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13 甘やかな苦しみ
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だが、心菜には1つだけどうしても聞いておきたい、気になることがあった。
「どうして私に奢ってほしいの?立花は意地悪だけれど、お金のやり取りは嫌いそうだよね?」
そう、昨日話してみて思ったが、立花は異常なまでに真面目なのだ。
心菜は彼が奢る奢られるという行為を、嫌いっているような気がする。
「………お前、貸し作るの嫌いなタイプだろ?」
「ん?うぅーん、まあ嫌いだけど………」
「だからだよ」
「?」
心菜には彼が何を言っているのか、さっぱり分からなかった。ただただ首を傾げて必死になって彼の会話の意図を探ろうとする。
「………昨日有栖川が『久遠はコミュ症で、静かで、何考えてんのか分かんないくらい大人びてる』って言ってた」
意図を探っている途中で会話を変えられてしまった心菜は、困り果てた。彼は何を伝えようとしているのだろうか。確かに心菜はコミュ障で、話せなくて、何を考えているのか分からないってよく言われる。
「でも、俺は違うって思ったんだ」
「?」
「確かにお前はコミュ症かもしれない。だけど、俺には誰も傷つけないように必死になって、丁寧に丁寧に言葉を探して、その所為で言葉が遅れて、そんで会話に交われないって、………そんな印象を受けた」
「………………」
「お前、優しいよな。昨日の学校生活見てて思ったけど、周りのことをよく見てる。誰にも気づかれること無く、みんなのサポートに徹して、本当に尊敬した。本当にすごいと思った」
こんな風に評価されたのは初めてだった。
心菜は純粋に嬉しくて、でも、怖かった。裏があるのではないかと思った。褒めちぎって、そして舞い上がったところで、何かされるのではないかと怯えた。
「俺、お前みたいなヤツ、好きだよ」
「っ、」
心菜は大きく目を見開いた。
『綺麗』、『美人』、『愛らしい』、『別嬪さん』、『モデルさんみたい』、そんな言葉は今までに何度も何度も聞いてきた。耳にタコができるくらいに言われ続けてきたし、社交辞令には比較的慣れている方だ。けれど、『好きだ』という言葉を真正面から突きつけられたのは初めてのことだ。
「みんなに優しいお前みたいな性格の人間が大好きだ」
(あぁ、そういうことか)
心菜はほっと息を吐き出した。どうやら彼は心菜に告白したのでは無く、性格がいいと褒めてくれていたらしい。
得意の作り笑いを浮かべて、心菜はぎゅっと痛む苦しい左胸の鼓動を無視した。
「ありがとう、立花。私、性格を褒めてもらったのは初めてだよ」
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
「どうして私に奢ってほしいの?立花は意地悪だけれど、お金のやり取りは嫌いそうだよね?」
そう、昨日話してみて思ったが、立花は異常なまでに真面目なのだ。
心菜は彼が奢る奢られるという行為を、嫌いっているような気がする。
「………お前、貸し作るの嫌いなタイプだろ?」
「ん?うぅーん、まあ嫌いだけど………」
「だからだよ」
「?」
心菜には彼が何を言っているのか、さっぱり分からなかった。ただただ首を傾げて必死になって彼の会話の意図を探ろうとする。
「………昨日有栖川が『久遠はコミュ症で、静かで、何考えてんのか分かんないくらい大人びてる』って言ってた」
意図を探っている途中で会話を変えられてしまった心菜は、困り果てた。彼は何を伝えようとしているのだろうか。確かに心菜はコミュ障で、話せなくて、何を考えているのか分からないってよく言われる。
「でも、俺は違うって思ったんだ」
「?」
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「………………」
「お前、優しいよな。昨日の学校生活見てて思ったけど、周りのことをよく見てる。誰にも気づかれること無く、みんなのサポートに徹して、本当に尊敬した。本当にすごいと思った」
こんな風に評価されたのは初めてだった。
心菜は純粋に嬉しくて、でも、怖かった。裏があるのではないかと思った。褒めちぎって、そして舞い上がったところで、何かされるのではないかと怯えた。
「俺、お前みたいなヤツ、好きだよ」
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(あぁ、そういうことか)
心菜はほっと息を吐き出した。どうやら彼は心菜に告白したのでは無く、性格がいいと褒めてくれていたらしい。
得意の作り笑いを浮かべて、心菜はぎゅっと痛む苦しい左胸の鼓動を無視した。
「ありがとう、立花。私、性格を褒めてもらったのは初めてだよ」
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