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101 朝読書『満月の夜に赤い花を』
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ーーーキーンコーンカーンコーン、
ちょうどよくなったチャイムのおかげで、心菜は立花からのこっち見て見てアピールから運良く抜け出せた。学校伝統だという朝読書のために本を出して、10分間無言で本を読み続ける。読書好きの心菜には苦ではないが、クラスメイトの数人の眉間には、深い深い皺が寄ってしまっている。
心菜はそんなクラスメイトを横目に、キャラクター文芸と呼ばれる分類の本『満月の夜に赤い花を』を開いて、パラパラと読み進める。
親から愛されることを望み、けれど愛されなくて、優秀な妹と比べられて見切りをつけられた女の子のお話だ。主人公の女の子自体には、何の問題もない。それどころか、素朴ながらに愛らしい容姿に、非凡な頭脳、運動神経、あやかし系統の物語とあって、優れた霊力も持っていた。けれど、彼女の妹は、彼女よりももっと優れていたのだ。たったそれだけ、そんなお話。
けれど、小説というだけあって、女の子は自分を迫害してきた家を追い出された後に、彼女にとっての幸せを見つける。愛を見つける。
心菜はぱらっと最後のページにたどり着いた。そして、文章を目で追う。
最後のページは、追い出された後に妖狐に拾われた主人公の女の子が、妖狐からの誓いを受ける場面だった。
『君のためならば、僕は財産を捧げよう。
君のためならば、僕は地位を捧げよう。
君のためならば、僕は名誉を捧げよう。
君のためならば、僕は人生で得たもの全てを捧げよう。
君のためならば、僕は無限の愛を捧げよう。
ーーー君のためなら、僕は命をも捧げよう。
だから、今から君は僕のものだ。僕の所有物だ。
君には僕以外のものは何1つとしていらない。
僕だけを見て。
僕だけを愛して。
僕だけを信じて。
ねえ、芙由、いつまで一緒にいよう。
僕だけと一緒にいよう。
だから、一緒に死んで?
芙由ーーー』
『はい、月夜さま』
ーーー満月の夜、
月色の妖狐の青年と、黒百合の少女は抱き合ったまま、美しく、そして赤い花を咲かせた。
白金に輝く美しくて長い髪に、お月さまのような暖かい熱のこもった瞳を持った妖狐月夜へと、甘く蕩け切った顔で笑いかける、短く艶やかな黒髪に黒曜石のような瞳を持った芙由。あやかしと人間でありながらお互いに必要とし合い、愛し続けるという、何と美しい物語なのだろうかと言いたかった物語が、最後の最後で崩れ去った。
********************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
本編に出てきたお話、『満月の夜に赤い花を』は近々投稿開始予定です!!
投稿を開始しましたらお知らせいたしますので、是非読んでみてください!!
………ネタバレ読んでから読むというのもアレですが………💦
ちょうどよくなったチャイムのおかげで、心菜は立花からのこっち見て見てアピールから運良く抜け出せた。学校伝統だという朝読書のために本を出して、10分間無言で本を読み続ける。読書好きの心菜には苦ではないが、クラスメイトの数人の眉間には、深い深い皺が寄ってしまっている。
心菜はそんなクラスメイトを横目に、キャラクター文芸と呼ばれる分類の本『満月の夜に赤い花を』を開いて、パラパラと読み進める。
親から愛されることを望み、けれど愛されなくて、優秀な妹と比べられて見切りをつけられた女の子のお話だ。主人公の女の子自体には、何の問題もない。それどころか、素朴ながらに愛らしい容姿に、非凡な頭脳、運動神経、あやかし系統の物語とあって、優れた霊力も持っていた。けれど、彼女の妹は、彼女よりももっと優れていたのだ。たったそれだけ、そんなお話。
けれど、小説というだけあって、女の子は自分を迫害してきた家を追い出された後に、彼女にとっての幸せを見つける。愛を見つける。
心菜はぱらっと最後のページにたどり着いた。そして、文章を目で追う。
最後のページは、追い出された後に妖狐に拾われた主人公の女の子が、妖狐からの誓いを受ける場面だった。
『君のためならば、僕は財産を捧げよう。
君のためならば、僕は地位を捧げよう。
君のためならば、僕は名誉を捧げよう。
君のためならば、僕は人生で得たもの全てを捧げよう。
君のためならば、僕は無限の愛を捧げよう。
ーーー君のためなら、僕は命をも捧げよう。
だから、今から君は僕のものだ。僕の所有物だ。
君には僕以外のものは何1つとしていらない。
僕だけを見て。
僕だけを愛して。
僕だけを信じて。
ねえ、芙由、いつまで一緒にいよう。
僕だけと一緒にいよう。
だから、一緒に死んで?
芙由ーーー』
『はい、月夜さま』
ーーー満月の夜、
月色の妖狐の青年と、黒百合の少女は抱き合ったまま、美しく、そして赤い花を咲かせた。
白金に輝く美しくて長い髪に、お月さまのような暖かい熱のこもった瞳を持った妖狐月夜へと、甘く蕩け切った顔で笑いかける、短く艶やかな黒髪に黒曜石のような瞳を持った芙由。あやかしと人間でありながらお互いに必要とし合い、愛し続けるという、何と美しい物語なのだろうかと言いたかった物語が、最後の最後で崩れ去った。
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読んでいただきありがとうございます😊😊😊
本編に出てきたお話、『満月の夜に赤い花を』は近々投稿開始予定です!!
投稿を開始しましたらお知らせいたしますので、是非読んでみてください!!
………ネタバレ読んでから読むというのもアレですが………💦
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