極まりないな。」
「あら、それ、本人の前で言っちゃいます?」
「本当のことを言って何が悪いんだ?」
「ふふふ、そうですわね。流石ギル様ですわ。」

 ギルバートにしだれかかりながら、上目遣いにギルバートを見やったメアリーは苦笑した。
 ギルバートは妖艶な美しい顔立ちとは裏腹に、口があまり良くない。よく言えば、相手に分かりやすくストレートにものを言う。悪く言えば、貴族として必要な過激な言葉をオブラートに包みこむことができない、ということだ。

「……ギル様はずっとそのままでいらしてください。」
「……そうなってしまったら、社交はアリーに任せきりになってしまうよ?」
「ふふふ、そうなっても構いませんよ?私にとっては、ギル様に頼られている気がして、任されるというのはとても嬉しいですからね。」
「そうか……。」
「そうです!……ですが、私はお片付けが苦手ですから、それについてはご協力をお願いしたいですわ。」

 メアリーは眉を八の字にしてしょぼんとした声音で言った。

「私は君が望むことならば、それが例え世界滅亡であろうとも私は叶えるよ。」
「まぁ!!……ごほん、う、嬉しいですけれど、ちゃんと私を止めてくださる方が、私は安心できますわ、ギル様。」
「そうか、それは残念だ。」

 ギルバートの言葉には真摯な気持ちが響いていた。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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