79 / 144
78 いなくなった女生徒
しおりを挟む
(はあー、いつになったら、彼女は大人になってくれるのかしら?)
もううんざりと言った様子で心の中でつぶやいた心菜は、次の瞬間にはくるりと回転して、優奈に話しかける。
「今月末にあの映画が放映されるんだって」
「え!まじ!?お小遣い使い果たしたんだけど!?」
「お馬鹿さんじゃないの?」
「うっぐー、」
くつくつと話していると、絢は話しかけてこなくなった。幼稚園や小学校の頃のように、自分が1番、自分が話しかければ皆話を聞いてくれるという女王さまではなくなったようだ。心菜はこれで時間をやり過ごせそうだと、ほっと息を吐いた。小学校1年生以来、先生に頼んでずっとクラスを変えてもらっていたのにも関わらず、ずっと喧嘩をふっかけてくる絢と関わるのは、正直に言ってごめんなのだ。
ーーーガンッ!!
だが、そんな思いが浅はかで甘かったと、次の瞬間、心菜は思い知ることとなった。なぜなら、心菜は絢に後ろから思いっきり押され、こかされたからだ。
(………この馬鹿、何がしたいわけ?こんだけ人がいる前でこかすとか、『私この子いじめてますー!!』って言っているみたいじゃないの)
咄嗟に手をついた心菜は、こかされた場所がグラウンドであったことに感謝しながら、日傘を優奈に手渡して立ち上がった。パンパンと砂を払って、擦りむいた膝と手を疲れ切った目で見つめる。
「あっらー、心菜って案外ドジなのね。こんな何もないところでこけるなんてー!!」
「………こんなところでこかせば、誰がこかしたかなんて丸わかりなのに、よくやるわね。みんなあなたがこかすところを見ているんじゃないかしら?」
チラッと心菜が辺りを見渡せば、周囲はこくこくと頷いた。
(ほら、だからこんな公衆の前でやるから………)
真っ青に顔を青ざめさせてうるうると目を潤ませた絢に、心菜は面倒くさくなって溜め息をついた。
「誰か先生にご報告をお願いします」
「もう読んでいますよ、先輩」
「ありがとうございます」
先生に事情を説明して、その後色々なことが起こった。絢の被害にあっていた生徒は存外多く、洗い出すのに相当時間がかかったのだ。心菜は怪我をしたりしてしまった生徒たちが呼び出されるたびに、心菜は『あぁ、またか………』という心情になった。絢はそれから転校していき、心菜の心の安寧は保たれることとなった。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
もううんざりと言った様子で心の中でつぶやいた心菜は、次の瞬間にはくるりと回転して、優奈に話しかける。
「今月末にあの映画が放映されるんだって」
「え!まじ!?お小遣い使い果たしたんだけど!?」
「お馬鹿さんじゃないの?」
「うっぐー、」
くつくつと話していると、絢は話しかけてこなくなった。幼稚園や小学校の頃のように、自分が1番、自分が話しかければ皆話を聞いてくれるという女王さまではなくなったようだ。心菜はこれで時間をやり過ごせそうだと、ほっと息を吐いた。小学校1年生以来、先生に頼んでずっとクラスを変えてもらっていたのにも関わらず、ずっと喧嘩をふっかけてくる絢と関わるのは、正直に言ってごめんなのだ。
ーーーガンッ!!
だが、そんな思いが浅はかで甘かったと、次の瞬間、心菜は思い知ることとなった。なぜなら、心菜は絢に後ろから思いっきり押され、こかされたからだ。
(………この馬鹿、何がしたいわけ?こんだけ人がいる前でこかすとか、『私この子いじめてますー!!』って言っているみたいじゃないの)
咄嗟に手をついた心菜は、こかされた場所がグラウンドであったことに感謝しながら、日傘を優奈に手渡して立ち上がった。パンパンと砂を払って、擦りむいた膝と手を疲れ切った目で見つめる。
「あっらー、心菜って案外ドジなのね。こんな何もないところでこけるなんてー!!」
「………こんなところでこかせば、誰がこかしたかなんて丸わかりなのに、よくやるわね。みんなあなたがこかすところを見ているんじゃないかしら?」
チラッと心菜が辺りを見渡せば、周囲はこくこくと頷いた。
(ほら、だからこんな公衆の前でやるから………)
真っ青に顔を青ざめさせてうるうると目を潤ませた絢に、心菜は面倒くさくなって溜め息をついた。
「誰か先生にご報告をお願いします」
「もう読んでいますよ、先輩」
「ありがとうございます」
先生に事情を説明して、その後色々なことが起こった。絢の被害にあっていた生徒は存外多く、洗い出すのに相当時間がかかったのだ。心菜は怪我をしたりしてしまった生徒たちが呼び出されるたびに、心菜は『あぁ、またか………』という心情になった。絢はそれから転校していき、心菜の心の安寧は保たれることとなった。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
姉らぶるっ!!
