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硝に右手を差し出す。
硝は涙ぐみながら、がしゃんがしゃんとフェンスに足をかけ、こちらに戻ってきた。
俺をぎゅっと抱きしめ、本格的に泣き始める。
「脅してごめん。俺、どうやっても海とまた再会したくて、死ぬつもりなんて初めからなかったよ。死んだら海のこと、こうやって抱きしめられないもん」
硝の背中を摩ってやりながら、俺は微笑んだ。
「で、返事は?」
「えっ?」
俺はにこりと笑うと、硝の耳を引っ張り上げた。
「俺とずっと一緒に居るかってきいてやっただろうがっ」
「痛っ。ごめん。でも誓うもなにも当たり前だと思ったから。だって俺、海の傍離れるつもりないし」
そう言うと硝が俺の首筋に額を擦り付ける。
「やっと俺達、両想いになれたね」
「ああ」
上機嫌なこいつに振り回されたのが面白くなくて、俺はぶすりと答えた。
「返品不可だからね。ずっと一緒だからね」
さっきまで泣いていたくせに、今じゃ俺の胸もとで硝はふへへと笑っている。
「硝、お前どういうつもりだ」
三枝が硝の背後から怒鳴った。
さっきまで弱々しく硝の機嫌を取っていたのが別人のようだ。
硝は俺から離れると、凍てつくような目で三枝を見つめた。
「どういうつもりって何のことです?」
「何のことじゃないよ。いいか?撮影をめちゃくちゃにして、こんな騒動まで起こして。SNSでお前がフェンスによじ登っている写真が今も拡散されているんだ。一体どうやって責任を取るつもりだ」
「それは申し訳ありません。責任とって、三枝さんの事務所辞めさせてもらいます」
「なっ」
「ああ、辞めるっていうのはおかしいか。もとから半年の契約だったんですもんね。契約は延長しません。ご迷惑おかけして申し訳ありませんでした」
言葉とは裏腹に硝の口調は悪びれてはいなかった。
三枝の蒼白な顔が怒りで真っ赤に染まる。
「お前、本気でモデルの仕事を辞めるって言ってるのか?俺がどれだけ骨を折って、お前をここまで大きくしてやったと思ってる」
「だって、三枝さん、俺と海が付き合うの反対なんでしょ?俺、海がいない場所では、生きていけないから」
硝の言葉に三枝がぎりりと歯を食いしばる。
「そんな男のために、人生を棒に振るっていうのか?あり得ない。成功まであともうちょっとなんだぞ」
三枝の言葉を聞いて、硝が俺を見つめる。俺は無表情に完璧な美形を見つめ返した。
ふっと笑って、そんな俺を硝が背後から抱きしめる。
「モノの価値を決めるのは俺自身でいい」
硝はそう言うと「ははっ」と楽しそうに笑った。
「なあんてね。三枝さん今までお世話になりました」
硝が俺の手首を掴み、屋上から連れ出す。
硝は涙ぐみながら、がしゃんがしゃんとフェンスに足をかけ、こちらに戻ってきた。
俺をぎゅっと抱きしめ、本格的に泣き始める。
「脅してごめん。俺、どうやっても海とまた再会したくて、死ぬつもりなんて初めからなかったよ。死んだら海のこと、こうやって抱きしめられないもん」
硝の背中を摩ってやりながら、俺は微笑んだ。
「で、返事は?」
「えっ?」
俺はにこりと笑うと、硝の耳を引っ張り上げた。
「俺とずっと一緒に居るかってきいてやっただろうがっ」
「痛っ。ごめん。でも誓うもなにも当たり前だと思ったから。だって俺、海の傍離れるつもりないし」
そう言うと硝が俺の首筋に額を擦り付ける。
「やっと俺達、両想いになれたね」
「ああ」
上機嫌なこいつに振り回されたのが面白くなくて、俺はぶすりと答えた。
「返品不可だからね。ずっと一緒だからね」
さっきまで泣いていたくせに、今じゃ俺の胸もとで硝はふへへと笑っている。
「硝、お前どういうつもりだ」
三枝が硝の背後から怒鳴った。
さっきまで弱々しく硝の機嫌を取っていたのが別人のようだ。
硝は俺から離れると、凍てつくような目で三枝を見つめた。
「どういうつもりって何のことです?」
「何のことじゃないよ。いいか?撮影をめちゃくちゃにして、こんな騒動まで起こして。SNSでお前がフェンスによじ登っている写真が今も拡散されているんだ。一体どうやって責任を取るつもりだ」
「それは申し訳ありません。責任とって、三枝さんの事務所辞めさせてもらいます」
「なっ」
「ああ、辞めるっていうのはおかしいか。もとから半年の契約だったんですもんね。契約は延長しません。ご迷惑おかけして申し訳ありませんでした」
言葉とは裏腹に硝の口調は悪びれてはいなかった。
三枝の蒼白な顔が怒りで真っ赤に染まる。
「お前、本気でモデルの仕事を辞めるって言ってるのか?俺がどれだけ骨を折って、お前をここまで大きくしてやったと思ってる」
「だって、三枝さん、俺と海が付き合うの反対なんでしょ?俺、海がいない場所では、生きていけないから」
硝の言葉に三枝がぎりりと歯を食いしばる。
「そんな男のために、人生を棒に振るっていうのか?あり得ない。成功まであともうちょっとなんだぞ」
三枝の言葉を聞いて、硝が俺を見つめる。俺は無表情に完璧な美形を見つめ返した。
ふっと笑って、そんな俺を硝が背後から抱きしめる。
「モノの価値を決めるのは俺自身でいい」
硝はそう言うと「ははっ」と楽しそうに笑った。
「なあんてね。三枝さん今までお世話になりました」
硝が俺の手首を掴み、屋上から連れ出す。
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