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10 夢の中の心菜と優奈

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 帰宅後、ベッドに思いっきりダイブした心菜は疲れてブリザード級に荒れ果てた心を癒す為に、大好きなキャラクターである猫さんの特大のぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめた。

 大鷲はあの後、ひとしきり喋りまくって、優奈の拳骨を受けて、ルンルンと言った雰囲気で電車に乗って帰って行った。本当に、さよならしてから2年経っても、嵐のような破天荒さを持つ、印象の全く変わらない男の子だった。

 ひとしきりぬいぐるみを抱きしめた心菜は、中学に入ってから買ってもらったタブレットを持って、勉強机に座った。今日は漫画とラノベの更新日だ。とことん読み込もうではないか。
 心菜は夢中になって大好きな漫画とラノベを読み漁り、そしてすごすごとベッドに戻っていった。朝が苦手な心菜は夜の10時には必ず就寝するようにしている。

「おやすみなさい」

 誰に言うでもなく、心菜は呟き、そして夢の世界に落ちて行った。

▫︎◇▫︎

「ここなって優しいのに怖いよなー」
「そうそう、良い子ちゃんって感じー」

 小学校の廊下に立っている心菜の視線の先には、当時のクラスメイトが教室で心菜の悪口を言っていた。確かこれは小学校1年生の頃の出来事だったはずだ。

(あぁ、嫌な夢だ)

 心菜は自由に動けないし、言葉を発せられない。夢の中でも最もタチの悪い悪質な夢だ。これで動けるのならば、まだ救いはあったのに。心菜は心の中で大きな溜め息を吐いた。けれども、夢の中の心菜はただただ泣きそうな顔をしてぎゅうっと手を握って俯いている。

 ーーーガッシャーン!

「うわあっ、ゆ、ゆーな!何すんだよ!!」
「ここなを悪く言うな!!ここなちゃんはとっても優しくて賢い子なんだから!あんたたちに気をつかってんの!!それぐらい察しなさいよ!バカ!!」
(………確かこの後から、ゆーなちゃんと一緒に行動することになったのよね。彼女に救われたから………)

 夢の中の幼い優奈は、同級生よりも少しだけ大きな身体で椅子を振り回している。確かこの時、心菜の悪口を言っていた3人は、優奈に椅子で殴られて軽い打撲を負っていたはずだ。軽傷で済んだというのは、おそらく優奈が手加減をしていたからだろう。彼女はお名前の通り、とっても優しい子だから。

▫︎◇▫︎

「ん………、」

 目の端から流れた1筋の涙を拭った心菜は、ぎゅっと背伸びをした。

「ーーー今日も1日、頑張らなくちゃ」

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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