藍染惣右介兵衛
青春
俺には二人の容姿端麗な姉がいる。
自慢そうに聞こえただろうか?
それは少しばかり誤解だ。
この二人の姉、どちらも重大な欠陥があるのだ……
次女の青山花穂は高校二年で生徒会長。
外見上はすべて完璧に見える花穂姉ちゃん……
「花穂姉ちゃん! 下着でウロウロするのやめろよなっ!」
「んじゃ、裸ならいいってことねっ!」
▼物語概要
【恋愛感情欠落、解離性健忘というトラウマを抱えながら、姉やヒロインに囲まれて成長していく話です】
47万字以上の大長編になります。(2020年11月現在)
【※不健全ラブコメの注意事項】
この作品は通常のラブコメより下品下劣この上なく、ドン引き、ドシモ、変態、マニアック、陰謀と陰毛渦巻くご都合主義のオンパレードです。
それをウリにして、ギャグなどをミックスした作品です。一話(1部分)1800~3000字と短く、四コマ漫画感覚で手軽に読めます。
全編47万字前後となります。読みごたえも初期より増し、ガッツリ読みたい方にもお勧めです。
また、執筆・原作・草案者が男性と女性両方なので、主人公が男にもかかわらず、男性目線からややずれている部分があります。
【元々、小説家になろうで連載していたものを大幅改訂して連載します】
【なろう版から一部、ストーリー展開と主要キャラの名前が変更になりました】
【2017年4月、本幕が完結しました】
序幕・本幕であらかたの謎が解け、メインヒロインが確定します。
【2018年1月、真幕を開始しました】
ここから読み始めると盛大なネタバレになります(汗)
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
僕《わたし》は誰でしょう
紫音
青春
交通事故の後遺症で記憶喪失になってしまった女子高生・比良坂すずは、自分が女であることに違和感を抱く。
「自分はもともと男ではなかったか?」
事故後から男性寄りの思考になり、周囲とのギャップに悩む彼女は、次第に身に覚えのないはずの記憶を思い出し始める。まるで別人のものとしか思えないその記憶は、一体どこから来たのだろうか。
見知らぬ思い出をめぐる青春SF。
※第7回ライト文芸大賞奨励賞受賞作品です。
※表紙イラスト=ミカスケ様
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
ネットで出会った最強ゲーマーは人見知りなコミュ障で俺だけに懐いてくる美少女でした
黒足袋
青春
インターネット上で†吸血鬼†を自称する最強ゲーマー・ヴァンピィ。
日向太陽はそんなヴァンピィとネット越しに交流する日々を楽しみながら、いつかリアルで会ってみたいと思っていた。
ある日彼はヴァンピィの正体が引きこもり不登校のクラスメイトの少女・月詠夜宵だと知ることになる。
人気コンシューマーゲームである魔法人形(マドール)の実力者として君臨し、ネットの世界で称賛されていた夜宵だが、リアルでは友達もおらず初対面の相手とまともに喋れない人見知りのコミュ障だった。
そんな夜宵はネット上で仲の良かった太陽にだけは心を開き、外の世界へ一緒に出かけようという彼の誘いを受け、不器用ながら交流を始めていく。
太陽も世間知らずで危なっかしい夜宵を守りながら二人の距離は徐々に近づいていく。
青春インターネットラブコメ! ここに開幕!
※表紙イラストは佐倉ツバメ様(@sakura_tsubame)に描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる