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【覚悟】
18.
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(俺もトヨホギも、ただ肉欲におぼれていればいい。それがトヨホギのためにも兄者のためにも、俺のためにもなるのだ)
与えられた役目をまっとうしようと、シキタカはトヨホギの蜜に喉を鳴らした。トヨホギの妄言を理由に仕掛けたものを、真実にするために。
(俺はトヨホギにおぼれ、トヨホギは俺を通して兄者におぼれる。そして兄者は俺たちの気持ちに快楽を味わうのだ)
自分たち三人だからこその関係に奮い立ち、シキタカは熱心にトヨホギを愛撫した。刺激をすればするほど、おもしろいように蜜が湧き出てくる。シキタカはホスセリに聞かせるために、わざと音を立ててトヨホギの下口を吸い、指で広げた。
「はっ、ああ……、あううっ、ふ、ぁあ」
体の中がすべて溶けてしまうのではと思うほど、トヨホギは快楽にとろけた。シキタカは飢えた獣のようにトヨホギの蜜を求めて媚肉を開く。それに疼く胸は、ホスセリの指や舌が慰めてくれた。そしてその刺激は胎内に返り響いて蜜を生み、その蜜に勇躍した愛撫が体中を駆け巡る。
「ふ、ぅううっ、あ、あはぁ……、ああっ、だめ」
「だめではなく、いい、だろう? 気持ちがいい。――違うか、トヨホギ」
優しいホスセリのささやきに、トヨホギは悦楽に心を膨らませて涙を浮かべた。
「ああ……、いいわ……、いいっ、ああ、あっ、気持ちがいいの……っ、ホスセリ」
トヨホギは手を伸ばして、ホスセリの髪をまさぐった。ホスセリは笑みを含んだ唇で、トヨホギの目じりに触れる。
「ああ、ホスセリ……、ホスセリ」
「トヨホギを高めているのは、我のみではないぞ」
「っ……」
トヨホギは呼ぶのをためらった。うながすように、ホスセリは笑みを深める。
「……シキタカ」
か細い声に、シキタカは顔を上げた。無言でおどろくシキタカに、ホスセリがニヤリとする。
「おまえはもう我が陰ではないのだから、トヨホギに呼ばれても不思議はない。――違うか?」
「う……、む」
理解してはいるが納得できかねると、シキタカの顔に書いてある。ホスセリは愉悦を膨らませてシキタカの肩を掴んだ。
「トヨホギとおまえは、我の供物なのだろう? ならば供物らしく我が前で肉欲におぼれ狂うていればいい。我に対する遠慮や気遣いなど、無用だ」
ホスセリは低くささやきながら目じりを細めた。シキタカの喉仏が上下に動くと、ホスセリの胸裏にえもいわれぬ黒い喜びが湧き起こった。
想い合っていながらも交わらないふたりをつなぐ楔は自分。
そう思うと、この上もなく甘美な官能が肌の上にさざめく。
(我らは三人でひとりなのだ)
与えられた役目をまっとうしようと、シキタカはトヨホギの蜜に喉を鳴らした。トヨホギの妄言を理由に仕掛けたものを、真実にするために。
(俺はトヨホギにおぼれ、トヨホギは俺を通して兄者におぼれる。そして兄者は俺たちの気持ちに快楽を味わうのだ)
自分たち三人だからこその関係に奮い立ち、シキタカは熱心にトヨホギを愛撫した。刺激をすればするほど、おもしろいように蜜が湧き出てくる。シキタカはホスセリに聞かせるために、わざと音を立ててトヨホギの下口を吸い、指で広げた。
「はっ、ああ……、あううっ、ふ、ぁあ」
体の中がすべて溶けてしまうのではと思うほど、トヨホギは快楽にとろけた。シキタカは飢えた獣のようにトヨホギの蜜を求めて媚肉を開く。それに疼く胸は、ホスセリの指や舌が慰めてくれた。そしてその刺激は胎内に返り響いて蜜を生み、その蜜に勇躍した愛撫が体中を駆け巡る。
「ふ、ぅううっ、あ、あはぁ……、ああっ、だめ」
「だめではなく、いい、だろう? 気持ちがいい。――違うか、トヨホギ」
優しいホスセリのささやきに、トヨホギは悦楽に心を膨らませて涙を浮かべた。
「ああ……、いいわ……、いいっ、ああ、あっ、気持ちがいいの……っ、ホスセリ」
トヨホギは手を伸ばして、ホスセリの髪をまさぐった。ホスセリは笑みを含んだ唇で、トヨホギの目じりに触れる。
「ああ、ホスセリ……、ホスセリ」
「トヨホギを高めているのは、我のみではないぞ」
「っ……」
トヨホギは呼ぶのをためらった。うながすように、ホスセリは笑みを深める。
「……シキタカ」
か細い声に、シキタカは顔を上げた。無言でおどろくシキタカに、ホスセリがニヤリとする。
「おまえはもう我が陰ではないのだから、トヨホギに呼ばれても不思議はない。――違うか?」
「う……、む」
理解してはいるが納得できかねると、シキタカの顔に書いてある。ホスセリは愉悦を膨らませてシキタカの肩を掴んだ。
「トヨホギとおまえは、我の供物なのだろう? ならば供物らしく我が前で肉欲におぼれ狂うていればいい。我に対する遠慮や気遣いなど、無用だ」
ホスセリは低くささやきながら目じりを細めた。シキタカの喉仏が上下に動くと、ホスセリの胸裏にえもいわれぬ黒い喜びが湧き起こった。
想い合っていながらも交わらないふたりをつなぐ楔は自分。
そう思うと、この上もなく甘美な官能が肌の上にさざめく。
(我らは三人でひとりなのだ)
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