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119 心菜は優奈と登校する

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▫︎◇▫︎

「………………、」
「ここな、その怪我どうしたの………?」

 次の日の朝、おでこに青あざを作って優奈との待ち合わせ場所に行った不服顔な心菜は、見事なまでに優奈に突っ込まれた。

「………喧嘩した」
「誰と?」
「………愚弟と」

 心菜は昨日、面倒くさいお馬鹿こと弟に喧嘩を売って、そして男兄弟のような派手派手しい喧嘩をしたのだ。その喧嘩は、激怒した母親に止められると言うか、一刀両断されるまで続き、心菜と弟はそこそこの怪我をしてしまった。

「で?なんで前髪からチラ見えする額が紫色な訳?」
「………頭突きした」
「………………で?石頭同士が頭突いたせいで、お互いの頭が紫になったと」
「………そういうこと」

 それだけ説明した心菜は、行くよと言わんばかりに優奈に背中を向けて学校への道を歩き始める。

「で?結局ここなは昨日何時まで作業してたわけ?」
「6時」
「………よく1人で無事に帰ってこられたね」

 心菜はその言葉で、昨日の出来事が走馬灯のように頭の中に流れてきて、ぼふんっと顔を真っ赤に染め上げた。そして、手足をジタバタとさせる。10月になったことでだいぶ空気が冷たくなってきたとは言え、朝の冷たい空気でさえも、心菜の真っ赤に染まった厚い頬を冷やしてはくれなかった。心菜は余の不条理?を嘆きながらも、優奈に少しだけうるっとした視線を向ける。

「………………ひ、ひとりじゃなかったの」
「え!?マジでマジで!?」
「………ま、まじ」
「それちょっと詳しく!!」

 優奈に迫られた心菜は、渋々昨日のことを語り始める。ただし、心菜が立花を幽霊に間違えて腰を抜かして泣き叫んだ話や、帰り道が分からなくなって立花に馬鹿にされた話はのけておいている。

「ひゃほおおおぉぉぉ!!新カップル登場じゃん!!」
「………なに言ってるの?」

 優奈の心底嬉しそうな声に、怪訝な声を返した心菜は、つんっと優奈の鼻に指を当てる。

「私と立花は友人同士よ。カップルになるわけないじゃない。それに、私と立花にだって選ぶ権利ぐらいあるわ」
「………まじか、ここな。………ここまでやっても靡かないわけ………?」

 何か言っている優奈を横目に見た心菜は、校門前でたむろっている、単語帳を片手に持った新谷と本を読みながら歩いている門川を見つけて苦笑した。

********************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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