楽園の在処

まめ太郎

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 最近、俺はおかしいという自覚はあった。
 藤崎を見ると妙に脈が早くなったり、頬を撫で上げられようもんなら、顔が一瞬にして赤く染まる。
 まるで俺が藤崎に惚れているような…。
 そこまで考えてゾッとした俺は、慌てて首を振った。

「どうかしたか?海」
 俺の目の前で月を正常位で犯しながら、藤崎が問う。
「別に」
 俺はそう答えると、心の中を読まれないように表情を消した。
 藤崎はそっけない俺に苦笑すると、月の細い腰を両手で掴み、激しく突き動かし始めた。
「ああ、奥が熱いっ。藤崎さん、もうだめえぇ」
 月が叫ぶようによがり声をあげると、藤崎がぺろりと舌で自らの唇を舐め、回すように腰を使った。
 そんな藤崎の頬を星が両手で包み、横を向かせて口づける。
 藤崎はそれに応えると舌を絡め、星の小さな口を貪った。
 俺はその光景を見ながら、ほっと息を吐いた。

 俺が藤崎に惚れているなんて、やっぱりあり得ねえ。
 こうして藤崎が他の奴を抱いているのを見ても、俺の心は平穏そのものだった。
 嫉妬の感情などどこにも見当たらない。
 むしろこの淫靡な光景を見ていると、勝手に体が熱くなって…。
 ふと下半身に違和感を覚え、俯くと、胡坐をかいた俺の股間に硝が顔を埋めていた。
「てっめえ、何してやがる」
 人が物思いに耽っている時に断りもなくイチモツを舐めしゃぶっている硝の髪を、鷲掴んで怒鳴る。
「痛い」
 硝が顔を上げ、ぶすりと言った。
「人のちんこいきなり銜えるほうが悪ぃだろ」
「勃ってたくせに」
 そう言われて額に青筋をたてながら俺が口を開こうとすると、後ろから静かに声がかかった。
「海。硝を拒むな」
 ご主人様の命令は絶対だ。
 ぐっと詰まる俺に、硝が勝ち誇った笑みを浮かべ、口づける。
 俺は硝の冷たい唇を受け止め、眉を顰めた。
「海、ちゃんとお返しもするんだぞ」
 笑いを含んだ藤崎の声に、舌打ちしたい気分になった。
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