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109 落ちぶれた成績
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▫︎◇▫︎
「久遠、」
「………はい」
優奈の彼氏事件から数週間後、心菜は泣きそうな顔で沈み込んでいた。先生に呼び出されて渡されるのは、2学期中間テストの成績表である。
「ーーーあなたが順位を落とすなんて珍しいですね。何か困ったことがあったのですか?」
「………いえ、大丈夫です」
「そうだといいのですが………。何かあったら、相談してくださいね?」
「はい、………お気遣いありがとうございます」
ぺこりと頭を下げた心菜は、落ちぶれた成績表を握りながら、ルンルンという表情で歩いている優奈を軽く睨みつける。
「………ゆーなちゃんのせいだから」
「うんうん、………ごめんね?」
「………私、受験生なんだけど?」
「だからごめんって」
「………絶対許してあげない」
ぷんっと怒ったふりをしてそっぽを向くと、優奈は困った顔をしてオロオロしている。そんな2人の姿をそばで見守っていたであろう立花は、ぽんぽんと心菜の肩を叩く。
「ドンマイ、久遠。おかげさまで、俺の成績は上がったよ」
「………くしょくりゃえ」
(………噛んだ………………。噛んじゃった………………)
ここ数週間で、立花に後ろから肩を叩かれることに慣れた心菜は、顔を少しだけ赤くしながら罵倒を吐いた。だが、見事に噛んでしまった。格好も何もつかない。正直に言って、恥ずかしい。頑張って罵倒したのにも関わらず、一切覇気がなかったのだ。当然の反応だろう。
「………言い慣れてないの丸わかりだから、その言葉だけはやめておけ」
今度は頭をぽんぽんと撫でられて、心菜はぷくうぅーっと頬を膨らませる。
「………私だって、もっと上手に言えるようになるもん」
「ならなくて良くないか?」
「なるもん!!」
ぷいっともっと横を向くと、立花が苦笑しながらもう1度心菜の頭を撫でた。
「まっ、いいじゃないか」
「………ゆーなちゃんのせいだもん。あなたのせいじゃないもん」
心菜が成績表をカラーのキャラクターファイルの中に突っ込むと、心菜はぐすっという表情で優奈を睨んだ。だからこそ、心菜は自分の言葉が今までの会話にあっていないことに気がついた。
「? 何言ってんだ?」
立花の言葉を無視した心菜は、優奈の身体にひたっとくっつき、耳元で囁く。
「………彼氏について、根掘り葉掘り教えてもらうからね?」
********************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
「久遠、」
「………はい」
優奈の彼氏事件から数週間後、心菜は泣きそうな顔で沈み込んでいた。先生に呼び出されて渡されるのは、2学期中間テストの成績表である。
「ーーーあなたが順位を落とすなんて珍しいですね。何か困ったことがあったのですか?」
「………いえ、大丈夫です」
「そうだといいのですが………。何かあったら、相談してくださいね?」
「はい、………お気遣いありがとうございます」
ぺこりと頭を下げた心菜は、落ちぶれた成績表を握りながら、ルンルンという表情で歩いている優奈を軽く睨みつける。
「………ゆーなちゃんのせいだから」
「うんうん、………ごめんね?」
「………私、受験生なんだけど?」
「だからごめんって」
「………絶対許してあげない」
ぷんっと怒ったふりをしてそっぽを向くと、優奈は困った顔をしてオロオロしている。そんな2人の姿をそばで見守っていたであろう立花は、ぽんぽんと心菜の肩を叩く。
「ドンマイ、久遠。おかげさまで、俺の成績は上がったよ」
「………くしょくりゃえ」
(………噛んだ………………。噛んじゃった………………)
ここ数週間で、立花に後ろから肩を叩かれることに慣れた心菜は、顔を少しだけ赤くしながら罵倒を吐いた。だが、見事に噛んでしまった。格好も何もつかない。正直に言って、恥ずかしい。頑張って罵倒したのにも関わらず、一切覇気がなかったのだ。当然の反応だろう。
「………言い慣れてないの丸わかりだから、その言葉だけはやめておけ」
今度は頭をぽんぽんと撫でられて、心菜はぷくうぅーっと頬を膨らませる。
「………私だって、もっと上手に言えるようになるもん」
「ならなくて良くないか?」
「なるもん!!」
ぷいっともっと横を向くと、立花が苦笑しながらもう1度心菜の頭を撫でた。
「まっ、いいじゃないか」
「………ゆーなちゃんのせいだもん。あなたのせいじゃないもん」
心菜が成績表をカラーのキャラクターファイルの中に突っ込むと、心菜はぐすっという表情で優奈を睨んだ。だからこそ、心菜は自分の言葉が今までの会話にあっていないことに気がついた。
「? 何言ってんだ?」
立花の言葉を無視した心菜は、優奈の身体にひたっとくっつき、耳元で囁く。
「………彼氏について、根掘り葉掘り教えてもらうからね?」
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