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腐男子は転職させられた!!
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今日も今日とて。
無職になって数週間が経った。
福利厚生は怪しい元職場ではあったが、失職手当は順当に頂くことができた。
使う事が無かった貯金も合わせてまだ暫くは働かなくても平気そうだ。毎朝の胃痛は過ぎ去り、だらだらと惰眠を貪り好きなものに囲まれた生活を送っている。
そう、好きなもの…。
小説や漫画が好きだった事に加えて何でも受け入れる雑食さが因果か
本棚の一角にはBLコーナーが占めている。
初めて読んだ時はそのエロさに驚いたが、男同士の恋愛の悩みや葛藤にときめきハマった。
俺はゲイでは無いが読み物として楽しんでいる。
そして死ぬ間際に心で叫んだ新作は読む事ができた。死ななくて良かったよ、今回も尊かった…。
パタリと本を閉じると、タイミングよくベットに腰掛けた人物が話しかけてきた。
「だからさぁ俺のとこに来いよ」
強引な攻めのようなセリフを吐いてきたのは、あの日俺を助けてくれたイケ上司もとい赤羽圭吾さん。ベットの上、長い足を組み手は後ろに置き体重を支えている。整った顔が楽しそうに笑う。
あの日人身事故を免れた俺は助けられた圭吾さんに職場の不満を全て話した。
見知らぬ人だったのに、迷惑なのは承知でパワハラ上司への呪詛を頷きながら静かに聴いてくれた。とにかくもう止まらない愚痴三昧、いま思い出すと恥ずかしい。
全てを吐き切った俺に退職するよう説得し、不払いの残業代や慰謝料請求など会社を相手をする気力もない俺を手助けしてくれたのだった。
あの後なぜか乗りかかった船だあーだと世話を焼くため俺の部屋を訪れては俺の世話をする。
いや正確にいえば世話になったが、
心身共に回復して身の回りの事は最低限できるようになったので、どちらかといえば世話する事なく入り浸って好きに過ごしている。
その気楽さに赤羽さん呼びから、圭吾さん呼びになるまで急速に仲良くなっていた。
そして俺が読み終えた後の余韻に浸っているところに、こうして水を差すのだ。
「またそんなスパダリみたいな台詞を…」
「あぁ!?なんだ、それ?違うっつの。俺んとこの会社にいい加減来いって言ってんだよ!」
最近ずっとこの話題だ。元気になった俺に次の就職先として圭吾さんの職場を勧めてくる。
「だが、断る!」
まだ無職を楽しみたい……ッ!!働きたくないでござる。
キリっと決め顔で返答すれば、目が据わった圭吾さんがいい笑顔で頷いた。
「そうか、なら仕方ない。こうなりゃ強制連行だな」
「へ?ちょっ!!」
言うが早いか俺の肩を捕まえて外に出すと、下に停めていた車に押し込み職場へと向かった。
「俺、部屋着なんですけどぉぉぉ!!」
「気にするな、我が職場の服は自由だ」
いやいやいや!強引!!
と抵抗も無駄に終わり
アレよアレよと言う間に俺の無職ライフは終わりを告げ、イケメン上司圭吾さんのもと就職が決まったのだった。
無職になって数週間が経った。
福利厚生は怪しい元職場ではあったが、失職手当は順当に頂くことができた。
使う事が無かった貯金も合わせてまだ暫くは働かなくても平気そうだ。毎朝の胃痛は過ぎ去り、だらだらと惰眠を貪り好きなものに囲まれた生活を送っている。
そう、好きなもの…。
小説や漫画が好きだった事に加えて何でも受け入れる雑食さが因果か
本棚の一角にはBLコーナーが占めている。
初めて読んだ時はそのエロさに驚いたが、男同士の恋愛の悩みや葛藤にときめきハマった。
俺はゲイでは無いが読み物として楽しんでいる。
そして死ぬ間際に心で叫んだ新作は読む事ができた。死ななくて良かったよ、今回も尊かった…。
パタリと本を閉じると、タイミングよくベットに腰掛けた人物が話しかけてきた。
「だからさぁ俺のとこに来いよ」
強引な攻めのようなセリフを吐いてきたのは、あの日俺を助けてくれたイケ上司もとい赤羽圭吾さん。ベットの上、長い足を組み手は後ろに置き体重を支えている。整った顔が楽しそうに笑う。
あの日人身事故を免れた俺は助けられた圭吾さんに職場の不満を全て話した。
見知らぬ人だったのに、迷惑なのは承知でパワハラ上司への呪詛を頷きながら静かに聴いてくれた。とにかくもう止まらない愚痴三昧、いま思い出すと恥ずかしい。
全てを吐き切った俺に退職するよう説得し、不払いの残業代や慰謝料請求など会社を相手をする気力もない俺を手助けしてくれたのだった。
あの後なぜか乗りかかった船だあーだと世話を焼くため俺の部屋を訪れては俺の世話をする。
いや正確にいえば世話になったが、
心身共に回復して身の回りの事は最低限できるようになったので、どちらかといえば世話する事なく入り浸って好きに過ごしている。
その気楽さに赤羽さん呼びから、圭吾さん呼びになるまで急速に仲良くなっていた。
そして俺が読み終えた後の余韻に浸っているところに、こうして水を差すのだ。
「またそんなスパダリみたいな台詞を…」
「あぁ!?なんだ、それ?違うっつの。俺んとこの会社にいい加減来いって言ってんだよ!」
最近ずっとこの話題だ。元気になった俺に次の就職先として圭吾さんの職場を勧めてくる。
「だが、断る!」
まだ無職を楽しみたい……ッ!!働きたくないでござる。
キリっと決め顔で返答すれば、目が据わった圭吾さんがいい笑顔で頷いた。
「そうか、なら仕方ない。こうなりゃ強制連行だな」
「へ?ちょっ!!」
言うが早いか俺の肩を捕まえて外に出すと、下に停めていた車に押し込み職場へと向かった。
「俺、部屋着なんですけどぉぉぉ!!」
「気にするな、我が職場の服は自由だ」
いやいやいや!強引!!
と抵抗も無駄に終わり
アレよアレよと言う間に俺の無職ライフは終わりを告げ、イケメン上司圭吾さんのもと就職が決まったのだった。
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