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23 質問の答え

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 心菜はすっと息を吸った。彼を傷つけでも、心菜は立花の答えが知りたくなった。だって、幼馴染ならば最後の最後まで諦めないから。何があろうとも、走り抜けようとするから。

「………教えて、立花。どうしてなの?」
「………………」

 彼の表情は、時に軽薄で残酷に見える。『にゃははははっ!!』という笑い声を上げている人物とは、同じに見えない困ったような顔に、心菜は少し、否、とても怖くなった。聞かなかった方が幸せに過ごせたのではないか、楽に過ごせたのではないか。要らないの妄想が頭の中を無駄に駆けずり回っていく。

「俺は今の距離が好きなんだ。高梨とは馬鹿言って笑い合ってたい。だから、俺はアイツの感情を無視するしか無いんだ。………酷いだろ?俺」
「………酷くないよ。私の方がよっぽど残酷」
「へえ?何々?」
「ーー秘密」

 心菜は名前を付けることを放置した感情を思い出し、自嘲の笑みを浮かべた。結局心菜は、周りの人間を傷つけてしまう。どうやっても、どうあがいても傷つけてしまう。

「さ、帰ろ。立花のご両親、心配しちゃうよ」
「それは久遠ところもだろ?」
「そうだね。寄り道せず、真っ直ぐ帰ろう」

 心菜は泣きたい自分をぐっと押さえつけて、家に向かって歩き出そうとして、立花に腕を掴まれた。

「そっち反対」
「ぷぎゃにゃっ!!」
「だからそれなんなんだよっ!」

 なんなんだと言われても、条件反射で出てしまう声なのだから、なんと言っているのか自分でも分からないし、調節もできない。心菜はぐうぅっと眉を寄せて考え込んだ。

「豚さんと猫さんの鳴き声が混ざった悲鳴?」
「そんなの聞いてないわー!!」

 夜空が差し始めた住宅街に、立花の元気なツッコミが炸裂する。
 心菜はくすっと笑って、立花に引っ張られるがまま歩き続けた。そして、やっと見慣れた通りに出たところでほっと息を吐き出した。

(ここからなら帰れる)

 手を離してくれない立花の服の袖をくいっと引っ張って、心菜は立花のことを見上げた。

「ここからなら大丈夫。送ってくれてありがとう」
「…………分かった。じゃあ、また明日な」

 立花は南公園の前で、ひらりと手を振って元来た道を去って行った。心菜の予想通り、立花は遠回りをして心菜を送ってくれたらしい。申し訳なさと嬉しさを同時に抱いた心菜は、家に向かって1人で慎重に歩き始めた。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

『義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?』
が本編完結しました。是非読んでみてください!!

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